エビデンスって何?

食事

 本日のテーマは「エビデンスって何?」というお話です。

 科学好きな著者や医者・研究者の書籍を読み進めると、必ず出てくる言葉にエビデンスというものがあります。あまり科学・医学に関心が薄い人からしてみれば、少し聞き馴染みのない言葉かもしれませんね。

 エビデンスとは、日本語でいう「科学的根拠」のこと。前記事までのお話で「信憑性の低い健康情報シリーズ」を3回に渡って展開してきましたが、これらの情報源よりもエビデンスがあることは信憑性が高いと言えるでしょう。

 そこで本章では科学・医学の伊呂波ともなるエビデンスを、3部構成でご解説させて頂きます。

疫学・統計学

 まずエビデンスは、疫学と統計学という学問によって導き出されます。

 アメリカのハーバード大学やカリフォルニア大学などの、様々な研究機関がこれらの学問に注力している。そして少しでも世の中の役に立つ真理を導き出そうと、励んでくれているのですね。ではここで疫学と統計学についてざっくりですが、どのような学問なのかを解説させて頂きます。

①疫学

 疫学とは、病気の発生原因・流行状態・予防法などを研究する学問です。

 とどのつまり病気にかかる法則を研究するもので、元々は伝染病を研究対象として始まりました。しかし現在ではがんや生活習慣病などにも着手し、交通事故や天災にも研究対象の幅を広げて多様化しているのだとか…。

 病気の発生原因を突き止める際は、個人ではなく集団を対象としているところもポイントです。具体的には、性別・分布・頻度などから解析しています。

②統計学

 次に統計学は、事実の特徴を数値で示していく学問です。

 例えば、お菓子を定期に食べる人と食べない人がいた場合、それらの人を観察します。そして疾病への罹患率を、数値でデータ化していくという流れですね。するとその行為と疾病との因果関係が突き止められ、さらに何%の確率で起こりえるのかという具体的な数字も分かるのです。

③最新科学の知見

 この2つの学問により、どのような生活習慣を取り入れれば病気予防になるかを、最新科学の知見で導きだしてくれる。それこそがエビデンスです。

3つの研究

 次にエビデンスを導きだすための、3つの研究をご紹介します。

 エビデンスを導き出すと一言で言っても、実はその方法は1つではありません。研究内容は大きく2つに分かれ、さらにそれらを統合したマクロの研究内容の呼び名がもう1つ存在する。つまり、合計3つの研究枠に分岐するのですね。

 そして同じエビデンスという言葉で総括していても、どの研究内容で導き出されたものかにより信憑性に差異が生じます。では1つずつ、研究内容の種類と信憑性を紐解いていきましょう。

①ランダム化比較試験

 1つ目の研究内容は「ランダム化比較試験」です。

 ランダム化比較試験とは、同じような健康状態の人を集めて、ランダムに2つのグループに振り分けた研究です。2つのグループには、特定の行動(食事・運動)をしてもらうか否かで分離します。そして健康に対する、特定の行動の影響を調べるというものですね。

 集めた被験者は、その特定の行動以外はほぼ全ての点において同じ状態にしてもらう。そのことから特定の行動と健康の関連性を顕著に表すことができ、エビデンスの中でも一般的に信憑性が高いものと言われています。

②観察研究

 2つ目の研究内容は「観察研究」です。

 観察研究とは、特定の行動(食事・運動)をしている人としていない人を集めてきて、健康に対する影響度合いを調べる研究のこと。こちらは数年~数十年という長いスパンで経過観察することにより、未来の罹患率や死亡率を導き出すことが可能です。

 ただしランダム化比較試験より劣っていると言われ、その所以は特定の行動の有無以外を一貫できていないから…。とどのつまり1つの行動で悪習慣を持っている人は、それを生み出している根源の価値観も怠惰な可能性があるでしょう。その思想により、他の行動でも悪習慣を行っている可能性が高いのです。

 そうなればエビデンスの結果が特定の行動に原因があると、断定しにくくなってしまう。だからこそ、信憑性が低めのエビデンスと言えるのではないでしょうか。

③メタアナリシス

 3つ目の研究内容は「メタアナリシス」です。

 メタアナリシスとは、複数の研究結果をとりまとめた研究手法のこと。1つの研究内容であれば、異例のケースが出現した可能性も否めません。しかし10~20個と、多くの研究内容で同じようなエビデンスが導き出されたのならどうでしょう…?それはもはや、極上の信憑性と言えるのではないでしょうか。

 ランダム化比較試験・観察研究ともに、複数のものをまとめたメタアナリシスはそれぞれ存在します。つまりエビデンスに順位をつけるのであれば「メタアナリシス(ランダム化比較試験)→ランダム化比較試験orメタアナリシス(観察研究)→観察研究」という流れになりますね。下にいくほどにエビデンスは弱く、上にいくほどにエビデンスは強いと言うことです。

絶対的真実とは限らない

 最後に、エビデンスを見聞きするときの留意点のお話です。

 それは、だからと言ってエビデンスは絶対的真実とは限らないということ…。

①科学は更新されるもの

 科学とは更新されるものであり、現在導き出されている科学はあくまで仮のものです。現段階で最も真実に近いであろう解答であり、本当に真実なのか否かは実は分からないことも多いのですね。

②マーガリンの具体例

 もしかすると未来の歴史に、実は真実ではなかったと刻まれるかもしれません。具体例を挙げれば、マーガリンの有害性に気づいた人類が最たる例ではないでしょうか。

 だからこそ盲目的にエビデンスを信奉するのではなく、自分の頭で考えて、信じるものへのリスクも受け入れ、今の自分の滞在する価値観を決めていかねばならないのです。

最後に

 本日は「エビデンスって何?」というお話、いかがでしたか?

 あまり聞き馴染みのない言葉のお話でしたが、大凡の内容はご理解して頂けましたか?もしも答えがYesなら、とても嬉しく思います。私の価値観となりますが、心身の健康は最大の資産だと思っています。そのために健康情報に関しての勉強を、エビデンスと向き合いながらして頂けたら幸いです。

 本日はご精読ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました