本日のテーマは「Yesを重ねる・ソクラテス問答法」というお話です。
自分の意見を相手へ説得する際に、あなたはどのような伝え方を心掛けているでしょうか。もし何も創意工夫せずに説得すれば、きっと意見が受け入れられることは稀でしょう。
そこで紀元前となる大昔の人物・ソクラテスから、説得の心得を学んでいきましょう。彼が編み出した説得術は「ソクラテス問答法」というものです。では一体、どのような説得術なのでしょうか?本章では2枠に分けて紐解いていきます。
ソクラテスという人物
ソクラテス問答法1枠目は「ソクラテスという人物」についてのお話です。
まずテクニックの前に、ソクラテス問答法を編み出した人物のお話となります。提唱者の人となりを知れば、自分自身の中で信頼性も高まりますよね。すると行動にも、落とし込みやすいのではないでしょうか。
①四聖の1人
ソクラテスは、古代ギリシアの哲学者で紀元前5世紀の人物です。
また四聖(しせい)の1人にも数えられます。四聖とは、世界史上での4人の偉大な思想家のこと。他の3人を列挙しても「中国の孔子」・「ユダヤのキリスト」・「インドの釈迦」と、時代に名を残した者ばかりです。
②ソクラテスの言葉
次にソクラテスの言葉を2つご紹介します。
1つ目の言葉は「誰1人として、悪を欲する人はいない」というパラドックスです。パラドックスとは逆説のことで「一見正しそうに見えて間違っている」又は「間違ってそうに見えて正しい」という意味ですね。誰もが自分の主観で正義を感じているので、悪だと自身を認識していない。つまり一見悪は存在するように見えて存在せず、全てが主観という物語であることを表した言葉です。
2つ目の言葉は「無知の知」です。この言葉は自分に知識がないことに気づいた者は、それに気づかない者より賢いという意味を持っています。つまり勉強の深さを表しており、深堀りするほどに分からないことは増えていく。分かったと自負している人は、実は1番賢くないということですね。
玉転がしのイメージ
ソクラテス問答法2枠目は「玉転がしのイメージ」です。
①Yesと答える雑談
では本題となる、ソクラテス問答法の中身について触れていきましょう。
イメージとしては、「会話」を「玉転がし」する感覚で実践していきます。
具体的な方法として、説得前にまず雑談しましょう。雑談の留意点として、ただ思いついたことを話すだけではいけません。相手がYesと答える質問や話題ばかりを取り上げ、雑談していくのですね。
②肯定的感情と否定的感情
すると相手はYesを重ねることになり、心理的に肯定的感情が強化されていきます。
肯定的感情のときにあるお願いをされると、人はYesと言ってしまいがちです。それが通常時であれば、Noと言うお願いであったとしてもです。逆にNoを重ねて否定的感情が強化されていれば、よっぽど興味・関心が高い物事でないと説得することは難しいでしょう。
説得するには主となる伝え方も大事ですが、準備段階の感情づくりも重要であるということですね。
③玉転がし
そしてこれこそ「玉転がし」と全く同じではないでしょうか。
玉を転がそうとしたとき、止まった状態の玉を動かすのはとても力が必要です。しかし1度転がり始めた玉ならば、比較的弱い力でも動かすことは可能です。逆に転がしたい方向と真逆の方向に玉が転がっていれば、その力を止めてさらに動かす力もいる。
これこそ否定的感情と肯定的感情での説得の難易度が違う事象と、同じ現象ではないかと思います。
最後に
本日は「Yesを重ねる・ソクラテス問答法」というお話、いかがでしたか?
人間は基本的に、論理よりも感情で動く生き物です。だからこそ相手の肯定的感情を、ソクラテス問答法によってまず作り出しましょう。すると相手は自身の価値観と逸れた説得内容に対しても、心が動く可能性が生まれるはずだから。
本日はご精読ありがとうございました。
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