本日のテーマは「短く簡潔に話す」というお話です。
人に伝える技術を極めようと思った時に、多くの人が陥りやすい罠が存在します。それは自分が頭の中で感じている、全ての内容を話そうとしてしまうこと。もちろん最終的には、全て理解して貰えるというゴールを目指すべきでしょう。ですが話す情報を取捨選択しなければ、1つも理解されずに終わってしまう。ではなぜ伝えたいことを、理解してもらえないのでしょうか?
その理由は、人間が1度に多くの情報を処理しきれないからです。相手の話で見聞きした情報が増えすぎてしまい、キャパオーバーを起こしてしまいます。またこちらも多大な情報量に意識が向きすぎて、分かりやすく伝えるための表現が疎かにもなりがちです。そのために少ない情報量で、短く簡潔に話すことを意識しましょう。
本章では、短く簡潔に話すためのポイントを2つご紹介していきたいと思います。
結論の明確化
短く簡潔に話すためのポイント1つ目は「結論の明確化」です。
まず準備として、伝えたいと感じている3~4つの結論を頭の中で定めます。そしてあとは端的にアウトプットするだけ。絶対に、頭の中に浮かんだことを五月雨式に話すことだけは避けましょう。
では本項では、結論の明確化を妨げる2要因をご紹介します。
①余分な言葉が多い
結論の明確化を妨げる要因1つ目は「余分な言葉が多い」こと。
余分な言葉とは、「あのぉ」や「ええと」などの、話と話の区切りでついつい口ずさんでしまう言葉たちです。ではなぜこれらの言葉たちは、表に出てくるのでしょうか?その理由は「沈黙が怖い」から。話の間にし~んとなることを怖がりすぎて、余分な言葉で無意識に間を埋めようとします。そして伝えたい結論の言葉たちが、その中に埋もれてしまうのですね。
ポイントとしては、「余分な言葉を言わない意識」よりかは「沈黙を怖がらない意識」を持つようにしてみてください。きっと間があってもいいのだと思えれば、伝えるのに必要な文字たち以外は、話し言葉としてアウトプットされないはずだから。
②具体例が多い
結論の明確化を妨げる要因2つ目は「具体例が多い」こと。
具体例は、有効なプレゼンテクとして有名です。なぜなら抽象的な内容を理解することが苦手な脳に対して、具体的な内容を交えることで理解を容易にしてくれるから。しかしこの効果が発揮できるのは、結論1つに対して具体例1つの場合でしょう。
なぜなら具体例が増えすぎると、話の総量も増えてしまいます。すると情報処理のキャパを具体例のせいで超えてしまい、本来の目的を見失って本末転倒してしまう。本当に伝えたいことは具体例ではなく、結論ということを忘れずに内容を取捨していきましょう。
主語・述語への配慮
短く簡潔に話すためのポイント2つ目は「主語・述語への配慮」です。
主語と述語に対して配慮するという要素も、短く簡潔に話すためには重要です。では具体的に、どのような配慮を心掛けていけば良いのでしょうか?
本項では、3つの主語・述語への配慮方法をご紹介します。
①主語と述語の一致
主語・述語への配慮方法1つ目は「主語と述語の一致」です。
相手に伝える1文では、必ず主語に合った述語を選択するようにしてください。もしも呼応していない述語を選択してしまえば、それこそ支離滅裂な話に豹変してしまいます。例えば「私の家庭での問題は、息子を無事高校入試に合格させることです」と話している人を見たら、どう思うでしょうか?
主語では問題定義をしているのに、述語では目標表明になってしまっています。このような文言になってしまえば、簡潔に話すことを妨げてしまいますよね。これらの問題が置きてしまう理由として、1文を長くしすぎてしまうことが挙げられます。上記の具体例は短い文章ですが、多くの人がこの1文の主語と述語の中に様々な内容を凝縮させるでしょう。つまり1文を短く切っていないのです。
そして自分がどんな主語を使用したのか忘れてしまい、全く無関係な述語を使用してしまうのですね。文章であれば後で修正することも出来ますが、プレゼンはスポーツのように瞬間的なアウトプットで全てが決まってしまう。そのため普段から1文ごとに区切り、主語と述語を呼応させる癖をつけていきましょう。
②述語のフェードアウトNG
主語・述語への配慮方法2つ目は「述語のフェードアウトNG」です。
日本語は述語が最後にくる文法方式です。ピークエンドの法則で最後が大事だと言われるように、述語の締めくくりによりプレゼンの印象も変わってきます。だからこそ述語をはっきり表現させましょう。そしてその為にはフェードアウトを行ってはいけません。
フェードアウトとは、述語に向かう中でどんどん声が小さくなってしまうこと。プレゼン研修参加者で、割合として20人に1人が声が小さくなってしまうのだそうです。声がどんどん小さくなると、外部からは自信がない印象に見えてしまいますよね。
そして人は自信がないように話された内容を、信憑性に関係なく懐疑的に感じてしまう生き物です。これが相手の記憶に伝えたい内容が、届かなくなってしまう原因でしょう。ですので声量は変えずに、最後まではっきりと言い切らねばならないのです。
③体言止めNG
主語・述語への配慮方法3つ目は「体言止めNG」です。
体言止めとは、述語を使わずに名詞や代名詞で終わらせてしまうこと。例えば「僕の友達は好奇心旺盛」という文章がこれに当たり、俳句などにも良く用いられます。私も文章作成のときに時々活用していますが、プレゼンでは絶対に避けるべきでしょう。
なぜなら体言止めは、プレゼンなどの話し言葉にすると、聞き手により誤解を生みやすくなってしまうから。好奇心旺盛という言葉で寸止めされれば、「えっ、どっち?」という気持ちが少なからず湧いてしまいますよね。これが文章であれば前後の文脈の確認で理解を補填できますが、プレゼンでは間違った理解へと舵を切ってしまう可能性も否めないのです。
だからこそ「です」・「ます」など、述語としての言葉でしっかり言い切るべきでしょう。
最後に
本日は「短く簡潔に話す」というお話、いかがでしたか?
多くの人が勘違いしている話し上手の特徴として、長時間でも話し続けられる人という誤解があります。ですが話し上手な人とは、伝えたいことを短く簡潔に話すことができる人のことを言うのです。
また本日の趣旨とはズレてしまいますが、本当の話し上手は聞き上手のことですよね。また「話し手・聞き手」の双方の立場から見たテクニックも、随時更新していきたいと思っています。
本日はご精読ありがとうございました。
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