本日のテーマは「ルーティーン3点セット」というお話です。
現代人は非常に忙しい人が多く、やらなければいけない作業で溢れています。そのような環境下から、最低限の作業を片すことが出来ず1日が終わってしまった。こんな経験は誰しもがあるのではないでしょうか?その小さな失敗体験が少しずつ蓄積され、自己効力感という「自分はやれば出来る」という種類の自信喪失へも繋がってしまう。
この状況を打破するために「ルーティーン3点セット」という、仕組みづくりのテクニックをご紹介していきます。本章は3部構成になっていて「if-thenプランニングの応用」・「ワーキングメモリの容量」・「習慣化ルール2選」の流れでお送りします。
if-thenプランニングの応用
ルーティーン3点セット1部目は「if-thenプランニングの応用」です。
①if-thenプランニングとは
if-thenプランニングとは、きっかけと行動をセットでつくる時間管理テクニックのこと。
ifのターンではトリガーとして「行動するためのきっかけ」を設定します。そしてthenのターンでは「具体的な行動」を明確にするのです。「〇〇になったら〇〇する」と言った具合ですね。あとは感情や環境に流されず、このルールを厳守して行動をしていくだけ。
②コロンビア大学・ハイディ・グラント・ハルバーソン
コロンビア大学の社会心理学者ハイディ・グラント・ハルバーソンさんの研究によると、if-thenプランニングを守ることにより、作業実行確率が2倍~3倍に跳ね上がるのだとか…。そしてこのif-thenプランニングを応用したテクニックこそ、本章でご紹介している「ルーティーン3点セット」です。
③ルーティーン3点セット
ルーティーン3点セットでは、3つの作業を1セットで仕組み化していきます。つまりif-thenプランニングのifのトリガーから、3つの作業を芋づる式に行うということですね。
具体例としては「18時になったら、皿洗いする→皿洗いしたら、明日のToDoリスト作成→明日のToDoリスト作成したら→読書する」という具合です。このように3つを組み合わせることにより、多すぎるタスクの未達成の割合を劇的に良い方向へ変革することが出来るのです。
ワーキングメモリの容量
ルーティーン3点セット2部目は「ワーキングメモリの容量」です。
ではなぜ3つの作業の組み合わせに、制限する必要があるのでしょうか?
もっと無数の作業をセットにできれば、一気に作業を片してしまえる。そう感じた方も、きっといると思います。実はここにも理論があります。それはワーキングメモリの容量が「3~4つ」のことしか、同時に認識することが出来ないからです。
①ワーキングメモリとは
ワーキングメモリとは、脳の中にある短期記憶を司る領域のこと。
情報を一時的に広げるためのスペースとも言えますね。大脳皮質にある無数のニューロンに、たくさんの知識が詰まっています。ですが同時に広げられる知識は、ワーキングメモリの容量しか引き出すことができないのです。
②机と棚の比喩
これは机と棚に比喩できるでしょうか。
家に収納棚がたくさん設置されていれば、作業道具がいくつもしまえますよね。ですがどんなに作業道具があったとしても、作業中に使用できる道具は机の大きさしか引き出せない。
これと同じで大脳のニューロンに多くの情報が詰まっていても、情報開示の容量は3つから4つ。それ以上のタスクという情報をいくつ重ねたとしても、脳のキャパを超えてしまうだけでしょう。結果的に、作業自体を投げ出す可能性が高まってしまう。だからこそルーティーン3点セットで作業を重ねるにしても、3つ程をオススメしているのですね。
習慣化ルール2選
ルーティーン3点セット3部目は「習慣化ルール2選」です。
では実際にルーティーン3点セットを作成して、行動に移したとします。ですが最初のうちは、まだ習慣化されていませんよね?
まだ体で覚えている状態ではないので、少しでも作業への意識を解けば「やり残しがある日」もいくつか生まれてしまうことでしょう。とは言っても1度習慣化してしまえば、本能的に作業を無意識でも行えるようになります。この状態を作り上げるための「習慣化ルール」を、ここでは2つご紹介していきます。
①1週間4回の作業
習慣化ルール1つ目は「1週間4回の作業」です。
習慣にするためには、何度も反復することが必要です。ですが反復の間隔があまりにも空きすぎてしまうと、本能は習慣化する前にすぐに忘れてしまう。こうなれば理性の力で、また意識するしかなくなってしまうでしょう。ですから間隔を空けすぎないことがキーになってくるわけですね。
そこで「1週間4回の作業」を最低、行うようにしてください。週3の作業では、どうしても体に覚えさせるには少なすぎてしまう。それを証明するために「ジム通いの人の研究」をご紹介します。
この研究では被験者を集め、6週間の期間は意識的にジムに通ってもらいました。その際に「週3未満でジム通いしたグループ」と「週4以上でジム通いしたグループ」に分けたのです。そして6週間の観察期間を超えたあとにジム通いの強制を解き、継続率を統計として出しました。すると「週4以上でジム通いしたグループ」のほうが継続率が高かった。
つまり長期的な習慣にしたければ、最低週4で続けることは必須であるということですね。
②6~8週間の継続
習慣化ルール2つ目は「6~8週間の継続」です。
では1週間4回の作業をどのくらいの期間継続すれば、無意識でも行えるくらい体に染み込ませることができるのでしょうか?
それは6~8週間の期間です。この期間継続することにより、体に作業が染み付くという平均値がでています。つまり最初の1ヶ月から1ヶ月半が1番大変な時期で、この期間を超えれば楽にタスクをこなせるようになるでしょう。
またこの期間、作業の投げ出し防止のために「カレンダーに丸印をつけていく」というテクニックも使用してみてください。やはり記録をつけていないと、フィードバックがすぐに出ない作業を継続することは苦しいもの。ですので自分でフィードバックを感じられる仕組みをつくり、是非この期間を乗り切りましょう。
最後に
本日は「ルーティーン3点セット」のお話、いかがでしたか?
作業量が多い現代では、どうしてもやり残し作業が生まれる確率が上がってしまいます。そんな状況下でも出来るだけ達成率をあげるために、ルーティーン3点セットの仕組みづくりを活用してみてください。
ルーティーン3点セットを、1日に3つ作れば9つの作業をこなすことができる。このようにワーキングメモリの容量となる「3」という数字を意識して、多くの人が合理的なマネジメントが出来る手助けになれば良いなと思います。
本日はご精読ありがとうございました。
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