本日のテーマは「バリューへの道」というお話です。
本章でも前回と同じく、安宅和人さんの著書「イシューからはじめよ」の中身を抜粋しながらお届けしていきます。ここまでの復習として、バリューマトリクスというポジショニング・マップについて学びました。
本章では、バリューマトリクスのスタート地点となる左下の「ワースレス対峙タイプ」から、右上の「バリュー創出タイプ」へと向かう2つの道をご紹介していきます。
またバリューマトリクスの概要が分からなければ、本章の内容は理解が難しくなってしまいます。そのことから前記事の「あなたは今どこ?バリューマトリクス」をご閲覧して頂けると、嬉しく思います。簡単な復習の概要は、第1項でも記載させて頂きます。
バリューマトリクス
まずバリューマトリクスの復習の概要です。
バリューマトリクスとは、「課題の質」と「成果の質」の2軸を使って、ビジネスパーソンを4タイプに分類したものです。
①課題の質と成果の質
課題の質とは、問題解決のために絶対に解かねばならない核心的課題を見つけるの能力のこと。またの名を、イシュー見極めの力とも呼びます。それに対して成果の質とは、目の前の課題をこなす能力のことです。
そしてバリューマトリクスの作成方法として、まず横線として「課題の質」を引いていきます。右に行くほどにイシュー見極め力が高く、左に行くと逆に低いと考えてください。次に縦線の「成果の質」ですが上に行くほどに課題をこなす能力が高く、下に行く程に低いという具合です。
②ビジネスパーソン4タイプ
そして2軸によって、ビジネスパーソンは4タイプに分類されます。
右上のマスは課題の質も成果の質も高い「バリュー創出タイプ」、左上は成果の質だけ高い「ワースレス創出タイプ」、右下は課題の質だけ高い「バリュー対峙タイプ」、左下は課題の質も成果の質も低い「ワースレス対峙タイプ」です。
そして多くの方が、最初は右下のワースレス対峙タイプに在籍しています。ここから右上のバリュー創出タイプを目指していくわけなのですが、2つのアプローチ法が存在するのですね。それは右回りのプロセスとなる「イシューの道」と、左回りのプロセスとなる「犬の道」です。
イシューの道
まず右回りのプロセスとなる「イシューの道」についてです。
イシューの道とは、問題解決のために核心的課題を吟味して見つけ、標準が定まったら課題に取り組んでいくというプロセスです。
①時間節約
こちらの道は、作業への時間節約となることでしょう。
なぜなら1つの課題に、全ての時間と労力を投下できるからです。時と場合にもよりますが、ゴールまでの時間を10~20倍と節約することも可能です。一見すると目の前の課題を何も考えずこなす、左回りのプロセスの方が進捗感が得られます。しかし課題が必須なモノでなければ、時間・労力に対するフィードバックは0ですよね?
それに対してイシューの道は、検討時間から入るので具体的には前に進まず、時間を失っているように見える。ただこの時間は未来への投資であり、先に少し犠牲を払ったほうが後で多くの時間が得られるという結果をもたらします。
とどのつまり生産性が高い人は、イシュー見極めや仮説思考力が進捗感以上に重要だと理解しているのですね。
②2つor3つ
そしてイシュー見極めのポイントとしては、課題を2つor3つに絞りましょう。
人は問題に遭遇したとき、解決のための課題が無数にあるような錯覚を起こします。ですが白黒つけなければいけない課題は2~3つであり、後は補助的な課題でしかないのですね。
もちろんこの2~3つの核心的課題を、最初は上手く見つけられないでしょう。そこは課題という仮説の作成・検証をトライアンドエラーで繰り返し、徐々に課題の正解率を上げていきましょう。
③難易度は無視
また仮説を立てる際は、難易度は無視です。
人は課題を選択するとき、無意識に難易度が低い要因から手をつけようとしてしまうもの。しかし、こなしやすい課題であるのと核心的課題であるかは全くの別物です。楽をしたいという自分の本能に抗って、客観的視野のもとで課題への仮説を立てていってくださいね。
犬の道
次に左回りのプロセスとなる「犬の道」です。
犬の道とは、目の前の気になった課題と向き合い、それをこなす能力を研磨していくこと。
そしていくつもの課題をこなしながら、いつか核心的課題を引くまで根性で繰り返していくというプロセスです。きっと著者の安宅和人さんは、仮説を立てるという頭を使った活動でないことから、犬という獣に比喩して例えたのでしょう。
①疲労・徒労
この道は基本が茨の道であり、疲労を感じやすく徒労感を募らせます。
全てに努力と根性で向き合っても、そこまで体力や精神力がある人というのは稀なもの。人間はフィードバックがなければ、大多数がモチベーションを維持できない。そして中途半端な状態で投げ出してしまうのですね。
②教育者・リーダーとして大成しない
また犬の道での成功者は、教育者・リーダーとしては大成しません。
この道で成功した人は、誰よりも忍耐力があり、我慢強い遺伝子を持っていたのでしょう。しかし多くの人は、フィードバックなしに努力できる遺伝子を持っていない。そして犬の道での成功者が、後世に教える術は努力と根性のみでしょう。
そうなれば生徒や部下は育たず、簡単にフィードバックの快楽が得られるエンタメへと流れてしまうこと間違いなし…。つまり自分は成功が出来ても、未来への火種を業火に変えることは出来ない。自分完結型の人間にしかなれないということですね。
最後に
本日は「バリューへの道」というお話、いかがでしたか?
核心的課題を見つけるため仮説を立てる能力は、一朝一夕で身につくものではありません。何度も失敗しながら少しずつ身につけて、気づいたら凄い所へ到達しているもの。それに対してとりあえず目の前の作業に取り掛かることは、その作業からの逃げであり失敗しないものに成功は絶対にないのですね。是非イシューの道を進み、失敗を楽しめるマインドを手にしてくださいね。
本日はご精読ありがとうございました。
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