本日のテーマは「日本が債務不履行しない理由」というお話です。
まず前記事の振り返りとなりますが、日本は毎年約45兆円程の赤字を嵩ませながら国家運営しています。どんな赤字状態であったとしても、国債を発行して借金さえすれば国家はいつまでも維持が可能となるのですね。まさに自転車は漕いで動いてさえいれば、いつまでも立ち続けられる理屈と同じです。
しかし、ここで1つ疑問が浮かびます。なぜ日本は債務不履行(デフォルト)しないのでしょうか?
債務不履行とは
債務不履行とは、国債の買い手がいなくなり国家の行政サービスが破綻すること。
実際にギリシャはデフォルトを起こしており、国家破綻に陥りました。そしてデフォルト時のギリシャの借金を見てみると「43兆円」ですが、2020年の日本の借金はそれ以上となる「1100兆円」だったのです。
借金の数字だけ見ると、日本の方が危機的状況に立っているようにも見えますよね。そんな状況でも日本が債務不履行しない理由とは、一体どこにあるのでしょうか?
ここからは2つの理由を、深堀りして見ていきましょう。
為替リスクの有無
日本が債務不履行しない理由について1枠目は「為替リスクの有無」です。
「円」は日本国内だけで使用される通貨ですが、ギリシャで使用される「ユーロ」はヨーロッパの複数の国々でも使用されています。この差異が、為替リスクの有無を生み出してしまうのですね。
①為替レートの変動
とどのつまり日本人は「為替レートの変動」を気にしなければいけません。
日本の金融機関・投資家が他国債に投資しようと思うと、円ではない取り引きを行うので為替差損を出してしまう懸念が生まれてしまいます。具体例としては「1ドル・100円」から「1ドル・80円」の円高状態になってしまえば、ドルの取引をしていた場合に「20円の損失」になるというイメージです。
しかしギリシャの金融機関・投資家は、ユーロ圏の他国債を為替レートの変動に影響されず購入することが可能となる。つまりギリシャ人は、為替リスクを気にしなくて良いということ。
ただ物事には、良い側面と悪い側面があるのが世の常です。そのメリットが仇となり自国債の信頼性が下がったのなら、その要素だけでギリシャ国債が購入してもらえなくなってしまうのですね。よっぽど愛国心が強くなければ、わざわざ借金の多いギリシャ国債を買うメリットは0と言えるでしょう。
②高金利&海外7割保有
そして否応なしにギリシャ政府は、ギリシャ国債を国債相場に出すしかなくなります。
しかし「ギリシャ政府は信用出来ない」と眉唾をかけられた状態は変わらず、それでも借りてもらうためには高金利にせざるをえなくなってしまう。それに対して日本国債は日本の金融機関・投資家が、為替リスクの損失を避けるために購入してくれる。そしていつまでも借り続けてくれるので、金利も低いままですむのですね。
他にも日本国債は日本人が9割以上購入していますが、ギリシャ国債は海外の人が7割保有をしています。これらの高金利や海外保有率の高さが、ギリシャをデフォルトへと導いたのです。
金融機関自身の破綻
日本が債務不履行しない理由について2枠目は「金融機関自身の破綻」です。
とは言っても国家が借金を抱えていると聞けば、そんな団体にお金を貸したくないと感じるのは普通の反応です。しかし日本の金融機関は、慈善事業の精神からではなく国債を買い続けています。なぜでしょう…?
①国債保有率の高さ
まず理由として「国債保有率の高さ」が挙げられます。
金融機関自身が、もう既に国債を多く保有してしまっている。そして国家破綻で国債が紙クズになれば、自然に金融機関破綻にも繋がってしまうのですね。
ちなみに大手金融機関の国債保有率は「資産の2割」と言われ、保険会社は「資産の4割」です。彼らは国債を大部分の投資先としているので、国家に倒れられては困る立場という訳です。
②新たな国債を購入
そこで金融機関や保険会社は「新たな国債を購入」します。
彼らが保身のために国家へお金を貸すことにより、国はいつまでも借金を増やしながら自転車操業が可能となります。お互いの組織が身を守るために、この実体のない不思議な感覚の事象をいつまでも遂行し続けているのですね。
③円・日本国内のみ関与
また円は日本国内のみの関与であり、海外との関与が基本ありません。
先程ご紹介したユーロであれば、ヨーロッパ諸国に関与している。だからこそ自国で、自由に紙幣が発行できないでしょう。
しかし日本国は、いざ満期で借金を返さなければいけない時期になれば、日本政府が自由に紙幣を刷ることができる。なぜなら円は、自国でしか関与していないのですから…。これが日本の経済が借金を増やしながら存続できる、不思議な現象を生み出している原理です。
④「預金・保険」→「年金・健康保険」
では最後に、少し余談のお話で締めましょう。
「預金・保険」より「年金・健康保険」の方が、絶対的に安全です。なぜなら、国家破綻は金融機関や保険会社の破綻に繋がってしまうから…。
たまにTVで「年金はあてにならないから、自分で預金・保険として備えよう」という言葉を耳にします。ただこれは金融機関からスポンサー料を貰っているマスメディアが流す、歪曲された情報です。
つまり国家以上に安全な金融機関など存在せず、国家が潰れれば金融機関も潰れます。しかし金融機関が潰れても、国家は潰れない。もしも年金・健康保険が信頼できないという理由で、預金・保険に意識を向けているのなら、安全な場所からわざわざ危険な場所に誘導されて搾取されているということになのです。
最後に
本日は「日本が債務不履行しない理由」というお話、いかがでしたか?
このような理由から、日本国は債務不履行せずに自転車操業を続けられます。今の正しいファクトを勉強して知ることは、他人からの搾取を免れるのに重要な営みです。
また多少なりとも危機感を感じれば、自己投資で力を手にして自立しようという気持ちも浮かび上がりますよね。最初は恐怖の気持ちがトリガーであっても、スキルアップ自体は楽しい営みです。多くの人が自己実現欲求・好奇心の虜となり、さらに結果として自分の力だけで生きられる状態を手にできると嬉しいです。
本日はご精読ありがとうございました。
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