ブロック学習の問題点

勉強・読書

 本日のテーマは「ブロック学習の問題点」というお話です。

 有益な情報を頭に残すには、暗記したことを1度忘却するまで寝かせる必要性が生じます。なぜなら脳は忘れていないコトを想起させても「知っていることだから、重要ではないな」と判断してしまうから…。逆に忘れたコトを想起したのなら「忘れたのに思い出したということは、重要だ」と認識するのですね。

 しかし多くの人は、無意識に寝かせない学習法に取り組んでしまっている。その非効率な方法こそが「ブロック学習」です。本記事ではブロック学習とはどのような学習法なのか、またこの学習法の問題点を3つほどご紹介していこうとも思います。

ブロック学習

 まずはブロック学習の定義を覗いていきましょう。

 ブロック学習とは、1つの学習内容に集中して勉強していくこと。例えば天文学を学んでいたとして、その学問を完璧な状態へと極めてから、次の学問を学ぼうとする具合でしょうか。

 この学習法を無意識に選択してしまう原因としては、完璧主義のマインドが関与しています。1つのモノが中途半端な状態で次のモノへ移ることに、強烈な不快感を抱くという仕組みです。

 しかしこの学習法では効率が悪いことはもちろんですが、忘れやすく活用しにくい知見にしかなりません。なぜでしょう…?

 では次項から、本題となるブロック学習の問題点について述べさせて頂きます。

想起がない

 ブロック学習の問題点1つ目は「想起がない」こと。

 ひたすら1つの学問ばかり勉強していると、その暗記した情報を想起するプロセスがありませんよね。

①努力量・時間量を無駄にする
 この事実は冒頭でもお話した通り、脳は「知っていることだから、重要ではないな」と判断してしまうことでしょう。つまり同じ努力量・時間量であったとしても、脳の認識が「重要か?、重要ではないか?」の判断により、その後の情報の定着度には天と地との差を生むことになるのですね。

②勉強時間が減る

 しかし、ここで反論が聞こえてきそうな気配もします。

 その反論とは「寝かせる時間に、勉強以外の別のことをしたら良いのでは…?」という意見です。ご尤もな意見であり、間違っていないとも思います。ただその勉強法では、トータルの勉強時間が減りませんか?

 私たちの時間・労力は有限であり、知らない情報は無限大と言えるほどに溢れかえっています。勉強が習慣になっている方なら共感して頂けると思いますが、情報を深堀りするほどに自分の無知さを痛感することになる。

 まさにソクラテスが「無知の知」という言葉を残した通りであり、好奇心を満たすには時間が圧倒的に少ないと感じるもの。とはいえこの点は価値観の問題もあるので、自分の好奇心の度合いによってはブロック学習でも合理的な選択になるかもしれませんね。

関連性の欠如

 ブロック学習の問題点2つ目は「関連性の欠如」です。

 複数の学問を学んでいれば、それぞれの源泉にある共通項を発見することが可能です。しかし1つの学問しか見聞きしていない人は、お互いの事象の中に関連性を持ちながら知識を習得していくことが出来ないでしょう。

①脳の壮大ネットワーク

 この学習法が非効率な要因としては、脳には壮大なネットワークが広がっているという根拠があります。

 脳の中では約1000億個のニューロン(神経細胞)が存在し、それを約1000兆個のシナプス(軸索・樹状突起)が繋いでいます。これらを繋げて頭にインプットする程に、1つのことを想起すると芋づる式に別の情報も引っ張り出すことが可能となる。まさに脳の中に、知識の木を育てるという行為でしょう。

 そして目の前の事柄への想起の度に、他の情報にも想起の力がかかる。1度のアウトプットが多面的なアウトプット活動になるので、博識な人の誕生を必然にしていく。しかしブロック学習では、この長所が活かせずにとても非効率な結果になりやすい。だからこそ同じ学問を学び続けることは、あまりオススメ出来ないのです。

②中枢に気づける

 また共通項を見つける事象は、中枢に気づけるという言葉でも表現できるでしょう。

 全く別の学問なのに複数にまたがって存在する内容は、物事の中枢であることは明白です。その中枢となる土台に先人たちが、新たな組み合わせとなるアイデアとして様々な学問を分岐していったということ…。

 そして中枢を知っていれば、初めて見聞きするモノへの習得スピードが飛躍します。何事も上積みされたモノを先に得るよりも、中枢の土台部分から得たほうが合理的でしょう。その他にも偏った思想が形成しにくくなり、新しいアイデアを自ら生み出す力にもなる。

 まさに百害あって一利なしとはこのことで、ブロック学習は多くのメリットを捨てる活動とも言えるのです。

集中力低下

 ブロック学習の問題点3つ目は「集中力低下」です。

①飽きが生じる

 人間は1つの刺激を繰り返していると、そこには飽きが生じます。

 この飽きは集中力に大きなマイナス影響を与え、同じ時間投下でも雲泥の差を生み出してしまうことでしょう。頑張っている割に結果が出ないという人は、飽きによる非集中状態での勉強を長時間行っているという証明です。時間にフォーカスを当てるのではなく、成果にフォーカスを当てる。この事象を深堀りして考えれば、きっとブロック学習の非効率さに直面できると思います。

②クレペリン検査

 またブロック学習の人は、クレペリン検査の理論を使い倒す確率が低下します。

 クレペリン検査とは、19~20世紀のドイツ精神科医エミール・クレペリンが発見した作業曲線のこと。この検査結果では、最初と最後の時間に集中力が高くなり、中間の時間は集中力が低くなるというもの。それを曲線にすると「Uの字」になるのですね。

 Uの字ができる根拠としては、脳が最初は元気なことから集中力が高い。また最後にはあと少しだと感じ、火事場の馬鹿力を発揮するからだと言われています。

 そして様々な学問を回しながら学習している人は、上手く行う仕組みとしてインターバルを設けている人が多い。それに対してブロック学習の人は、完璧主義に憑依されて休まず頑張ってしまう。こうなれば中間の低集中時間が増えることは明らかでしょう。

最後に

 本日は「ブロック学習の問題点」というお話、いかがでしたか?

 このように1つの学問だけを頑張る学習法は、効率的な方法とは呼べません。そして相対する学習法として「インターリービング学習」があります。次回記事では、効率的なインターリービング学習法について深堀りしていきたいと思います。楽しみにして頂けると嬉しいです。

 本日はご精読ありがとうございました。

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