ゴールの作り方

マネジメント

 本日のテーマは「ゴールの作り方」のお話です。

 目の前の作業に対して「やる気・モチベーション」が上がらない原因として、タスクに対して無価値と認識していることが挙げられます。価値観とタスクがシンクロしていなければ、集中力が高い状態で楽しく取り組むことは出来ません。では価値観とタスクがシンクロすれば「やる気・モチベーション」の問題が払拭されるのでしょうか?実は、一概にそうと言えないのも事実。

 これらの問題の鍵は「ゴール」にあります。どんなに価値観に従ったタスクであったとしても、ゴールが明確でなければ、長期的に走り続けることは出来ないからです。まず目の前の作業に対して、正しいゴール作りを心掛けましょう。本章では「ゴールの作り方」として3ポイントをご紹介していこうと思います。

抽象具体変換法

 ゴールの作り方1ポイント目は「抽象具体変換法」です。

 抽象具体変換法とは、タスク継続の先にあるゴールを具体的なものに設定すること。

①具体の認識得意

 ではなぜ抽象的なゴールではなく、具体的なゴールを設定した方が良いのでしょうか?それは私たちの脳の仕組みにあります。脳は「抽象」より「具体」を認識する方が得意です。具体的にイメージする程に、認知機能のキャパシティを燃費良くエコに活用することが出来るのです。

 自身の認知機能の高さを自負している人であったとしても、ゴールの具体化は必須です。なぜなら私たちは、疲労度や外部の環境によって認知機能が変動するものだから。もちろん高い認知機能を持つ人は、その振れ幅が他の人より高い地点で揺れ動いているかもしれません。ですが一定ではないことは全人類共通の真理です。

②カリフォルニア大学の実験

 カリフォルニア大学のゴールによる実験でも、具体化の重要さを示唆しています。

 この実験では、抽象的なゴールを掲げたグループと、具体的なゴールを掲げたグループの2手に分けて観察を行いました。結果として、抽象的なゴールを掲げたグループは集中力・満足度ともに低減しましたが、具体的なゴールを掲げたグループはそれらが向上したのです。この事象は脳がゴールを認識するのに、具体的なゴールの方がエネルギーを消費しなかった証拠とも言えますね。

③専門用語・数字NG

 最後に、ゴールに含めてはいけない2つのNGポイントのご紹介です。

 それは「専門用語」と「数字」です。

 専門用語が含まれたゴールは、瞬時に脳が理解出来ません。思考という余白を作り出し、この積み重ねがゴール達成を阻害するのです。また数字も具体性が低いツールです。数字とは人が作った発明であり、あくまで感情の察知ではなく理性の察知が必要となってしまうもの。具体例を挙げれば「体脂肪1ケタを目指す」というゴールより、「腹筋を割る」というゴールの方が認知労力がエコなのです。是非、言葉を巧みに使って、抽象を具体に変換していきましょう。

マイルストーン設定法

 ゴールの作り方2ポイント目は「マイルストーン設定法」です。

 マイルストーン設定法とは、自ら作成したゴールを分割して中間地点のゴールを作成すること。

①マイルストーン

 マイルストーンという言葉は、もともと鉄道や道路の中間地点の距離を表すための目印として使用された標石です。それを最終的なゴールを達成するための道筋にある、中間地点のゴールを標石として例えています。

②大脳辺縁系はせっかち

 なぜマイルストーンを設定するのかと言うと、感情を司る大脳辺縁系がせっかちだからです。具体的には、結果が出るまで時間がかかる作業に対してモチベーションが上がりにくく、匙を投げやすいという特徴を持ちます。時間という足枷は作業の難易度も塵積で上げ、私たちのやる気を吸い取ってしまうのです。

③中間地点の効用

 そこで中間地点のマイルストーンを定めて、正しく目先のゴールに意識が向けば難易度は大幅に下がります。そして大脳辺縁系はモチベーションを取り戻すのです。小さなゴールの積み重ねにより、気づいたときにはとんでもない所へ到達しているものでしょう。

 具体的にはゴールまで1年以上かかるのなら、2~3ヶ月おきにマイルストーンを設定することをオススメします。あとは最終ゴールだけを見ずに、作業中は目先のゴールへの意識を持ちましょう。

未来遡り法

 ゴールの作り方3ポイント目は「未来遡り法」です。

 未来遡り法とは、未来から現在に向けてマイルストーンを作成すること。つまり逆算思考を持って、時間の流れとは逆のイメージで「最終ゴール→マイルストーン」の順番でゴール作りを行います。

①未来との心理的距離

 なぜ遡る必要性があるのかと言うと「未来との心理的距離が近くなる」から。

 私たちは未来から現在に向けて物事を考えると、未来が近づいてきたような錯覚を脳内で起こします。逆に現在から未来に向けて考えれば、未来が遠ざかっていくような感覚に誘われるのです。

 そして瞬間的快楽に強くなるのは、未来との心理的距離が近い方ですよね。なぜなら長期的快楽と自分との距離が縮まり、問題が自分事だと正しく認識することが可能だから。

②逆算の準備

 ただここで異論を唱える方もきっといるでしょう。マインドフルネス瞑想などで推奨される内容で、「今、ここに集中する」というポイントが核として紹介されています。もちろん過去や未来の反芻思考をストップして、今ここに集中するからこそ正しく作業を熟すことができます。

 しかし、それはあくまで未来遡り法でゴールの逆算という準備を行った人の場合です。準備がない状態で今ここに集中していれば、それこそ瞬間的快楽を満たして終わりです。「幸せに生きる」というゴール達成だけであれば、それだけで良いのも事実かもしれません。しかし「自己実現・他者貢献」というゴールは達成出来ません。ここで1度自分の価値観に自問自答して、ゴールをどこに置いているのか吟味してみましょう。

③「無知・天才は幸せ」・「秀才は苦しい」

 この事象は「無知と天才は幸せ」で「秀才は苦しい」という客観的事実とも当てはまりますね。何も考えずに今ここに集中できる無知と、未来遡り法でマイルストーンを設定した後に今ここに集中した天才は幸せを感じます。しかしゴールを中途半端に描き、感情のコントロール方法を理解していない秀才が1番苦しむということです。まず未来を描いて、そして今ここに集中するという習慣を私はオススメします。

最後に

 本日は「ゴールの作り方」のお話、いかがでしたか?

 目標となるゴールを達成出来るか否かの違いは「能力の差異」よりも、実は「ゴールの作り方」の問題だけなのかもしれません。ゴール作成力もスキルアップする対象と認識して、トライ・アンド・エラーを繰り返しながら高みを目指していきましょう。

 本日はご精読ありがとうございました。

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