コントラストの魔法

マーケティング

 本日のテーマは「コントラストの魔法」というお話です。

 皆さん、唐突ですが質問です。例えば、ある特定のモノを見聞きして触れたとしましょう。その際にいつでも同じように、そのモノを認識すると思いますか…?

 答えはNoです。人間はその時々の自分自身の状況により、見聞きしているモノが同じでも違って感じられるもの。その最たる例として「コントラストの魔法」も挙げられます。

 コントラストとは「対照・対比」という意味を持つ英単語ですが、この魔法は私たちの認識を大きく歪曲させることでしょう。本章ではコントラストの魔法について、深堀りして2部構成で覗いていきます。

1番目と2番目の錯覚

 コントラストの魔法について1部目は「1番目と2番目の錯覚」です。

 私たちは1番目に見聞きしたものに対して、2番目に見聞きしたものが異なった性質の場合に錯覚を起こします。その錯覚とは、実際の傾向以上に2番目の性質を見積もりがちになってしまうのですね。

①コントラスの具体例

 例えば、イケメン・美女と接してすぐにフツメン・フツ女と出会ったとします。すると通常時に普通と感じる感性よりも、低い評価を心の中で認識してしまうもの。逆も然りで、実質以上にイケメン・美女に見えることでしょう。

 他にも春の心地よい季節の中で20℃後半に気温が上がるのと、真夏の猛暑日が続く時期で20℃後半に気温が下がるのでは、大きく認識は錯覚を起こすもの。きっと前者は暑さに嫌悪感を感じ、後者は涼しさに心地良さを感じると思います。それが実質上、同じ気温であるにも関わらずです。これがコントラストによる魔法なのですね。

②水の実験

 では次に、コントラスの魔法を体験して頂ける「水の実験」をご紹介します。

 まず3つの容器を用意して、冷水・常温水・お湯をそれぞれ注いでいきます。そして左右の手で、冷水とお湯に手を突っ込んでいく。その後しばらく時間が経過したあと、同時に両手を容器から取り出して常温水に手を突っ込んでみてください。さぁ、一体どのような感覚に陥るでしょうか?

 解答としては冷水に触れていた手は、常温水がとても温かく感じるはず。逆にお湯に触れていた手は、常温水が冷たく感じます。同じこの瞬間に、同じ常温水を触れているのにも関わらず全く別のモノに感じる。まさに私たちの認識が、いつでも客観性がないことを証明した実験と言えるのではないでしょうか。

ビジネスによるコントラスト

 コントラスの魔法について2部目は「ビジネスによるコントラスト」です。

 そして資本主義社会となる現代では、コントラスの魔法がマーケティングとして幅広く活用されています。ここでは具体例を2つ程取り上げ、ご紹介したいと思います。

①アパレル販売

 ビジネスによるコントラスト1つ目は「アパレル販売」です。

 アパレル店員さんは、接客でお客さんにまず高価なコートやジャケットを勧めます。そして安価なTシャツやシャツ、アクセサリーなどはそれ以降に接客するのですね。なぜでしょう?

 理由はコントラストの魔法により、2番目に提示されたTシャツやシャツを実質以上に安価に見せるためです。いきなりTシャツやシャツを勧めたのであれば、お客さんの相場に対する客観性は高いまま。購入の吟味に対しても、冷静な視野で考えることが出来るでしょう。

 しかし高価なコートやジャケットを先に見せれば、お客さんの判断を鈍らせられる。つまり断られる可能性を、コントラスの魔法で低く出来るというわけです。高価な商品は、断られることを前提に接客しているケースも多々あるとということですね。

②車のディーラー

 ビジネスによるコントラスト2つ目は「車のディーラー」です。

 ディーラーで働く店員さんは、まず車の売値を決定させて契約を締結させます。その後にオプションを1つずつ提示して、その都度の契約を問うのです。しかし手間を考えれば、全ての値段が決定してから契約した方がスムーズに感じるでしょう。なぜ先に、車の売値を締結させようとするのでしょうか?

 その理由は車の売値を認識させ、オプションの価格を比較させるためです。高額な車本体の価格を見たすぐ後になら、オプションはとても安価だと錯覚してしまうもの。もしスーパーでその値段を見たら、高額すぎて絶対に手を出さなかったとしてもです。

 最後の合計金額による提示で、あまりの高価さに驚愕しても、きっと後には退けません。なぜなら一貫性の原理もマーケティングに活用され、二段重ねの仕組みとなっているから。購入すると1度断言したコミットメントは強く、プライドの防衛に走ってしまうこと間違いなしなのですね。

最後に

 本日は「コントラスの魔法」というお話、いかがでしたか?

 コントラストの魔法の知識を得ることは、商売をしていない人にも必要なモノだと思います。なぜなら自己防衛の手段になるからです。資本主義社会では、モノを売ることが正義です。実際にその人が必要でないモノも、必要だと錯覚させて、欲しいと思わせる仕組みがアチラコチラに施されています。

 もちろん商売を否定している訳ではありませんが、自分の時間・労力・お金は有限なモノです。だからこそ自分の価値感から見て、必要なモノかを吟味すべきだと思います。是非、コントラストの魔法を意識して、無駄なモノに時間・労力・お金をかけないようにしていきましょう。

 本日はご精読ありがとうございました。

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