本日のテーマは「誤り矯正法②感情刺激」というお話です。
相手に誤った言動があって、その間違いを矯正して正したい。ですがその願いは、率直に指摘しただけでは叶わないでしょう。では一体どのようなアクションをとれば、相手の誤りを矯正することができるのでしょうか?
その解決手段として、前記事から「誤り矯正法」をご紹介させて頂いています。本章では、第2段となる「感情刺激」についてです。人間は論理の動物ではなく感情の動物です。だからこそ相手に寄り添って呼びかけ、感情を刺激しましょう。では感情刺激を2枠で覗いていきます。
共感の言葉
感情刺激1枠目は「共感の言葉」です。
相手の間違いに気づかせて誤りを矯正したいなら、まず共感の言葉を投げかけましょう。なぜなら共感の言葉には承認欲求を満たし、相手を変革させるだけの強大なパワーがあるからです。とは言っても、全て共感したのでは相手の誤りを気づかせることが出来ませんよね。
①あなたの立場だったら
そこで「自分もあなたの立場だったらそう感じるな」という言葉を、プラスで投げかけてみてください。「自分もそう思うな」という言葉で共感してしまえば、もう間違いを指摘できません。ですが「あなたの立場だったら」と前提を添えるだけで、その後に誤りを指摘しやすくなるのですね。この前提の言葉は、まさに指摘と共感の両立を可能にする魔法の言葉なのです。
②人柄形成の成り行き
ですが相手の誤りの言動に、全く共感できないと心の底から感じてしまうこともあるでしょう。そう感じたのなら「人柄形成の成り行き」について少し深く考えてみましょう。
私たちの人柄は、一見自分自身で選び作ってきたものと感じてしまいます。ですが遺伝子的なモノやそれまでの環境など、複雑な要素の絡み合いが今のあなたの人格を形成しているのですね。
もしもあなたが犯罪者の思想を持った親のもとで教育を受けたのなら、良識ある社会人として成長できたと断言できるでしょうか。私たちが犯罪者と同じ思想を持たなかったのは、そのような環境の両親のもとに生まれたからです。そこまでイメージを広げて、頑固で偏屈な人であったとしても相手の立場に立ちましょう。自分が相手と同じ、遺伝子や環境で生まれたところまで想像してみるのですね。
良心の呼びかけ
感情刺激2枠目は「良心の呼びかけ」です。
人は誰しも自分なりの正義を掲げ、その人の価値基準による良心を持ち合わせています。この事象に対して、ソクラテスは「誰1人として悪を欲する人はいない」というパラドックスを残しているくらいです。そこで良心に呼びかけ、感情を刺激することにより相手の誤りを矯正していきましょう。
①悪事のケース
では良心の呼びかけの話の前に、まず悪事をしている人の内面を少し覗いてみましょう。
嫌いな人物に対して影で愚痴を言う。または経営難のために社員をリストラする。これらは一般的に、悪いことと言われることでしょう。ですが行った本人は悪だと認識しておらず、逆に正義の遂行をしたと感じているケースも多々あるのですね。
愚痴を言ったケースなら、相手が非道徳的な人なので道徳的な自分が正義の鉄槌を述べたと良心を感じていることでしょう。またリストラのケースでは、大勢の社員を守るためにしょうがない犠牲だと感じているかもしれません。このように人は誰しもが自分なりの主観で、それぞれの正義を掲げ良心を持っているのですね。
②立派な人物として扱う
そして本題となる良心の呼びかけ方法です。
具体的アクションでは「立派な人物として扱う」ことです。実際に立派だからそう扱うのではなく、いきなり根拠もなしに立派な人への対応をするのですね。すると普段は利己的な考えをする人であったとしても、相手による心からの信頼を裏切りたくない気持ちが湧いてきます。
これは承認欲求を満たすというGiveを最初に与える行為であり、相手は返報性の原理からその信頼に抵抗できなくなってしまうのです。そして誤り矯正の行動さえ起こしてくれれば、あとは一貫性の原理が働いて行動と思想が一致していく。このように相手の持っている良心に呼びかけ、誤りを矯正していきましょう。
最後に
本日は「誤り矯正法②感情刺激」というお話、いかがでしたか?
相手の誤りを矯正したいのなら、論理で攻めても成功する確率は極めて低いでしょう。なぜなら冒頭でお話した通り、人間は論理の動物ではなく感情の動物だからです。だからこそ相手の立場に立ち、まずは共感から入る。そして立派な人物として扱い、相手の良心に呼びかけましょう。
感情刺激を1人でも多くの方が身につけ、自分の主張をぶつけ合うのではなく、お互いが切磋琢磨できる関係性を維持できたら嬉しいなと思います。
本日はご精読ありがとうございました。
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