本日のテーマは「コミットによる一貫性の強化術・Part2」というお話です。
人間はある事柄に対してコミットメントすると、一貫性欲求が刺激されて、その事柄と同じ価値観・行動を未来の自分に反映させます。なぜなら「自分がコミットした事柄」と「未来の自分」が相反するものであれば、軸が定まっていない自分を誇ることができないから…。
そして前記事からこのコミットメント効果を、さらに強化するためのキーとなる要素をご紹介しています。長丁場のお話となりましたが、いよいよ残り2つです。一体どのような要素が、顔を見せるのでしょうか?
努力
コミットによる一貫性の強化術3つ目は「努力」です。
気軽に取り組んだ簡単なコミットと、努力を要して取り組んだコミットが、同じ効力なはずがありません。一見外から見ると同じように見えても、その人の心持ち次第で両者には雲泥の差を生み出すのですね。
①困難・苦痛は価値UP
なぜなら努力と認識している人は「困難・苦痛」を感じているから…。
人間は無意識の領域で、困難や苦痛から逃れようと日々の生活を送ります。ですがこれら負の感情の先に価値あるモノが手に出来るとすれば、人は理性の力で困難・苦痛に立ち向かうことが出来るのですね。
つまり苦しい思いをしてコミットしたことは、その対象への価値を実際よりも高く見積もるバイアスがかかるということ。これが努力をすることにより、一貫性の力が通常より働きやすくなる理屈です。
②集団への加入
では次に努力の具体例を、実際に覗いていきましょう。
その具体例とは「集団への加入」です。
ある集団に加入させるとき努力を要する程に、その集団に対して強く価値を持つそうです。そして結果的に、集団に対して忠実で献身的な一員になるのですね。アフリカの部族にも、子供が成人する際に過酷な儀式を用意している集団もいるとのこと。
③受験や就活
また私たちのすごく身近な所でも、集団への加入に対しての努力コミットメントは存在します。
それは「受験や就活」です。
有名大学や大企業に入るために、努力して勉強するというコミットメントを多くの人々が課されます。その胃が痛くなるような苦しいコミットが、自分の学歴や会社に対して誇りを持つ人間を作り上げるのでしょう。
個人的な意見として、勉強は新しいことを知り主観を変えることができる素晴らしく楽しい営みです。それを興味がない人に対して報酬で釣り、強制的に行わせて勉強自体を嫌いにさせる。さらには所属した集団により日々の自己投資を放棄しているのに、自分の価値は高いと錯覚する人を増やす。この事実は少し悲しくも感じます…。
とはいえ最後に話を戻しますと、努力のファクターは利他ともにマインドを変革させる力を持つということですね。
主体的
コミットによる一貫性の強化術4つ目は「主体的」です。
目の前のコミットが強制されたものでなく、自ら選択したと感じるコミットの力は強固たるものでしょう。
①外部圧力なしは責任感へ
なぜなら外部圧力が全くない状態でのコミットは、その人に行動への責任感を植え付けるから…。責任感が生まれれば長期間の一貫性を生みやすく、その期間に何度も自らコミットのアウトプットをするでしょう。そして利他共に、勝手にマインドを雪だるま式で強化していくのですね。
②報酬・叱責との比較
ではここで「報酬・叱責との比較」をして参りましょう。
例えば育児で、子供に嘘をつかない子に育ってほしいと感じたとします。
ここで報酬で釣るのなら「嘘をつかなかったら、ご褒美(玩具など)をあげるよ」と教育するでしょうか…。また叱責で脅すのなら「嘘をついたら、あとで怒るよ」と、金剛力士像に顔負けしない剣幕で抑えつけるかもしれません。
しかし、これらは往々にして功を奏しません。きっと親が見ていない所で、抑えつけられていた反動が溢れ出てしまうでしょう。とどのつまり平気で嘘をつく人になるということ。
ここでの正しいアクションは、ただ「嘘をつかないで欲しいな、つかないでくれたら嬉しいよ」と純粋な言葉をかけるだけで良いのです。すると子供は何かに制限されたわけではなく、主体的に嘘をつかない行動を選んだと認識するようになる。そして嘘をつかないコミットの一貫性が働き、正直なアイデンティティを形成させていくのですね。
③信頼を得る
とは言ってもただ頼むだけでは、コミットして貰えないかもと感じることでしょう。
この問題の解決策としては、まずは信頼を得ましょう。
その人から信頼されるようになれば、相手は信頼している自分という人間の承認が欲しく感じるものです。この土壌を作った上で、ただ後は頼む。すると相手は承認欲求から、主体的な認識でのコミットをきっとしてくれることでしょう。
④慈愛・真心に溢れた人格づくり
信頼を得る方法としては、根源からの慈愛・真心に溢れた人格づくりです。
この基礎が固まれば、きっと取り繕った親切ではなく、心から人に親切をすることに喜びを感じられることでしょう。そのためには日々精進して親切を重ね、一貫性の力に身を委ねることが重要ではないでしょうか。
最後に
本日は「コミットによる一貫性の強化術・Part2」というお話、いかがでしたか?
一貫性の強化術は、多くの人を幸せにも不幸にも導く諸刃の剣です。まずはご自身の人格づくりから始め、さらにはこの理論を毒ではなく薬として活用していく。そんな他人を導ける人になれることを、お互い目指していきましょう。
本日はご精読ありがとうございました。
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