本日のテーマは「四苦八苦を膨張させない方法」というお話です。
前記事のお話で、仏教理論の1つ「四苦八苦」について紐解きました。この8つの苦しみは大なり小なり、誰しもが人生という長い道のりで経験しなければいけません。しかし四苦八苦自体の苦しみが同じだったとしても、人により苦しみ度合いが違います。なぜでしょう…?
なぜなら四苦八苦への対応方法が違い、2種類のタイプが存在するから…。そのタイプは四苦八苦の苦しみだけを感じ取る人と、その苦しみを雪だるま式に膨張させてしまう人がいるのです。では苦しみの被害を最小限に抑えるには、どうすれば良いのでしょうか?
本章では、大きく2つのアクションプランに分けて、四苦八苦を膨張させない方法をご紹介していきます。そして先に結論を申しますと、2つのアクションの共通項となる源泉に「マインドフルネス」にあるのですね。では本題へ移りましょう。
ヒト・コト・モノは循環する
四苦八苦を膨張させない方法1つ目は「ヒト・コト・モノは循環する」を知ること。
ヒト・コト・モノは循環するとは、自分の周りにいる人、起こっている事、所有している物は、全て移り変わっているという意味です。この言葉は、やましたひでこさんの著書「断捨離」の中でご紹介された一文で、私の中では枕詞の1つに置くくらい大切にしている言葉です。
①当たり前という錯覚
長く自分の周りに滞在している対象に対して、人はあって当たり前だと錯覚してしまいます。ですが決して当たり前ではなく、逆に長く共に活動出来たことが奇跡とも言えることなのですね。またこれらを失ったからといって、循環の理論で考えれば当たり前のことであり、凹むことではないのです。
②執着せずに感謝する
この循環理論を受容するには「執着せずに感謝する」のマインドに尽きるでしょう。
ヒト・コト・モノが去っていったとしても、執着しなければ循環の理論を俯瞰し続けられます。また目の前にあるヒト・コト・モノが奇跡だと感じ、その対象に感謝の気持ち一杯で過ごすことも出来る。このマインドを持った人は、失った瞬間には一時的に苦しみを感じますが、その後は苦しみに囚われずに膨張もさせない。
では逆に執着心を持ち、感謝の心を抱かないとどうなるでしょう…?きっと目の前のヒト・コト・モノは当たり前だと認識して、その対象の悪い側面を探して感謝どころか嫌悪してしまう。さらに失ったときには執着の気持ちで、苦しみをどんどん膨張させ肥大化してしまうでしょう。
ここから脱出する為にも「ヒト・コト・モノは循環する」という理論のもと「執着せずに感謝する」のマインドへと、パラダイムシフトするしかないのですね。
③マインドフルネス
そしてこれらを遂行するキーとして「マインドフルネス」が挙げられます。
マインドフルネスとは、今ここの現実に客観的に気づくこと。
執着している状態や感謝できない状態は、あって当たり前という色眼鏡の主観から世界を見ています。つまり、今ここの現実に客観的に気づけていない。
逆に執着せず感謝している状態は、客観的に循環の理論を俯瞰できている状態です。とどのつまりマインドフルネスは、四苦八苦の苦しみを膨張させない上での土壌と言っても過言ではないのですね。
死について考える
四苦八苦を膨張させない方法2つ目は「死について考える」です。
私たちは普段の生活の中で、死について考えることを放棄しています。しかし最後に心地良く人生を締めたいのなら、死について考えることは必須作業でしょう。なぜならこの営みが、四苦八苦の常時俯瞰に繋がるからです。
①スピリチュアル・ペイン
ではここで死生観についての理論を1つご紹介です。
それは「スピリチュアル・ペイン」という現象です。
スピリチュアル・ペインとは、人は死が迫ると「人生の意味」や「生きている目的」、「過去への後悔」などの苦しみを抱くというもの。
健康な時にはあまり考えないことですが突然死でない限り、誰もが強制的に考えることになる。そして死の瀬戸際で、これらを吟味したとしてももう遅いですよね。後悔という結論へ流れゆくことも必然でしょう。
とどのつまり元気な時にこそ、積極的に死について考えること。それこそ人生をより良いものにしてくれる。ではもう少しばかり話を紐解いていきましょう。
②自分だけの価値観
死について考えると、自分だけの価値観が見えてきます。
帰属団体や常識、周りの人々などに左右されず、自分が向かいたいと思う心の声が聞き取れるようになる。逆に死について考えていない人は、狭い視野で思考停止して、周りの人に自分の生き方を委ねてしまいます。
だからこそ死を前にした時、自分を無視し続けてきた自分に嫌悪を感じて、スピリチュアル・ペインという苦しみを強く抱いてしまう。「良い人生だった」と言える人は、自分で考え出した価値観通りに、人生を全う出来た人なのですね。
そして自分だけの価値観で生きる勇気を持つためにも、四苦八苦の苦しみを俯瞰して受容することが大切になる。それだけの苦しみが毎日の中に浮遊しているからこそ、自分の声で生きようと思える。その声を見つける方法として、死について考えるのです。
③マインドフルネス
そしてここでも「マインドフルネス」は重要な要素です。
一見、今ここの現実に客観的に気づく営みであるマインドフルネスは、遠い死について考えることと矛盾を感じるかもしれません。しかし長い時間軸での視野を持てていない人が、今この瞬間を正しく客観視できるでしょうか…?
気づこうとしていても、客観力が低ければ気づけれないものも無数にある。まずは多くのことを網羅して頭にいれるからこそ、今ここの現実に正しく客観的に気付けられるのではないでしょうか。
是非とも死について考え、自分の視野を広げましょう。すると四苦八苦を俯瞰することが可能となり、その苦しみを緩和させるために自分だけの価値観をつくり、今ここの現実に客観的に気づけられるようになる。そして四苦八苦を膨張させないことが可能となるのですね。
最後に
本日は「四苦八苦を膨張させない方法」というお話、いかがでしたか?
四苦八苦による1度目の苦しみは、誰しもが免れることが出来ません。しかしその後の思考によって膨張してしまう苦しみは、遮断することが可能なのです。その為に「ヒト・コト・モノは循環する」・「死について考える」の2つを胸に留め、マインドフルネスで今を生きられるよう、お互い励んでいけたら嬉しいなと感じます。
本日はご精読ありがとうございました。
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