本日のテーマは「楽しみの脳内物質」についてのお話です。
私たちは生活の中で様々な感情に遭遇し、プラス・マイナスのものが脳内を自由に揺蕩います。多くの人がこれらの感情に対して「心」という認識を持っていますが、理論的に紐解けば「脳内物質・ホルモン・自律神経」の変化でしかありません。この視点を持てば「楽しみの脳内物質が分泌する環境を選択していこう」という意識に変わります。またどうしても「環境」が変えられない場合にも「受け止め方」のシフトチェンジを心掛けることも出来るでしょう。
本章では「楽しみの脳内物質」の種類と概要を主に解説していきます。「環境」や「受け止め方」を脳内物質に合わせるためにも、各機能を知ることは重要でしょう。代表的なものは4つあり「ドーパミン」・「エンドルフィン」・「セロトニン」・「オキシトシン」です。
ドーパミン
楽しみの脳内物質1つ目は「ドーパミン」です。
ドーパミンとは、行動への意欲や快楽を生み出す神経伝達物質のこと。あらゆる行動への調整機能を果たし、好奇心や自己実現欲求へ進むことが出来るのも、ドーパミンというガソリンのおかげです。具体的には、大脳基底核の主要な核となる「黒質緻密部」から「線条体」に向けて投射され、あらゆる行動を制御しています。
また「スマホ・甘いお菓子・エンタメ」などでもドーパミンは分泌されます。だからこそ多くの人が嗜好品にハマり、一歩間違えれば中毒状態に陥ってしまう。人類は文明発達で、短期的に労力なしでドーパミン分泌を可能としました。一見幸せを手にしましたが、心身の健康を阻害したり、嗜好品に意識が向きすぎて好奇心や自己実現欲求を失ってしまう。そんなマイナス面も表出することになったのです。
つまりドーパミンは、自制心を持ってコントロールすべき対象ということですね。
エンドルフィン
楽しみの脳内物質2つ目は「エンドルフィン」です。
エンドルフィンとは、脳内の報酬系に多く分布する神経伝達物質です。鎮痛作用があり、多幸感をもたらす物質として知られています。その効力はモルヒネ6倍の鎮痛効果があり、ドーパミン20倍の快楽です。そのため「脳内麻薬」・「脳内モルヒネ」とも呼ばれます。
エンドルフィンは、人のために慈愛の気持ちでGIVEをしたり、激しい運動をした際に分泌されます。そのことからマラソンで気分が高揚してくる「ランナーズハイ」や、ボランティアで気分が高揚する「ヘルパーズハイ」へと繋がるのです。
具体的アクションとしては、主観的貢献感でのコミュニケーションや運動習慣を心掛けることでしょう。
セロトニン
楽しみの脳内物質3つ目は「セロトニン」です。
セロトニンとは、癒やし・リラックスを感じる神経伝達物質のこと。血管の緊張を調節する物質として発見されたことから、「serum(血清)」と「tone(調子)」に由来して命名されました。
この物質は「ドーパミン・ノルアドレナリン・アドレナリン」を制御して、精神を安定させる働きを持ちます。比喩で表せば、3つの音の指揮者の役割を果たしたり、3匹の暴れ馬の手綱のようなモノでしょうか。このことからセロトニン不足の人は「イライラ・憂鬱・集中力低下」などを起こし、それが極端に悪化するとうつ病へと進行するのです。
心掛ける行動としては、自然に触れたり、日光を浴びたり、マッサージを受けたり、バナナを食べたりすること。セロトニンの原料が「必須アミノ酸・トリプトファン」から生合成され、バナナにはトリプトファンが多く含まれます。これが精神安定に、バナナは有効な食べものと言われる所以です。
オキシトシン
楽しみの脳内物質4つ目は「オキシトシン」です。
オキシトシンとは、愛や繋がりを感じるペプチドホルモンのこと。人間は社会的な動物として群れを作って進化してきた動物なので、オキシトシン低下で孤独を感じます。そして「脳や身体」の健康・パフォーマンスにも大きく関与するのです。
具体的には、脳細胞たちが活性化させて「記憶力・好奇心をUP」させたり、コルチゾール・扁桃体の抑制効果により「不安を感じにくく」なる。身体でいえば血圧や心拍数を下げたり、細胞修復の役割があるので「血管系疾患の罹患率低下」や「自然治癒力・免疫力UP」に繋がります。つまり孤独感が強い人は、頭が悪くなり、心身ともに病気になりやすくなるということですね。
アクションプランとしては、気が合う仲間とつるんだり、ペットと戯れたり、植物の世話をするなどが挙げられるでしょう。犬や猫を飼ってみたり、ガーデンニング・テラリウム・盆栽などもオススメです。
最後に
本日は「楽しみの脳内物質」のお話、いかがでしたか?
ここで1番注意しなければいけないのが、ドーパミンを求めすぎてしまうこと。活動的で前進するために必要なモノではありますが、満たし方の順番は後者です。まず生活習慣改善で、土台となるセロトニンやオキシトシンという心身健康の脳内物質分泌を目指す。そしてドーパミンを、能力UPのために活用する。遠回りに見えて、こちらのプロセスの方が自己実現や他者貢献を早く達成できると私は思っています。
本日はご精読ありがとうございました。
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