管理通貨制度への流れ

経済

 本日のテーマは「管理通貨制度への流れ」についてのお話です。

 皆さんは日常生活で使用しているお金について、深く考えたことはあるでしょうか…?お金という人類がつくった発明品が「どのような仕組みで動いているのか?」、「なぜ私たちはそれを信用できるのか?」を、本記事では紐解いていきたいと思います。

 結論から述べますと、昨今では「管理通貨制度」の基でお金は成り立っています。元々は「金本位制」という制度の基で成り立っていましたが、主眼に置く目的変化により制度が移行したのですね。

通貨の種類

 ではまず制度のお話の前に、前提知識のお話です。

 ここでは通貨の種類を「正貨」・「兌換紙幣」・「不換紙幣」の3つでご紹介していきます。

①正貨

 正貨とは、金・銀で作られた通貨のこと。

 金貨・銀貨は、「実質的価値」と「額面上価値」の両方を兼ね備えている通貨です。実質的価値とは、そのモノ自体に価値があるもの。それに対して額面上の価値とは、等価交換を行うために数字で表した価値の尺度です。

 この正貨という通貨は金・銀で作られていますから、その素材自体が実質的価値を持ちますよね。そして実質的価値を持つものに、数字で表した価値の尺度を与えた。そのおかげで私たちは、等価交換(売買)をスムーズに行えるようになったのです。

②兌換紙幣

 次に兌換紙幣です。

 兌換紙幣とは、正貨と交換義務のある紙幣のこと。

 つまり兌換紙幣自体は、ただの紙やアルミニウムであり実質的価値はありません。しかし人間が、そこに虚構の数字として額面上の価値を与えたもの。だからこそ価値がない素材なのに、価値があるものとして私たちは活用することが出来るのです。

 また兌換紙幣の価値引き上げている要因として、金・銀との交換が出来ることでしょうか。紙やアルミニウムの素材に価値を感じなくても、それらが金・銀という価値あるモノと交換出来る約束が交わされている。だからこそ一見ガラクタの素材であっても、額面上の価値の作り話をスンナリと受け入れられたのですね。

③不換紙幣

 最後は不換紙幣です。

 不換紙幣とは、正貨と交換できない紙幣のこと。

 この紙幣自体に実質的価値がないことは、兌換紙幣と全く同じです。ただそこに追い打ちをかけるようにして、金・銀との交換という約束すらも消失してしまった。まさに人がガラクタに勝手に数字をつけ、その数字に価値があると信じている幻想の究極体です。

 まさにお金は信仰の1つであり、恐ろしいことに現在の紙幣は不換紙幣が流通した世界なのですね。ではなぜ不換紙幣が流通した世界になったのか、その制度移行の流れを事項で覗いていきます。

金本位制→管理通貨制度

 制度移行の流れとしては「金本位制」から「管理通貨制度」へ移行しました。

①金本位制

 金本位制とは、金・銀の保有量に対して通貨価値が決められた制度のこと。

 つまり金・銀と通貨(兌換紙幣)が交換できる制度であり、メリットとしては「為替(円・ドルなど)の価値安定」という目的が達成できるでしょう。

 通貨発行量は保有している金・銀の量で決まるので、無闇矢鱈に紙幣を増減することが出来ません。しかし制限量があるからこそ、その通貨に対して安定的な価値が生まれるとも言えます。そして安定的な価値により、お金への信用が高くなるのですね。

 全てのモノに言えますが、量が少なく希少性があるからこそ価値を感じる。アフリカの子供たちにとって食料は有り難いものですが、我々日本人は茶碗一杯のお米を食べるときに有り難いと毎回意識しているでしょうか。本当に価値を感じているのなら、TV・スマホを触りながら食事など出来ないはずでしょう。お金もそれと全く同じです。

②管理通貨制度

 それに対して管理通貨制度とは、通貨発行量を通貨当局(政府・日銀)が調節できる制度のこと。

 この制度で達成したい目的としては「国内経済の安定」です。経済を回すと言っても、そのためのツールとなるお金が必要です。これはライブ演奏において、楽器が必要なのと全く同じこと。

 しかし先程の金本位制では、通貨発行量は金・銀の総量で決まってしまう。とどのつまりお金というツールを、自由に増やすことが出来ません。経済学の基本で「人口増加→消費増加→経済成長」と言いますが、ツールのお金あってこその原則です。

 そして1929年から始まった20世紀最大の大不況「正解恐慌」により、様々な国々が管理通貨制度へ移行しました。「為替の価値安定」より「国内経済の安定」に主眼をシフトチェンジしたのです。日本でも1942年(S.17)に日本銀行法が制定され、政府の裁量で自由に不換紙幣を発行出来るようになった。これが現在のお金が成り立っている仕組みなのです。

最後に

 本日は「管理通貨制度への流れ」というお話、いかがでしたか?

 金本位制では、金・銀の対等物として紙幣は扱われてきました。つまり実際に価値あるものが担保にあったのです。しかし現在の管理通貨制度では、金・銀と通貨の関係が完璧に切り離された世界で私たちは生きています。

 つまりお金は政府信用の対等物であり、お金というツールがより虚構・幻想の度合いを強めたとも言えるでしょう。生きていく上でお金は必要なものですが、あまりにも自分の生きる理由をそこに捧げないでください。虚構の数字を増やすのではなく、様々な知識・体験を得て人間の振り幅を広げる活動に価値を感じてほしい。そのような人が1人でも増えたら、個人的に嬉しく思います。

 本日はご精読ありがとうございました。

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