本日のテーマは「苦しみの脳内物質」についてのお話です。
前回、日常で浮かぶ感情に対して「心」という認識ではなく「脳内物質・ホルモン・自律神経の変化」という認識に転換することをオススメしました。この視点を持てれば、俯瞰した視野を獲得できるので「楽しみの脳内物質分泌の環境を選択していこう」という意識に変わります。
そして「楽しみの脳内物質」の概要をインプットした次の段階では、「苦しみの脳内物質」の概要も知っておく必要があります。本日は代表的なをものを3つご紹介していきます。それは「ノルアドレナリン」・「アドレナリン」・「コルチゾール」です。
ノルアドレナリン
苦しみの脳内物質1つ目は「ノルアドレナリン」です。
ノルアドレナリンとは、苦しみを感じる際の神経伝達物質のこと。目の前に苦しみを感じれば、その状態を速やかに打破する必要性が生じます。つまり「闘争or逃走」を選択するために、ノルアドレナリンにより交感神経優位にして瞬時に動かなければならないのです。交感神経は自律神経の1つで、筋肉の敏捷さを促して活動に適した状態に誘います。
人は追い込まれると高い能力が発揮できますが、その裏にはこうした原理が隠されていたのですね。具体的には「夏休み終わりの宿題」や「納期近い仕事」には、やる気が向上するなどでしょう。しかし、効力はあくまで短期的なもの。分泌過剰で「慣れ」と「疲弊」により、低パフォーマンスや無気力の未来を引き起こします。現代社会でこの副作用に苦しんでいる方が多いのも事実で、これが悪化した状態がうつ病です。
ただ苦しみを「絶無にしよう」ということではありません。新しい知識が長期記憶として貯蔵される際に、ノルアドレナリンがシナプス結合の一助を担う。つまり「苦しみがない」ところに「成長はない」ということですね。あくまで制御の意識を持ちましょう。
アドレナリン
苦しみの脳内物質2つ目は「アドレナリン」です。
アドレナリンは、興奮・怒りを感じると副腎髄質から分泌するホルモンです。ノルアドレナリンと同じく「闘争or逃走」の原動力となり、血中に放出されることにより心拍数・血圧・血糖値を上げます。そして運動器官への血液供給や痛覚の麻痺を起動して、俊敏な行動を促すのです。具体例を用いれば、子供が車の下じきにより身動きがとれなくなったときに、親が車の一部を持ち上げたなどのエピソードも存在します。
つまり、怒りの本来の役割は「自身の身を守る」こと。古代の環境で知らないモノは、生命危機の懸念が生まれるモノでしょう。だからこそ私たちは、違う価値観の人に対して攻撃的になる。生命危機の可能性が少なくなった現代でも、遺伝と環境の不協和により誤作動のアドレナリン分泌を起こす。結果的に、多くの人が憎しみ合ってしまうということですね。
ただ全てのモノは使い方次第で、プラスに好転します。スポーツやビジネスでは、アドレナリンをコントロール下におけば強大な武器となるでしょう。しかし使い方を間違えば、人への憎しみに取り憑かれ、自分の課題に向き合うことができなくなる。まさに諸刃の剣ですね。具体策としては、アンガーマネージメントやマインドフルネス瞑想などを学ぶこと。不必要なアドレナリン対策を知り、自己実現や他者貢献のためにアドレナリンを活用するのです。
コルチゾール
苦しみの脳内物質3つ目は「コルチゾール」です。
コルチゾールは、副腎皮質から分泌されるストレスホルモンのこと。心身にストレスがかかると分泌量が増え、意識を覚醒状態へ誘います。日中、活動状態になれるのもコルチゾールのおかげです。ただ免疫機能低下などのマイナス面もあるので、コントロールする対象となるでしょう。ちなみにストレスと聞くと、マイナスのイメージを持ちがちですが「楽しいストレス」も存在します。
なぜならストレスの定義とは、外部から刺激を受けた時に生じる興奮状態のことだから。「旅行」や「恋人とのデート」前に心躍るような感情も、心身の視点に立てば興奮という負荷がかかっています。だからこそ、適度な分泌バランスを心掛けるための調整方法を知る必要があるのです。
調整方法としては「概日リズム」と「有酸素運動」が有効です。概日リズムを一定にすることにより、コルチゾールの分泌を整えます。基本的に朝はコルチゾール分泌が増え、夜になると少なくなります。このリズムが「昼夜逆転」や「仕事への強大な嫌悪」により崩れると、心身を壊してしまうのです。
また有酸素運動は、身体に適度なストレスを与えます。この運動を繰り返すことにより、適度なストレスがかかった際の終了時トレーニングになる。結果的にコルチゾールのコントロールを、無意識に身体が習得していきます。実際に仕事や対人関係でストレスがかかった際も、無意識にホルモンコントロールが行えるということですね。
最後に
本日は「苦しみの脳内物質」のお話、いかがでしたか?
3つの苦しみの脳内物質は、完全悪ではありません。これらの物質があるからこそ、私たちは意欲的になり、様々なことへ意識を向けることが出来る。重要なことは「コントロール方法を学ぶ」こと。そのための「マインドフルネス瞑想」や「運動習慣」という日常テクがあるのです。
そしてどのようなタイミングで分泌するかを客観的に理解できれば、1日の行動習慣により幸福な脳内をデザインすることも可能ですよね。次回の記事では、より具体的な対策のお話に移っていきます。楽しみにしていてください。
本日はご精読ありがとうございました。
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