本日のテーマは「βカロテン・サプリメントには注意必要」というお話です。
カリフォルニア大学・ロサンゼルス校医学部の助教授であり、医師である津川友介の著書「世界一シンプルで、科学的に証明された究極の食事」という書籍があります。本記事ではその書籍の内容を一部抜粋して、自分なりに吟味を重ねながらお話を進行していきたいと思っています。
そして題材ですが、多くの人が健康のために摂取している「サプリメント」や「果汁100%ジュース」に、警鐘を津川さんは鳴らしているのですね。きっと健康志向の方である程に、サプリ補充や、朝食に果物ジュースで健康に気を使っている人もいるでしょう。では、なぜそれらの健康活動は注意が必要なのでしょうか?
本記事では、βカロテンというサプリメントに焦点を合わせて、お話を展開していきたいと思います。
βカロテン
βカロテンとは、緑黄色野菜に含まれる橙色の色素成分です。
①ビタミンA
βカロテンは体内で「ビタミンA」に変換される成分の1つであり、まさに健康的な生活をするためには必要不可欠なも栄養素と言えるでしょう。
成人の1日に必要なビタミンAの摂取量として「男性は600~650μg」、「女性で450~500μg」が必要とされています。
②食品摂取の場合
ではβカロテンを食品から摂取しようと考えれば、何を食せば良いのでしょうか?
具体的なものとして、野菜では「にんじん・ホウレン草・ケール・かぼちゃ」、果物では「みかん・スイカ」などに多く含まれています。
③サプリに頼る流れ
ただ現代人は忙しく、一人暮らしの方だと自分で家事を定期的に行うことって難しいですよね。ついつい外食に走ってしまい、不健康な食生活へと流てしまう。もしくは健康的な食生活を外食で賄おうとすると、費用が高くついてしまうでしょう。
そんな現状から、上記に挙げた食品たちを毎日バランス良く摂取できない。それならばサプリメントで手軽に栄養素を補充しようという思考のプロセスを辿ることになる…。その1つとして「βカロテンのサプリで補おう」という発想も、頭をよぎりことでしょう。しかし、この考えこそに注意が必要なのですね。
喫煙者・アスベスト曝露へのランダム化比較試験
次にβカロテン・サプリに注意が必要な理由を知るため、1つのランダム化比較試験をご紹介しましょう。
①ランダム化比較試験
まずランダム化比較試験について、軽くご説明させて頂きます。
ランダム化比較試験とは、同じ健康状態の人を集めて2つのグループに分けます。そして特定の行動をするグループとしないグループに分けて、特定の行動の健康効果を明らかにするというものです。
②緑黄色野菜・果物とガンの関係性
そしてβカロテンに関するランダム化比較試験を施行しようと試みるのですが、そこには1970年代までの医学的な研究結果が関与しています。
その研究結果とは、緑黄色野菜や果物の摂取量が多い人は、胃ガン・肺ガンへの罹患率が低いというデータが提示されていました。そこで研究者は、これらに共通する栄養素となるβカロテンのサプリが、ガンという病に対して有効か否かのランダム化比較試験を施行したのですね。
③喫煙者・アスベスト曝露の被験者
このβカロテンのサプリを使用したランダム化比較試験は、健康的な生活を営んでいる方を対象にはしませんでした。
「喫煙者」や「アスベスト曝露」に接点があり、肺ガンへのリスクが高いと言われている人たちが対象です。タバコやアスベストの有害性があったとしても、βカロテンの栄養素で中和できるのではないかと考えた訳ですね。
④アスベスト(石綿)
ちなみにアスベスト曝露とは、アスベスト(石綿)という天然の鉱石で建物を造ったり、壊したり、修理したりするときに、その破片を吸うことによって健康状態を悪化させてしまうこと。20~30年後に、肺ガンの罹患率が上昇すると言われています。
過去にはアスベストが熱に強く火事を起こしにくいという利点から、多くの建物建設に用いられました。しかし現在では健康上の問題により、2006年の法改正により法律でアスベストを使用することが禁止されています。しかし、まだ古い建物には残っているのですね。
⑤肺ガン・心筋梗塞の罹患率UP
話がアスベスト関連に脱線してしまいましたが、ここで1度話を戻します。
なんと喫煙者・アスベスト曝露の人たちを2グループに分けたところ、βカロテンのサプリを摂取しているグループは、更に肺ガンの罹患率が上昇しました。それどころか心筋梗塞のリスクも上昇したようです。
健康的になると思った営みが、不健康の道に進むことほど悲しいことはありませんよね。
最後に
本日は「βカロテン・サプリメントには注意必要」というお話、いかがでしたか?
ここから学べることは、栄養素となる成分ばかりに目を向けるのではなく、バランスの良い食品を大変かもしれませんが摂取することが大切だと分かります。
このような事象が、現在のニュートリショニズムの価値観への警鐘の背景にあるのですね。「ニュートリショニズム…?」と感じたそこのあなたへ、また近いうちに記事にする予定です。楽しみにして頂けると嬉しいです。
ただ実際に健康効果を手助けしてくれるサプリもあったり、サプリ肯定派の医者や研究者の方もおられます。ここでも毎度のこととなりますが複数の真逆の情報を深堀りして、自分の頭で考えて行動を選択することが重要ですね。
本日はご精読ありがとうございました
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