脱フュージョン・テクニック

客観力

 本日のテーマは「脱フュージョン・テクニック」というお話です。

 前記事で脱フュージョンというテクニックをご紹介させて頂きましたが、初めてこのテクニックにチャレンジする人は、きっと悪戦苦闘することでしょう。

 この事柄は「小学生の頃に水泳を始める」ことに比喩ができ、誰しもが大変で悔しい時間を乗り越えなければいけません。しかし1度泳げるようになってしまえば、何も苦労なくプールや海などで楽しむことが出来るのですね。

 それと同じように、脱フュージョンも最初が1番大変であり、その後はネガティブ思考とすんなり分離できる快適な生活が待っていることでしょう。そこで本記事では、脱フュージョンの習得を手助けするテクニックを3つご紹介していきます。このテクニックたちは「水泳でいうビート板」の役割を果たし、未来のあなたが無意識にネガティブ思考を分離できる状態へと導いてくれることでしょう。

フレーズ法

 脱フュージョン・テクニック1つ目は「フレーズ法」です。

 フレーズ法とは、浮かんできたネガティブ思考をあるフレーズに当てはめて唱えてみること。

①私は…という物語を描いている

 そのフレーズとは「私は…という物語を描いている」という型になります。

 では実際にネガティブ思考の具体例を用いて考えてみましょう。

 例えばあなたが「自分は何をやっても駄目だなぁ…」と感じたのなら、この思考をフレーズの型に当てはめます。すると「私は「自分は何をやっても駄目だなぁ…」という物語を描いている」となりますよね。そして実際に声に出してみたり、周りに人がいる場合は心の中で唱えてみましょう。

②思考と事実に距離があく

 すると言葉で綴った思考が、1つの主観であり1物語であることを俯瞰できます。

 つまり思考と事実は別のものであり、この2つが意識の中で一体化しそうになっていたところを、フレーズの力で強制的に距離をあけてくれるのですね。別の表現方法をするのであれば「マインドフルネス」や「メタ認知」を促してくれるとも言えるでしょう。

 もしもネガティブ思考と一体化しそうになり、反芻で自分で自分を傷つけそうになったら、すぐにフレーズを唱えてみてください。きっと冷静で俯瞰的な視野を自動で届けてくれるはずだから…。

ミュージック法

 脱フュージョン・テクニック2つ目は「ミュージック法」です。

 ミュージック法とは、浮かんできたネガティブ思考の言葉を、特定の音楽(曲)に乗せて歌ってみること。

①ポジティブ音楽に乗せる

 ここで乗せるミュージックは、ポジティブ音楽に乗せましょう。

 いつも自分を悩ませるネガティブ思考の言葉の綴りを、ポジティブなメロディ・リズム・節回しで歌ってみるのです。例えば「三代目J SOUL BROTHERSのR.Y.U.S.E.I」「星野源の恋」「嵐のHappiness」など…。自分自身が明るくなれるものなら、どんな曲でも構いませんので好きなものをチョイスしてみてくださいね。

 歌いながら自分の心や体の影響を観察していくと、きっと楽しい気分になって体は爽快な感覚になることでしょう。歌詞はネガティブな言葉の綴りであるのに、とても摩訶不思議な事象ですよね。ではなぜネガティブ思考を、ポジティブ音楽が吹き飛ばしてくれるのでしょうか?

②音楽は言葉を凌駕する

 その理由は、音楽は言葉を凌駕するものだから…。

 言葉というツールも、感情に働きかける1つの手段です。試しにネガティブな言葉を綴り続けてみると、きっと心が淀んだ感覚に包まれることでしょう。

 しかし音楽は、それ以上に感情へと働きかける力を持ち合わせています。なぜなら言葉よりも具体性が強く、私たちの脳は抽象より具体を認識する方が得意であるから…。だからこそネガティブ思考の言葉が止められなくなってしまったのなら、ポジティブ音楽に乗せることが負の感情との一体化からの最大の脱出法となるのですね。

ブック法

 脱フュージョン・テクニック3つ目は「ブック法」です。

 ブック法とは、浮かんできたネガティブ思考の言葉に、総称としてのタイトルをつけること。

①小説と考える

 イメージとしては様々なネガティブ思考を、1つの小説として纏めてみる感覚です。

 きっと頭の中に浮かんでくるネガティブ思考の1文には、いくつかレパートリーがあるはずでしょう。それら1文の中に含まれる共通項を見つけだし、勉強のように纏めてタイトルをつけていきます。出来上がったものは、きっとあなたを苦しめる1つのバッドエンドの小説ですよね?

 1つ1つのフレーズで捉えることにも効果はありますが、レパートリーのパターンによっては客観視できず、飲み込まれてしまうモノもあるかもしれません。しかし大局観を持って、本のようにタイトルで纏めておけば、どの1文のフレーズでも冷静な視点を発動しやすいのです。

 この事象は勉強で知識を吸収して忘れないようにするときに、格納するロジック作りをすることに、とても類似していますよね。

②フレーズ法と併用

 またブック法を、フレーズ法と併用させてみてください。

 例えば「自分は何をやっても駄目だ」・「あの人はすごいな」など、1つ1つの文をフレーズ法に当てはめて唱えるよりも、それらを纏めて「落伍者」というタイトルをつけてみてはいかがでしょうか…?そしてフレーズの型に当てはめて「私は「落伍者という書籍」の物語を描いている」と唱えてみる具合です。

 きっとタイトルまでつけて物語の1つだと唱えたことにより、その思考(言葉の綴り)を客観視することが、更に容易くなったのではないかと思います。

最後に

 本日は「脱フュージョン・テクニック」というお話、いかがでしたか?

 脱フュージョンに慣れていない時期は、感情にハイジャックされずに俯瞰する視点を持つことは大変な営みです。しかし今回ご紹介した3つのテクニックたちは、水泳のビート板のようにあなたを自動で脱フュージョンへの道に導いてくれるはず…。

 そして思考と事実の分離がすんだのなら、自分のありのままの感情を観察・受容してフラットな感情へと突き進みましょう。すると意欲が湧いてきて、自由・好奇心という楽しみな毎日を咲かせることが出来るから…。

 本日はご精読ありがとうございました。

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