断定はハイリスク・ハイリターン

文章・プレゼン

 本日のテーマは「断定はハイリスク・ハイリターン」というお話です。

 前回の記事で、断定の持つ脅威的なパワーの紹介をさせて頂きました。自分の意見を断定することは、論理性を凌駕するほどの説得力を生み出します。なぜなら言い切ってしまうことにより「自信の表れ」を生み出し、ハロー効果により主張に信憑性がある錯覚を起こすから。

 ですが断定は諸刃の剣であり、薬にも毒にもなる代物です。それだけの強大な効果は、違った方向へと働けばマイナスの効果を生みだしてしまうのです。

 本章では「断定はハイリスク・ハイリターン」というテーマについて、3枠で深堀りしていきたいと思います。

賛同・反発

 断定はハイリスク・ハイリターン・1枠目は「賛同・反発」についてです。

 まず断定の言葉が辿る、2つの道筋のお話です。そのゴールとは「賛同」か「反発」かの2択へと、相手の心を誘うことです。主張を言い切ってしまえば、相手の反応に中途半端な態度・考えは生まれません。賛同か反発かの2択であり、「それも1意見だよね」という認識にはならないのです。

 賛同してくれる場合は、自分への信用度が構築されていたり、他の価値観が共通していたり、前工程として相手に共感していたりの諸条件が重なります。しかし自分への信用度がなく、価値観の共通項もない、共感なんてしたことがない。そんな相手からの断定の言葉には、どんな正論であっても反発してしまうこと間違いなしでしょう。

 この反発という事象が、断定のリスクとなり、使用するときには注意が必要である理由です。ですので断定を使った説得前には、自分自身の人格を研磨したり、相手との関係性構築に注力していきましょう。

トレードオフの世界

 断定はハイリスク・ハイリターン・2枠目は「トレードオフの世界」です。

 しかし断定にリスクがあるとはいえ、怖がってばかりも良くありません。なぜならこの世はトレードオフの世界であり、何かを得れば何かを失う世界だからです。つまり「断定しないことにもリスクがある」ということ。では、断定しないリスクとは何なのでしょうか?

 そのリスクとは、自分の言葉に説得力がなくなること。つまり相手を良い方向へ導くことができないとも表現できますね。逃げの物言いは説得力を下げてしまい、結果自分の意見を何も通すことはできなくなってしまう。

 気に入られる人数を増やすことは出来るかもしれませんが、何も自己の意見が通らないという状態は苦痛なもの。また相手が言い訳の思想により、明らかなマイナスの結果に突き進んでいたとしても、それを助けてあげることすら出来ない。大切な人が地獄へ進むのを知りながら、その歩みを肯定するのは歯がゆい気持ちになるでしょう。

 つまり説得とは、断定というリスクを犯してこそ生まれるもの。断定しないリスクについても、しっかりと客観視していきましょう。

磁石の比喩

 断定はハイリスク・ハイリターン・3枠目は「磁石の比喩」です。

 最後に、断定することの賛同や反発の働きを、磁石による磁力の働きと類似してご紹介します。

 磁石にはN極とS極があり、別々の極同士であれば引きつけ合うでしょう。しかし同じ極同士を近づけようとすると、逆に反発し合ってしまうのです。ここには磁力が働いており、その範囲のことを磁界と呼びます。

 そして断定も全く同じ。自分にはない長所を持ち合わせる相手からの断定は、自身の心を賛同へと導きます。逆に自分と同じ短所を持つ人の断定には、強い反発の心を覚えるのです。これは同族嫌悪とも呼び、相手を通して自分の嫌な面を見ることによる自己嫌悪とも言えるでしょう。

 このように断定は、まさに磁石なのです。

最後に

 本日は「断定はハイリスク・ハイリターン」というお話、いかがでしたか?

 論理性を凌駕するほどの説得力を持ち合わせる断定ですが、大きなリスクとなる副作用を持ち合わせています。ですがマイナス面ばかり怖がっていれば、短期的に小さな苦痛から逃れられても、長期的に大きな苦痛として膨れ上がってしまう。どちらのリスクも俯瞰して、時折は断定の言葉も使用していきましょう。

 とは言っても、やはり相手からの反発を受けるのは嫌なものですよね。そこで断定のリスクとなる反発を、緩和するテクニックを次章ご紹介していきます。是非断定のスキルも磨いて、嫌われずに相手を良い方向へ導ける人間を目指していきましょう。

 本日はご精読ありがとうございました。

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