本日のテーマは「達成バイアスを利用する」というお話です。
達成バイアスとは、長期的で複雑なタスクよりも、短期的に簡単なタスクに意識が向いてしまうこと。なぜなら古代では、現代のように長期的な成果を目指していたら餓死してしまうから。だからこそ、私たちは楽なモノに飛びついてしまう。
例えばスマホ・ジャンクフードにハマったり、読書・勉強に意識が向かなくなったりするなど。これら全て達成バイアスの影響で、本来であれば自制心をもって対処すべきバイアスなのです。ですが本章では「利用する」と述べています。これは一体どういうことなのでしょうか?
本章では「達成バイアスを利用する」というテーマを3部構成でお届けします。
ハーバードビジネススクールの研究
まず「ハーバードビジネススクールの研究」のご紹介です。
ハーバードビジネススクールは、達成バイアスを深く調べるためにビジネスパーソンを2つのグループに分けました。その差異として、1日のタイムスケジュールの中で「難しい作業からこなしたグループ」と「簡単な作業からこなしたグループ」に分けたのです。そしてどちらのグループが、1日の「集中力維持」や「仕事のトータル成果」が良かったのかを検証しました。
ではここでシンキングタイムです。皆さんは、どちらのグループが生産的だったと思いますか?
答えは意外にも「簡単な作業からこなしたグループ」でした。先延ばしが良くないよと言われる昨今では、嫌な作業を先に片そうと推奨されます。そのアドバイスと真逆の結果が出たということですね。ではなぜ真逆なのでしょう?
ドーパミンの力
その理由は「ドーパミンの力」によるものです。
ドーパミンとは、報酬が得られたときに分泌する快楽ホルモンのこと。ポジティブで意欲的な気持ちに引き上げ、モチベーションを向上させることでも知られています。そして「簡単な作業からこなしたグループ」は電光石火による作業達成という報酬で、ドーパミン分泌に成功したのです。
作業効率・質を上げるための要素として、ポジティブで意欲的であることは重要なファクターです。その視点から見れば、まず達成バイアスに従ってポジティブというガソリンを供給する。そのガソリンが保持されているうちに、難しめの作業に着手してしまう。するとドーパミンの力により、難しい作業の難易度が下がって本人も楽しくなってくるという理屈ですね。
モチベーション管理能力
ただ注意点として「モチベーション管理能力」を鍛えておく必要性が生じます。
なぜかといえば簡単な作業に居続けたいという気持ちを抑えて、難しい作業に移動できなければ本末転倒になってしまうから。どんなに簡単なことでも、時間量という要素は私たちの脳にジャブを与えます。長時間スマホは疲れていない錯覚を起こすかもしれませんが、それはドーパミンが魅せるマヤカシです。1日の脳キャパを使っていることに変わりはないのです。
そこでモチベーション管理能力により、簡単なタスクを10分以内で終わらせましょう。ガソリンスタンドで車のガソリンを入れ終わったのに、タンクをいくつも持ってきてガソリンを入れたりしませんよね?目的は車が走ることであり、ガソリンをストックすることではない。このイメージが達成バイアス活用でも重要です。
モチベーション管理能力を鍛える方法やテクニックなどはいくつかありますが、ここでは「5秒カウントダウン」をオススメします。頭の中でカウントを鳴らして、5秒以内に考えることなく作業の転換をすること。これをルーティーンにしてしまいましょう。すると難しい作業への切り替えもすんなり行えて、集中力高い状態で取り組めますよ。
最後に
本日は「達成バイアスを利用する」というお話、いかがでしたか?
多くの方が簡単で楽しめる作業から着手したいけど、それを後回しにして先に難易度の高いものを片そうと試みます。しかし簡単なものからの着手は主観的幸福感だけではなく、作業効率・質の観点からもプラスの状態を生むことができたのです。是非、達成バイアスを利用して楽しくアウトプット成果を出していきましょう。
本日はご精読ありがとうございました。
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