一貫性欲求の源泉

問題解決

 本日のテーマは「一貫性欲求の源泉」というお話です。

 人間は誰しもが一貫した言動を取り続けたい、またはそう周りから見られたいと感じる欲求を持っています。この一貫性欲求の発動条件は特定の事柄にコミットメントすることで、その後は本人の意思と関係なくコミットに沿った行動をとるでしょう。まさにイギリスの動物行動学者・リチャード・ドーキンスの言葉「生物は遺伝子の乗り物である」を証明する、1つの事象とも言えますね。

 ではなぜ私たちは言葉や行動でコミットメントした事柄に、無意識に従ってしまうのか…?この原因究明のため、本記事では一貫性欲求の源泉を深堀りしていきたいと思います。

社会的評価

 一貫性欲求の源泉1つ目は「社会的評価」を受ける手段になるからです。

①信頼できる要素

 多くの人が、他者に「人間的に信頼できる人だ」と感じる要素は何でしょう?

 それは言動が、常に一貫した人なのですね。

 感情の起伏に惑わされず、どのような局面でも同じ意思を貫いている人を見ると、私たちは安心感を感じます。逆に言っていることがその都度違ったり、行動と言葉が不協和を起こしている人を見ると「この人は大丈夫か…」と疑心暗鬼の心が生まれるはず。

②真心・自制心のモノサシ

 ではなぜ私たちは、筋を通している人に信頼感を感じるのでしょう?

 その理由は「真心・自制心のモノサシ」になるからです。

 もしも真心が全くなく、相手から奪うことばかり考えているテイカーだとしましょう。そのような心持ちでは、きっとその時々の利益に釣られて裏表が生まれてしまうもの。またどんなにキレイな心を持っていても、自制心がなく弱い人間であれば、最終的には利己的に走ります。欲求が抑えられず、快楽のために一貫性を放棄してしまうのです。

③裏切る可能性の察知

 つまりこのような人は、自分を裏切る可能性が高い。それを本能が察知しており、無意識に一貫性がある人に近づこうとする。そして自分も一貫性がある人間に思われたいとも感じ、過去のコミットに影響された言動を取り続けてしまうのですね。

苦しみ遮断

 一貫性欲求の源泉2つ目は「苦しみ遮断」になることです。

 一貫性を無意識にとることは、思慮を伴わない動物的な反応です。そのことから物事を深堀りすることによって生じる苦しみと、自分自身が向き合わずに済むのです。

①資本主義の具体例

 例えば、投資家・経営者のビジョンやお金を創造するために「世の中の労働者が時間と労力を捧げている」という、資本主義の残酷な真実を目の当たりにしたとしましょう。この弱肉強食の世界から抜け出すためには、思考して解決策を模索するしかありません。

②思考でアクションが見つかる

 思考さえすれば、問題解決のためのアクションが見つかるもの。

 もちろんその解決策は十人十色であり、ある人は勉強や副業などのアクションに向かうかもしれません。またある人はサラリーマンの中でのカーストに拘らず、心身に負担がかからない仕事を選択して、今ここの幸せに気づくというアクションを見つけられるかもしれませんよね。

③自己防衛の要塞

 しかし考えることには、大きな労力がかかります。

 だからこそ一貫性を守り、自己防衛の要塞に隠れる。すると不快な現実に対して見てみないふりができ、苦しみに意識が出会わなくて済むのです。

 どんなに搾取されていようが、理性の激しい攻撃を受けようが、要塞が自分を傷つけないように守ってくれる。もしも考えてアクションを起こし、乗り越えられずに自分が潰れるよりはマシだと潜在意識が察知しているのですね。

最後に

 本日は「一貫性欲求の源泉」というお話、いかがでしたか?

 この一貫性欲求の源泉から学べることは、基本は一貫性を大事にする。しかし自分が抱える問題・課題を解決するためには、この一貫性に固執せず抗う必要がある。

 本当に信頼できる人とは、常に一貫性を守る人ではありません。自己変革のためならリスクを背負い、一貫性に抗える人のことを言うのですね。是非、1つ1つのアクションに対して「今は一貫性を守るか、抗うか?」と考える癖をつけてみてください。

 本日はご精読ありがとうございました。

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