ヘラクレイトスによる学ぶ姿勢「万物流転」

客観力

 本日のテーマは「ヘラクレイトスによる学ぶ姿勢・万物流転」についてのお話です。

 ヘラクレイトスとは、紀元前6~5世紀の古代ギリシアの哲学者です。約2500年程前の遠い偉人ですが、彼が残した言葉「万物流転」という4文字には、学ぶ姿勢の原則が詰まっています。

 万物流転とは、この世に存在する全てのモノは、絶え間なく変化して留まることがないという意味です。「時代による価値観」や「人間の命」さえも、マクロの視野で見れば見るほどに停留しないことに気づきます。つまりたった1部の、少ないページに刻まれたモノであることが理解できるのですね。

 では万物流転について2部構成で覗いていきましょう。

アイデンティティ執着の誤り

 万物流転について1部目は「アイデンティティ執着の誤り」です。

 私たちは変化に対する不安から、自分自身のアイデンティティに居座ろうとします。つまり今に執着する気持ちが湧いてしまうのですね。

①不満と共に生きる選択

 確かにアイデンティティ執着は、一時の不安回避になり平穏な気持ちを短期的に守ってくれるかもしれません。しかしそこには自己成長はありませんし、トレードオフの犠牲として課題・問題は達成できません。

 それはまさに、不満と共に生きる選択をしたこととも同義なのです。

②身体や環境は万物流転

 さらに酷なことに、身体や環境は万物流転を繰り返します。

 自分のアイデンティティが変化しなかったとしても、周りが変化するのであれば否応なしに変わらざるを得なくなってしまう。では身体の老化や世界の環境変化の要因で、受動的にアイデンティティを変化させられた人は、自分にとって良い方向へ変化したのでしょうか?

③主体的変化は利益

 答えはNoです。

 得てして受動的変化の人は不利益を、主体的変化の人は利益へと進んでいきます。

 だからこそ目先の不安を恐れずに、どんどんと新たなモノを吸収していく必要があるのですね。どちらにしろ人はいつか、万物流転で変わってしまう。そうであれば今、自分の頭で考えて良い方向へと変化しましょう。

④トライ・アンド・エラー

 とは言っても最初から、上手くはいかないでしょう。失敗により不安が的中して、今よりもマイナスの結果を被る可能性だってあります。

 しかし何度もトライ・アンド・エラーを繰り返せば、きっと良い方向へと変化できるはずです。短期的に損して見えて、長期的には得をする。この行動の第1歩の勇気を、万物流転という言葉から学びましょう。

勉強することは変化すること

 万物流転について2部目は「勉強することは変化すること」というお話です。

 勉強することにより、何か新しい情報を知ることができます。そして情報という材料で思考して、深く考える程にそれは知識へと変容していく。

①1の知識の人と100の知識の人

 ではここで1つ質問です。

 1の知識を持っている人と、100の知識を持っている人がいるとして、2人は同じようなアイデンティティを確立しているでしょうか?

 答えはNOです。1つの知識を手にした人と、100の知識を手にした人では、それまでの経験値が違います。自分の頭で考えた冒険の末に見る景色と、あまり考えずに今ここに居座った人が見ている景色が同じはずがありませんよね。つまりアイデンティティとは、ここまで見た景色によって形作られるものとも言えるのです。

 これはまさに「勉強することとは変化すること」と同義と言えるのではないでしょうか。

②ガンと桜

 ここで1つ、養老孟司さんの著書「バカの壁」で取り上げられていたお話をご紹介します。

 それは「ガンと桜」のお話です。

 誰もが毎年春になると、桜を目にするでしょう。ではここでイメージしてみてください。あなたが「ガンの末期で余命が半年」だと告知されたとします。そして春になり、例年のように桜を見た。つまりあなたの人生にとって、最後の桜です。その桜は、例年までの桜と同じモノに見えるでしょうか?

 私もガン末期になったことがないので断定は出来ませんが、少しイメージしただけでも全く別のモノに見える感覚がします。実際にガン告知という情報を知り、それに対して思考した先にはどのような桜が見えるのかは未知数です。

③勉強も同じ

 このガンの告知を受けることは、勉強することと同じです。

 今知らないモノを見聞きして、それに対して自分の頭で考える。これが本当の勉強です。その先にはアイデンティティが否応なしに変化して、今見ている世界が何も変わらなかったとしても、全く別のモノに見えることでしょう。

 つまり勉強とは情報・知識を手にする好奇心だけでなく、それによってアイデンティティ変化で新たな世界を見るという極上の好奇心も抱けるのですね。

 少しでも日々の毎日に退屈さを感じているのなら、勉強してみましょう。するとあなたは同じ場所で同じことを繰り返していても、世界を冒険している感覚に包まれるはずだから。

最後に

 本日は「ヘラクレイトスによる学ぶ姿勢・万物流転」というお話、いかがでしたか?

 全てのモノが絶え間なく変化しているという原則からは、誰も逃れることは出来ません。どんなに現状に執着したところで、必ずその状況とはお別れしないといけない運命なのです。

 そうなのであれば、今より幸せな状況を手に入れるために勉強してみましょう。そしてアイデンティティを変化させて、冒険の毎日を過ごし好奇心を満たしましょう。きっと今まで、すごく小さな世界で生きていた感覚になると思います。

 本日はご精読ありがとうございました。

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