本日のテーマは「トゥールミンの議論モデルを活用」というお話です。
人前でプレゼンをする際の、絶対的な守りごとが存在します。それはプレゼン前に、話の内容を収納するためのロジック・ツリーを作成すること。どんなに有益な内容を伝えていたとしても、それらが整理されておらずに飛び交っていたらどうなるでしょうか?きっと聞き手の記憶に残る可能性は、一気に萎むはず。
このような状態を阻止するために、知識・情報の散乱防止となるロジック・ツリーをつくりましょう。そして本章ではロジック・ツリーの具体的な枠組み「トゥールミンの議論モデル」をご紹介していきます。
結論・根拠・論拠の3要素
トゥールミンの議論モデルとは、20世紀イギリスの科学哲学者「スティーヴン・トゥールミン」が提唱した理論です。
議論モデルの内容としては、結論・根拠・論拠の3要素で議論を組み立てること。つまりロジック・ツリーの頂上を結論に設定し、そこから2段目の葉として根拠・論拠と続いていくのです。さらに具体例という葉も付け足せれば、さらに分かりやすくなるとも思います。
では3要素について、少し深堀りしながら覗いていきましょう。
結論先行の理由
まずは「結論」です。
結論では、結論先行型で話を進めなければいけません。その理由としては、話の中枢・全体像を理解してもらうため。中枢や全体像が把握できていれば、聞き手は深く考えずに安心して、話の内容をインプットすることが可能となります。根拠・論拠・具体例スタートであれば、何の話をしているか考えて聞かなければいけませんよね。ですが結論先行では、連想が容易いので考える手間を排除して聞くことが可能となるのです。
もちろん根拠・具体例から話しても、相手に話が伝わるケースはあるでしょう。意外性で笑いをとったり、注意喚起で聞き手の意識を集中させたい時には有効な応用テクでもあります。しかしこれらのプレゼン方法は、聞き手に多少の集中力や考える力を依存した話し方です。プレゼン初心者のうちは、話が間違って伝わってしまうというケースもあるので注意が必要ですね。
2次情報はNG
次に「根拠」です。
結論を説明するための根拠で、厳守しなければいけないルールがあります。それは2次情報がNGなこと。まず1次情報と2次情報の定義についてお話します。1次情報とは、数字やファクトなどの客観的事実のこと。それに対して2次情報とは、数字やファクトを見て、個人が感じる意見や感想のことです。つまり主観が変われば、見方も変わってくるもの。
例えば「1998年長野オリンピックが開催された」という情報は、明らかな数字やファクトとなる1次情報ですよね。見る人が変わったからといって、変容することはあり得ないでしょう。それに対して「金メダルをとれたことがすごい」と感じる人もいれば、「華麗に中を舞う姿に感動した」と感じる人もいます。これは1つの事象から、別の2次情報を浮かべているという典型例です。
ここで話を戻します。議論モデルで活用する根拠には、1次情報の根拠をいれなければいけません。ここは留意しなければいけないポイントで、多くの人が根拠に自分の意見や感想を持ってきてしまう。つまり主観を根拠だと、本人も勘違いしているのです。この状況を打破するために、普段から「数字・ファクト」か「意見・感想」かという取捨選択を習慣にすることが大切です。
論拠という言葉
最後に「論拠」です。
論拠という言葉は、あまり聞く機会の少ない言葉ですよね。定義としては、根拠を証明するための前提知識のこと。つまり根拠の根拠でもあり、トゥールミンは「隠れた根拠」と表現をしています。
例えば「結論・彼女は美女である」→「根拠・なぜなら彼女は二重でぱっちりな目をしている」といった文章があったとします。しかし根拠までの文章だと、なぜ二重でぱっちりな目をしていると美女なのか懐疑な気持ちが湧いてしまいます。特に深く吟味している人は、その確率が高まるでしょう。もし聞き手に質問されれば、それに対して返答することも出来なくなってしまいますよね。
ここで「論拠・現代日本では、二重の人を可愛いという主観がマジョリティにある」と言った文言が入れば、根拠が正しく機能し始めます。つまり時代によって美の定義が違うことが理解でき、現代日本だからこそ二重が根拠になるのだと納得できるのです。このように論拠も上手く使い、あなたの伝える内容の信憑性をさらに飛躍させていきましょう。
最後に
本日は「トゥールミンの議論モデルを活用」というお話、いかがでしたか?
分かりやすくプレゼンテーションを進行できる人は、必ずと言って良い程にこの法則を厳守しています。結論・根拠・論拠の3点に意識を張り、すぐに実践してみてください。反復のアウトプットで、あなたは伝えたい内容が分かりやすい人へと大きく近づけるでしょう。
本日はご精読ありがとうございました。
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