本日のテーマは「銀行を変えた・日本型ビックバン」についてのお話です。
前回の記事で、銀行が「搾取するビジネス」へ向かう成り立ちについて紹介しました。そのファクターの1つとして、橋本内閣が施行した日本型ビックバンについても取り上げました。
本記事では、そんな「日本型ビックバン」を深堀りして見ていこうと思います。
日本型ビックバン
日本型ビックバンとは、「Free・Fair・Global」を理念として「銀行・証券・保険」の3分野に施した金融制度改革のことです。
改革を行った理由としては、ニューヨーク・ロンドン並みの国際金融市場に日本の金融市場を復権すること。そして3分野の競争を促進して、利用者のニーズに幅広く答える状態をつくることが目的です。
「金融ビックバン」の元祖は、1986年にイギリスで行われた金融制度改革です。この改革の日本版ということで「日本型ビックバン」と呼ばれます。またビックバンの本来の意味としては、宇宙誕生の原因となった大爆発のことを「ビックバン」と呼びます。金融制度改革という爆発により、新しい世界が生み出されるということに例えて用いた言葉なのですね。
金融制度改革の内容
では金融制度改革の内容を、細かい4つの視点からご紹介していきます。
銀行を変えてしまった理由としては、後半の2つのものです。
①ディスクロージャー
金融制度改革1つ目は「ディスクロージャー」です。
ディスクロージャーとは、経営内容の情報公開をすること。
金融制度改革前は、経営が悪い銀行があったとしても、個人がその情報を知ることは出来ませんでした。なぜかと言えば公に経営難が垣間見えてしまうと、世間が混乱するのではと危惧していたからです。結果的に経営状態は非公開でした。
②世界に共通するルール
金融制度改革2つ目は「世界に共通するルール」に合わせるためです。
日本国の中のルールだけで回していくのではなく、世界とルールを合わせようとグローバル化を計ったということですね。また外国銀行からの圧力がかかったのも理由の1つで、「東京市場は規制があり仕事がしにくい」と非難の声があったとも言います。
③相互参入
金融制度改革3つ目は「相互参入」です。
ここからの2つが銀行を変えた大きな理由です。
「銀行」・「証券会社」・「保険会社」への競争促進のため、相互参入が認められたのです。日本型ビックバン以前は、それぞれの機関が定められた業務を遂行してきただけでした。しかし、業務の自由化という新たな世界が開かれたのです。
例えば、銀行が保険商品・証券などの販売を始めたり、証券会社が証券総合口座を解禁したりなどが挙げられるでしょう。また商社・スーパー・コンビニなど異業種も、銀行業務に参入できるようになりました。セブン銀行やイオン銀行の誕生は、日本型ビックバンがあったからこそと言うことですね。
そして銀行窓口で「投資信託の販売」がスタートしていくのです。
④手数料・金利の自由化
金融制度改革4つ目は「手数料・金利の自由化」です。
預金金利はそれまで横並びの基準でした。しかし各金融機関が、手数料や金利を自由に選択できる「完全自由化」へと移行していくのです。
そして銀行は「株式売買手数料」や「投資信託の販売手数料・信託報酬」ともに自由化を施します。結果的に、高額な手数料の運用商品が溢れる巣窟へと変貌してしまったのです。これらが現在の銀行の黎明期で、「相互参入」と「手数料・金利の自由化」が解禁されるまでは、個人が銀行で損することは殆どなかったと言われています。
最後に
本日の「銀行を変えた・日本型ビックバン」のお話、いかがでしたか?
この日本型ビックバンの金融制度改革が、「安心というイメージの銀行」から「個人が損するビジネスに従事する銀行」へと変えてしまったわけですね。
これは銀行だけに言えることではありませんが、表面的なイメージだけで対象を決めつけてはいけません。自分がしっかりと触れ合って吟味する。触れてみなければ、自分にとって対象の良し悪しを知ることは出来ません。本当の立ち位置は分かりません。
この意識がない人は、初頭効果やハロー効果により損をします。有益な出会いを遠ざけ、搾取される出会いを近づけてしまう。そして後々、愚痴を言いながら可愛そうな被害者を演じきる。ここでも勉学の大切さを感じる事象なのではないでしょうか。
本日はご精読ありがとうございました。
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