本日のテーマは「文章においての素人の役目」というお話です。
ある分野に対して文章を書き綴りたいという気持ちを感じても、多くの人が行動に落とし込めません。なぜでしょうか…?その理由は自分自身が素人の域にいると自覚しており、自分以上に玄人がたくさん存在することを俯瞰できているから。
しかし、この理由で行動制限がかかっているのなら無視しましょう。なぜなら素人が伝えるからこその長所もあり、玄人が陥りがちな罠もあるのですね。つまり素人には素人の役目が、玄人には玄人の役目があるということ。
本章では、素人と玄人の特徴をそれぞれ紐解いていきましょう。
素人の特徴
まずは「素人の特徴」についてです。
素人とは、経験が浅くまだ未熟な人のことを指します。
これだけ聞くと、様々な経験をして熟練した人に教えて欲しいと誰もが思うかもしれませんね。しかし自分と距離が近いからこそ、分かりやすく伝えられるという側面もあるのです。
①相手の立場に身を置ける
その理由として「相手の立場に身を置ける」ことが挙げられます。
文章だけでなくコミュニケーションでも重要な原則ですが、相手の立場をイメージすることは素人の方が圧倒的に行いやすいもの。
なぜなら、まだ無知だった時代が近いからです。単純に考えても遠い過去と近い過去であれば、想起しやすいのは圧倒的に後者です。つまり共感することに関しては、素人が最強のポジションなのですね。
相手の心を動かす文章の核心は、実は論理ではなく感情です。理路整然とした説明よりも、心の琴線が響いた内容や共感で行動に移そうと人は思う。この視点から見ると、素人にも役目があることを認識して頂けるのではないでしょうか。
②基礎知識・専門用語への客観視
また素人は「基礎知識・専門用語への客観視」が出来ています。
ある分野で常識となる基礎知識もデフォルトで使う専門用語も、一歩外の世界に出てみると当たり前ではありません。
そして素人は少し前まで、外の世界で当たり前となるこれらを知らなかった。だから目の前の無知の初心者が、それを理解出来ていないことにも無意識に気づける。そして簡単な言葉に置き換えたり、基礎知識や専門用語の解説文章を取り入れることができるのですね。
玄人の特徴
次に「玄人の特徴」を見ていきましょう。
玄人とは、経験が深く熟練した知識・技能を持つ人のこと。
これだけ聞くと、誰もが素人ではなく玄人に教わりたいと思うもの。しかし知識・技術はあるけれど、教えるための知識・技術が低い玄人もいる。特定の分野と教えるという分野は、全く別スキルということですね。
①子供の頃からの常識
教える能力が低い玄人は「子供の頃からの常識」として染み付いている人が多いでしょう。
相対性理論で有名なアインシュタインの言葉に「常識とは、18歳までに身につけた偏見のコレクションでしかない」という言葉が存在します。
この言葉の意味を紐解くと、自分自身が感じている主観は自分が18歳までに偶然に遭遇した環境によりつくられた考えの集合体です。人の数だけ歴史ありで、他人から見れば非常識だということも多々あるのです。これを知らなければ、基礎知識や専門用語を誰しも知っている真理だと勘違いしてしまう。そして微細に解説することなく、知っていること前提で文章を前に進めてしまうのですね。
②披瀝したい欲求
他の要素としても「披瀝したい欲求」が悪さをしやすいでしょう。
披瀝とは、心の中で感じていることを全て打ち明けたくなる気持ちこと。好きなものを語ることは承認欲求に直結して、玄人は大抵がその分野が大好きです。もしも披瀝したい欲求のまま話せば、読者からすると情報過多になってしまう。
文章では相手の知らないことを、全体の3割で含めると良いと言われます。それ以上の知らないことは、相手の脳のキャパを限界突破させてしまうのですね。つまり披瀝したい欲求に駆られれば、相手は情報量の多さにパンクしてしまう。
披瀝の感情抑制ができる人であれば良いですが、ある分野の能力が突出しているからといって、感情抑制能力が突出している訳ではありません。こうなれば素人の方が、もともと持っている情報量が少ないので無知な初心者の立場から見ると分かりやすい。伝えるべき3割を、無意識にアウトプットできるという訳です。
最後に
本日は「文章においての素人の役目」というお話、いかがでしたか?
このように素人ならではの長所により、感情を揺さぶり、本当に重要なことだけ伝えられるという結果へ導ける。もちろん前提知識を知った上で、次のレベルの情報を目指している人もいます。そこでは玄人の役目もあるでしょうが、どちらにも役目があるというファクトは真実です。是非コンプレックスは跳ね除けて筆をとり、あなただけの役目を果たしてください。
本日はご精読ありがとうございました。
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