本日のテーマは「価値観と行動が合致できない理由」というお話です。
人間は一貫性を持ちたいという欲求を持ち、価値観と行動が合致した時に幸福感を感じるものです。しかし周りを見渡すと一貫性を貫けない人も多く、価値観に沿わない行動を繰り返して心を擦り減らしてしまっています。ではなぜ彼らは、自分の心に反した行動を繰り返すのでしょうか?
本章では価値観と行動が合致できない理由をご紹介して、その状況に陥った具体的ケースと対処法まで紐解いていきたいと思います。
過去のコミットとの一貫性
まず価値観と行動が合致できない理由の、結論から入りましょう。
それは「過去のコミットとの一貫性」を守ろうとしているからです。
①抽象→具体
今、この瞬間の価値観に沿わない行動であったとしても、過去に数回コミットした行動に私たちは足枷をかけられています。なぜならこの瞬間に心で思っていることよりも、過去の行動の方が具体的な要素が強いですよね…?
人間の脳は抽象より具体を好む性質があるので、新しい行動を選択するときに現在の価値観より過去の行動を優先させてしまうのです。これが過去に支配され、認知的不協和により苦しみを抱く人が生まれるメカニズムとなります。
②認知的不協和の不明瞭
また多くの人は、認知的不協和が不明瞭な状態です。
認知的不協和とは、相反する2つの感情が引っ張り合って不快感を感じること。
例えばスマホ・ゲームでダラダラしたい感情と、読書・勉強で新たなことを知りたい感情の2つが滞在していたとします。この場合にどちらを選択したにしろ、多少なりともの苦しみは抱くことになるでしょう。
では、話を戻します。「過去コミットとの一貫性を保ちたい感情」と「今の心が求めている感情」のケースでも認知的不協和は生まれます。もしもこれらを客観視が出来ている人であれば、ここから抜け出すにはトレードオフを受け入れるしかないという答えにも辿り着けるはず…。つまり何かを捨て執着を取り払うことでしか、幸せになれないことを悟るのですね。
ただそこまで気づけないのは認知的不協和が不明瞭であり、自分自身の心を客観視できていないことに起因するのです。
認知的不協和に陥った具体的ケース
では次に、認知的不協和に陥った具体的ケースを2つご紹介していきます。
①コミット戦法に引っかかったケース
1つ目のケースは「コミット戦法に引っかかったケース」です。
コミット戦法とは、相手にコミットメントを促され、その行動に対して一貫性の力が働き、自分自身のマインドを相手よりに変革させられてしまうこと。
この戦法に引っかかったとしても、認知的不協和を客観視できていれば、胃が痛くなるような嫌悪感に包まれます。そしてトレードオフを意識することも、比較的容易くなるのですね。しかし様々な事象の組み合わせが不明瞭であれば、つまり視野が狭ければ、価値観と行動を意識的に合致できません。そしてただ鬱屈とした感情と同居しながら、相手に操作されてしまうことになるのですね。
②過去の価値観に引っ張られているケース
2つ目のケースは「過去の価値観に引っ張られているケース」です。
あなたは過去に自分の心の声が熱中していたものに、多くの時間や労力をかけてきました。しかし心の奥底から何かモヤモヤした感覚が浮かんだのなら、きっとあなたの心の声は変化したのです。
今は別のモノに心がトキメいており、万物流転がファクトだったことを示す1事象とも言えるでしょう。しかしこれらが不明瞭だからこそ、認知的不協和に陥ったまま、過去の行動を習慣として繰り返してしまうのですね。
それぞれの対処法
最後に、認知的不協和に陥ったケースの対処法まで紐解いていきましょう。
①時を遡るイメージ
1番有効な方法としては、時を遡るイメージを膨らませてみましょう。
具体的には、最初のコミットをする前のシチュエーションを頭の中に映します。もしもコミットをまだ1度も行っていない状況なら、あなたは「心の声による行動」と「コミットによる一貫性の行動」のどちらを選択するでしょうか?
時を遡って自問自答する答えこそが、あなたを認知的不協和から脱出させて未来の道標を示してくれるはずでしょう。この方法はコミット戦法に引っかかったケースだけでなく、過去の価値観に引っ張られているケースでも活用することが可能です。自分が熱中してきた物事に対して、まだ1ミリたりとも時間・労力をかけていない過去に意識をタイムトラベルさせましょう。
②サンクコストに囚われない
また過去の価値観に抗うには、サンクコストに囚われないマインドが重要です。
サンクコストとは、ここまで支払ったコスト(時間・労力・お金)に見合ったものを、取り返そうとする心理のこと。
埋没費用とも呼ばれるもので、未来のあなたの行動を自動的に拘束する力を持ちます。なぜならここで辞めてしまったら、今まで自分が投資してきたものが全てパァ~になってしまう感覚に陥るから…。
もちろん、過去のサンクコストを捨てられる力を持つことが1番良いのですが、どうしてもそれが心理的に出来ない人もいます。そこでサンクコストに囚われないための、この世の原理の1つをご紹介しましょう。
③抽象的概念は繋がっている
その原理は「抽象的な概念は繋がっている」という真理です。
あなたが例えば歌唱を続けていたとして、他事に興味が移り、それを辞めることに苦しみを抱いたとします。ここでサンクコストに縛られれば、新たな経験に飛び込む機会を喪失してしまいますよね…?しかし歌唱で覚えた重心を下げる感覚は、他のスポーツや普段の姿勢を正すことにも通ずると知っていたらどうでしょう…?
このように多くのことは抽象的概念で繋がっており、このポイントさえ俯瞰できれば、何も全てが0になるわけではないことを知れる。様々なことを見聞きすることで、抽象的概念をもとに新たなアイデアを生み出す未来が待っているかもしれません。
是非ともサンクコストに囚われそうになったときは、この原理を想起してみてくださいね。すると現在の心の声とここからの行動を、容易く一貫したものにできるはずだから…。
最後に
本日は「価値観と行動が合致できない理由」というお話、いかがでしたか?
生きる上で1番重要なことは、やはりこの瞬間の主観的幸福感です。過去や他人に縛られて、自分の好奇心が萎んで枯れてしまわないこと。そのために俯瞰・客観視・大局観の力を是非つけてくださいね。
本日はご精読ありがとうございました。
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