「イシュー見極め」vs「ライフハック」

問題解決

 本日のテーマは「イシュー見極めvsライフハック」というお話です。

 仕事で成果を上げるために生産性向上を目指すとき、人々は様々なアプローチ方法に取り組みます。そのアプローチ方法の理論が紹介されている書籍で、安宅和人さんの著書「イシューからはじめよ」という本があります。

 本記事では、書籍の中で紹介されているアプローチ方法を2つご紹介して「どちらが生産性向上に適しているのか?」という答えを、一緒に吟味しながら見つけていきましょう。

イシュー見極め

 まずは「イシュー見極め」というアプローチ方法についてです。

 イシューの意味としては、課題・論点・問題点のことであり、ビジネス用語として良く活用される言葉です。

①課題の質

 そしてイシュー見極めとは、課題の質を上げること。

 仕事で成果を上げようとアクションを起こすことは、何かしらの問題と向き合っているということでしょう。その目の前の問題解決への課題は無数に広がっており、補助的に成果をグレードアップさせる課題や、成果を出すために絶対に解かなければいけない核心的課題などが存在します。

 その数多くの課題の中から、補助的課題ではなく核心的課題を見つけていく営みこそが「イシュー見極め」というプロセスなのですね。最初はどの課題が重要なのかを吟味していますし、仮説を立てる作業を行っています。つまり目先の課題をこなすというアクションを行っていない。しかし1度課題を見つければ「核心的課題のクリア=バリュー(価値・恩恵・利益)」となることでしょう。

②利根川進さんの言葉

 またマサチューセッツ工科大学の教授であり、ノーベル生理学医学賞を受賞した利根川進さんの言葉からも、イシュー見極めというプロセスを推奨していることが垣間見えます。その言葉は下記の通りです。

 「1人の科学者の一生の研究時間なんて限られている

  少し面白い程度でテーマ選択していたら

  大切なことをやる暇がないうちに一生が終わる」

 この言葉では人間の時間や労力は有限であり、まず作業を始める前に「何をするか?」の見極めが大事だよというポイントを説いています。

 もちろん好奇心が赴くままに深く考えず、全てを学ぼうとする姿勢も重要です。ただ何か成果を上げたいという目的を持つのなら、その方法は非合理的になるシチュエーションもあるということを覚えておきましょう。

ライフハック

 次に「ライフハック」というアプローチ方法についてです。

 ライフハックとは、作業効率を向上させるための工夫やツールのことを指します。

 仕事術だけでなく生活術にも使用される言葉ですが、手際よく作業をこなすための伊呂波とも言える内容でしょう。具体例を列挙すると、フレームワークとなる「ロジック・ツリー、MECE」、タスクリストとなる「ToDoリスト、やらないことリスト、アカウンタビリティチャート」、インターバルテクニックとなる「ポモドーロテクニック、ウルトラディアンリズムに乗る」など多岐に渡ります。

①成果の質

 そしてライフハックの目的は、成果の質を上げること。

 目の前の取り組んでいる課題に対して、どうしたら早くて品質の高い成果を仕上げるかに重点が置かれています。

 もちろん重要なプロセスである事に変わりはないのですが、仮に向き合っている課題がバリューを生み出すための核心的課題でない場合、なかなか具体的なベネフィットとしてアウトプットすることが出来ません。やはりこれらの要素を吟味していくと、イシュー見極めの方が大事であるように感じてきますよね。

②アメリカのことわざ

 最後にアメリカのことわざをご紹介します。

 「ハンマーしか持っていなければ、

  すべてが釘のように見える」

 このことわざは、核心的課題(本質)喪失に対する戒めの文字たちです。この項の冒頭でお話したライフハックツール(ハンマー)を手にしたことにより、効率さばかりに目が向いてしまう。そして全ての課題(釘)をこなそうと躍起してしまうのですね。

 アメリカのことわざ然り、利根川進さんの言葉然りで、やはり優先順位としてはイシュー見極めに軍配が上がるでしょう。

最後に

 本日は「イシュー見極めvsライフハック」というお話、いかがでしたか?

 2つの生産性向上へのアプローチ方法を吟味した結果、やはり答えとしては「イシュー見極め」から取り組むべきだと思います。

 もちろんライフハックを蔑ろにして良いという意味ではありませんが、効率を求めすぎると逆に効率を悪くしてしまうというのは良く見聞きする内容です。一見して遠回りに見えるアプローチが、最短のアプローチになるという事実を枕詞にして、毎日を取り組めると良いですね。

 本日はご精読ありがとうございました。


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