本日のテーマは「説得しない文章術」というお話です。
人に見せる文章を執筆するとき、誰しも自己満足で終わらずに相手の共感や変革を求めています。「自分の主観を分かって欲しい」という共感の気持ちや、「過去の自分と同じ悩みを持つ人を助けたい」という変革への気持ちが動機となることでしょう。
そして多くの人が陥りがちなパターンとして、説得してしまうという罠があります。しかし相手を変えたければ、説得せずに自然と心が変化するように促す必要があるのですね。本章ではそんな心を動かす「説得しない文章術」について2部構成でお話を進行していきます。
理路整然とした説明NG
説得しない文章術1部目は「理路整然とした説明NG」です。
①論理は武器
論理的に構成され、理路整然とした説明の文章はとても分かりやすいモノでしょう。きっと相手が真逆の意見を持っていたとしても、論理で押し切られれば納得せざるを得ないかもしれません。
②論理でなく感情の動物
しかし人間は、論理ではなく感情の動物であり説得では決して動きません。
どんなに正論で合理性を説かれたとしても、感情がその気にならなければ行動はできないのです。ビジネスで理路整然とした文章は、短く分かりやすく推奨される。しかし「自分への共感」や「相手への変革」を目指すのであれば、実は理路整然こそが不合理な方法なのですね。
関心&関連付け
説得しない文章術2部目は「関心&関連付け」です。
では説得しない文章術とは一体、どのようなモノなのでしょうか?
その具体策こそが、まずは相手の好きなモノに関心を寄せて、その後に「伝えたいコト」と「関心を寄せたコト」を関連付けていくことなのですね。
①好意という大前提
なぜなら人間は自分が好きなモノに関心を寄せて貰えると、承認欲が満たされて相手に好意の印象を持ちます。相手を変えたいのなら、この好意の印象が大前提となる。
想像してみてください。一体誰が嫌悪を感じる相手の意見を、自分に取り入れようと思えるでしょうか?まずは共同体を作りましょう。
②関連付けの説明
そして傾聴で聞かせてもらった「相手の関心事」と、自分が今から「伝えたいコト」を関連付けて説明していきます。すると相手は提示された情報が、他人事から自分事に変化します。そして好奇心の炎が心に着火して、「学んでみよう、変革してみよう」という気持ちになるのですね。
③歴史を伝える
では具体例を覗いていきます。
あなたは知人に「歴史の楽しさ」を伝えようとしていたとします。
しかし相手は過去にあまり関心がない様子で、未来のことが大好きです。特にIT関連が好きなようです。では、IT関連と歴史を関連付けて説明してみましょう。
「人類は認知革命、農業革命、産業革命で大きな前進をしてきたが、その次の変化の波が今のIT革命の世の中だよね」と繋ぎ合わせていく。そして過去にも、新しいものを発展させようという志を持った人たちの意志を伝える。するとIT関連で発展を望んでいる彼の価値観とマッチングをおこし、相手も歴史を学んでみようという気持ちが湧くかもしれません。
是非、この具体例のように「相手の関心事」と自分が「伝えたいコト」を関連付けた物語を作成してみてくださいね。
最後に
本日は「説得しない文章術」というお話、いかがでしたか?
このように文章は、短く纏めれば良いというものではありません。関心&関連付けは文章量も多くなりがちですし、一見遠回りにも見えるでしょう。しかしその遠回りが人の心を動かして、行動へも繋がっていく。
また余談ではありますが、関連付けすることによって自分のアイデアを生み出す練習にもなり、相手の立場に身を置く練習にもなります。まさに一石三鳥の文章術なので、文章執筆の習慣として身に着けていきましょう。
本日はご精読ありがとうございました。
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