僧侶に聞くシリーズ①「7つの欲求」

客観力

 本日のテーマは「僧侶に聞くシリーズ①・7つの欲求」というお話です。

 本ブログではマインドフルネスに関しての内容を、言葉や視点を変えながら何度かご紹介させて頂いています。そして本記事から数回に渡り、仏教という宗教の視点からもマインドフルネスを熟考していきたいと思います。

 思考の機会をもらった書籍は、東京大学・法学部卒業の僧侶・草薙龍瞬さんの著書「反応しない練習」です。この書籍は20万部突破のロングセラー本として、本屋の店頭に今も数多く陳列されています。

 では僧侶に聞くシリーズ第1弾「7つの欲求」について覗いていきましょう。マインドフルネスとは、どう関連してくるのでしょうか?

7つの欲求

 まず7つの欲求を列挙させて頂きます。欲求の種類は下記の通りです。

   1・生存欲 2・睡眠欲 3・食欲 4・色欲 

   5・怠惰欲 6・感楽欲 7承認欲

 ではそれぞれの欲求を、詳しく紐解いていきましょう。

①生存欲

 まず生存欲は、生きたいと感じる欲求のこと。

 誰しもが、本能的には永遠に生きたいと考えていることでしょう。もちろん重度な精神疾患や末期がんの治療の苦しさから、死を自ら選択してしまう人もいるかもしれません。しかしこの現象は、目の前の苦しみと天秤にかけた結果によるもの。本能的に生きたくないと感じる人は、誰1人いないのですね。

②睡眠欲

 次に睡眠欲は、眠りたいと感じる欲求です。

 人間である以上、眠らずに生きていける個体は1人たりとも存在しません。日本人の5人に1人が睡眠障害で苦しんでいる現状を俯瞰すると、とてつもなく強い欲求だと思い知ることでしょう。

 睡眠障害の原因としては、仕事の過度なストレスやブルーライト・甘いお菓子など…。これらが睡眠への悪習慣となり、睡眠負債を抱えて苦しんでしまう。そしてそもそもの根幹は、睡眠欲にあるのですね。

③食欲

 3つ目の食欲は、食べたいと感じる欲求です。

 人の身体は食べるもので作られ、とどのつまり「食べること=生きること」と言っても過言ではないでしょう。そして現代では食品メーカーが、どうしたら食欲のリミッターを外せるかを科学的に模索しています。

 その結果、多くの人がエンプティカロリーばかりを摂取してしまう。エンプティカロリーとは、カロリーだけ高く、栄養素があまりない食品のこと。いわゆるジャンクフードです。だから多くの人の食欲が暴走し、生活習慣病への階段を上ってしまう。この事実も食欲という本能あってこそではないでしょうか。

④色欲

 4つ目の色欲は、異性と交わりたいと感じる欲求です。

 現代で良く使用される語彙に変換するのであれば、性欲のことです。私たちは、自分の遺伝子を後世に引き継がせなければいけません。そのため異性に対して、交わりたいと感じる心が浮かびます。

 健全な範囲であれば良いのですが、恋愛依存症やセックス依存症になってしまえば苦しい生き方は明らかです。これらの苦しみは、色欲発信ということになりますね。

⑤怠惰欲

 5つ目の怠惰欲は、楽をしたいと感じる欲求です。

 人は出来るだけエネルギーを消費しないよう、無意識に楽をしようと心が動きます。この怠惰欲は、場面によって薬にも毒にもなるのです。

 例えば、良い方面に働けば未来に楽をするために自己投資する原動力となる。悪い方面に働けば、刹那の快楽を求めて生きることになるでしょう。これら2つの行動パターンは全く違う力が働いているように見えて、源泉は同じ怠惰欲だったということですね。

⑥感楽欲

 6つ目の感楽欲とは、刺激によって快感を得たいと感じる欲求です。

 あまり聞き慣れない言葉ですが、視覚・聴覚など刺激して、興奮やリラックスを得ようとする力です。

 例えば、I phoneにグレイスケールという画面をモノクロ化する機能があります。これにより視覚からの色という刺激が白黒だけになり、感楽欲が減退してスマホへの欲求が鎮静されます。また「音楽は麻薬だ」と言う人がいるくらい、アップテンポの曲を聞いていると興奮してくる。

 これらは刺激により、感楽欲が高まったり静まったりすることに起因するのですね。

⑦承認欲 

 最後に承認欲ですが、他人から認められたいと感じる欲求のこと。

 人間は群れをつくって進化してきた動物ですから、他人から阻害されることをとてつもなく恐れます。そして多くの人が、自分ではコントロール出来ない他人の評価に一喜一憂してしまう。これまでの上記6つの欲求が叶いやすくなった現代社会では、承認欲こそ最大の苦しみなのかもしれません。

喜怒哀楽の正体

 そして7つの欲求こそが「喜怒哀楽の正体」です。

 ここからは7つの欲求から喜怒哀楽までの流れを、順に見ていきましょう。

①出現

 まずは7つの欲求が出現します。

 この求める心は、遺伝子として組み込まれたモノなので中々抗うことができません。もちろん悪い側面だけではなく、バイタリティとなる良い側面があるのも事実です。そう考えると、全てのことは諸刃の剣なのかもしれませんね。

②反応→幸福or不幸

 次に出現した7つの欲求に、私たちは反応して動き出します。

 その結果として欲求が満たされれば幸福を感じ、満たされなければ不幸を感じてしまう。この「出現→反応→幸福or不幸」の心の流れを絶え間なく繰り返しているのが、人間を含めた生物ということですね。

③観察&思考&受容

 この不幸の状態を打破するには、観察と思考と受容する必要性が生じます。

 自分の心に7つの欲求が生まれ、そして反応したことをまずは観察する。次にその現象自体の理由を思考して導き出し、評価せずにただただ受容する。すると7つの欲求は、雲が視界から消えるのと同じように流れて消えていきます。

 この仏教の瞑想・禅の営みを、マサチューセッツ大学院教授・ジョン・カバット・ジンはマインドフルネスと定義したのですね。

最後に

 本日は「僧侶に聞くシリーズ①・7つの欲求」というお話、いかがでしたか?

 この7つの欲求が、私たちを幸福か不幸へと誘います。そして人生の割合として幸福のファクターを増やすには、叶えられない欲求に対して受容・思考・観察して反応しないことでしょう。だからこそ草薙龍瞬さんの書籍のタイトルが「反応しない練習」なのですね。

 僧侶に聞くシリーズは、残り2回に渡っても続きます。2回目と3回目も7つの欲求のように、私たちの心や現象として起こることのご紹介です。是非とも、楽しみにして頂けると嬉しいです。

 本日はご精読ありがとうございました。

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