文章はミュージック

文章・プレゼン

 本日のテーマは「文章はミュージック」というお話です。

 一見、全く関連性がないようにみえる「文章」・「音楽」という2つの事柄。しかし、この2つの本質部分には共通項が存在します。つまり文章は音楽と同じようなモノだと認識を持つことが、文章力向上の一助となるのです。では本質部分とは一体何なのでしょうか?

 この本質を3部構成で深堀りしていきましょう。見出しとしては「文体はリズム」・「心地良い文体の条件」・「バンドの比喩」となっています。

文体はリズム

 まず「文体はリズム」に比喩できます。

 文章でいわれる「文体」とは、音楽でいうところの「リズム」のようなものでしょう。

 まず文体について語彙の解説です。

 文体とは、文章に表れる筆者特有の性質のこと。「語彙」・「表現方法」・「比喩の用い方」など、それぞれ文章には個性が表出しますよね。それらの文体を心地良いと感じたときに、読者は違和感なくスラスラと読解を進めることができるのです。逆に文体に対して不快を感じれば、活字に目を通すことすら苦痛を感じます。

 音楽でのリズムも、この事象と全く同じではないでしょうか。曲それぞれによって、ビートの刻み方は変わり、聞き心地への好みを生み出します。そのリズムに不快さを感じれば、ミュージックに包まれる感覚にはなりえないでしょう。

 音楽の曲調に好き嫌いが分かれるように、人それぞれ心地良さを感じる文体も分かれます。音楽でも様々なジャンルが存在するように、文章でも多数の筆者が独自的な文体を活字の中で踊らせているのです。

心地良い文体の条件

 ただし共通項となる「心地よい文体の条件」もあります。

 ミュージックでも明らかにリズム感が悪く、不快に感じる演奏もありますよね。文章も明らかに文体が良くないものもあり、不快に感じる文章は存在します。では心地良い文体の条件とは、一体何なのでしょうか?

①論理展開

 それは「論理展開」です。

 ビートが正しく刻まれたリズムは、論理展開が正しくできている文体と全く一緒です。文章構成の種類は「PREP法」・「起承転結法」・「序論・本論・結論」など様々ですが、それぞれに型に則って正しく論理展開できていることは、読みやすさの必須条件ということですね。逆に論理展開が出来ていない文章は、支離滅裂な文章というイメージになるでしょうか。

②中日ドラゴンズの具体例

 ここで1つ、プロ野球の中日ドラゴンズというチームを用いて具体例を紹介します。まずリズム・文体がよろしくない、支離滅裂なモノを下記に記載します。

   中日ドラゴンズは立浪新体制で2022年シーズンを迎えた。

   お客さんは満員の来場者である。

   これからも選手たちには練習に励んでほしい。

 この文章は3つのパーツごとに見ると、どれも間違ったことを言っていません。そのことから正しく論理展開されている錯覚も起こすでしょう。しかし、実は支離滅裂な文章です。なぜなら文と文が繋がっていませんよね?

 「立浪新体制で迎えたシーズン」である事と「満員の来場者」である事は、プロ野球の前提知識を持っていない人からすると意味が分かりません。また「満員の来場者」である事と「選手たちには練習に励んでほしい」というファンによる願いの間にくる文章も省略されてしまっている。では次に論理展開が上手に施されているものを紹介しましょう。

   中日ドラゴンズは立浪新体制で2022年シーズンを迎えた。

   立浪さんは選手時代にMr.ドラゴンズと謳われた人物で人気があった。

   その影響からお客さんは満員の来場者である。

   多くのお客さんに喜んでもらうために、これからも選手たちには練習に励んでほしい。

 上記のように文と文の間の説明を省略せずに繋げることにより、心地良い文体が出来上がります。これは個性云々の前に必要な、絶対的な論理展開という根幹なのです。 

バンドの比喩

 最後に文章を「バンドの比喩」でご紹介していきます。

 文章でいう「語彙・表現方法」は「ボーカル・ギター」のテクニックに例えることができます。そして「論理展開」は「ベース・ドラム」が生み出すリズムに比喩できるのです。

 ボーカルの素晴らしい声質や歌唱テクニックがあったとしても、ギタリストが高度な技量を持ち合わせていたとしても、全体的なリズムが崩れればミュージックは台無しでしょう。だからこそ音楽とは、ベース・ドラムが基礎となり地盤を固めていくのです。

 文章でもボキャブラリーが豊富であり、表現方法のレパートリーをいくつか持ち合わせていたとしても、全く同じことが言えます。論理展開の能力が著しく低ければ、全てがシャボン玉のように消え去ってしまうでしょう。もちろんテクニックも大事ですが、まずは基礎となる論理展開という地盤を固めましょう。

最後に

 本日は「文章はミュージック」というお話、いかがでしたか?

 多くの人が表面上に見える「語彙・表現」・「ボーカル・ギター」に目が行きがちですが、物事の中枢にある「論理展開」・「ベース・ドラム」こそが、最初に身に着けなければいけない能力です。是非、論理展開の鍛錬を重ねてくださいね。

 本日はご精読ありがとうございました。

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