仮説で「エントロピー」を小さくしよう

問題解決

 本日のテーマは「仮説でエントロピーを小さくしよう」というお話です。

 目の前の課題や問題に対して取り組む際に、人は大きく2つの思考法に分かれます。その思考法とは「網羅思考」と「仮説思考」というものです。そして本記事では仮説思考を推奨しており、エントロピーという理論に焦点を当てて、仮説を作る魅力を伝えていきたいと思っています。

 ではエントロピーとは一体何なのか…?網羅思考と仮説思考が、どうエントロピーに影響を与えるのか…?それぞれ、順を追って見ていきましょう。

エントロピーとは

 まずはエントロピーの定義を見ていきます。

 エントロピーとは、情報理論の概念で、不必要な情報の度合いのことを表しています。

 課題・問題を成し遂げるためには情報が必要ですが、情報全体に対して不必要な情報の度合いが多いのか、もしくは少ないのかという割合を表す理論なのですね。

①不必要な情報・エントロピー大きく

 では不必要な情報の割合が多くなると、エントロピーはどうなるのでしょう?

 その答えとしては「エントロピーは大きく」なります。

 人は情報が多すぎると、どれが重要な情報か分からなくなってしまうものでしょう。それでは課題や問題の達成までに、紆余曲折することは間違いありませんよね。だからこそ出来るだけ、不必要な情報を見極める目を養わなければいけないのです。

②重要な情報・エントロピー小さく

 逆に重要な情報の割合が多いと「エントロピーは小さく」なります。

 自分の手札にある情報が、どれも課題達成や問題解決に必要なものばかり…。そうなれば具体的アクションプランの選択肢は、自ずと縮まっていくのものでしょう。だからこそエントロピーが小さいと、最短ルートで物事を成し遂げることが可能となるのですね。

網羅or仮説

 ではここから本題です。あまり良くない思考法となる「網羅思考」と、本記事で推奨する「仮説思考」では、エントロピーにどう影響していくのでしょう?

①網羅・エントロピー大きく

 まず網羅思考ですが「エントロピーは大きく」なります。

 網羅思考とは、課題・問題を解決するために出来るだけ多くの情報を集めて、分析・吟味してから作業に取り組もうとする思考法です。そのため不必要な情報も一緒に集めてしまうので、すなわちエントロピーが大きくなります。そして情報洪水により、時間・エネルギーともに浪費してしまいがちになるのですね。

 更に意外なことに頭が良い人や伝統的な大企業ほど、網羅思考の傾向が強いと言われています。彼らは行動の前に深く考えることが染み付いており、理屈先行で人の提案にはまず批判やあら捜しから入ってしまう。それが結果的に仇となり、課題・問題達成までの道のりを遠回りさせてしまうのですね。

②仮説・エントロピー小さく

 それに対して仮説思考の人は「エントロピーが小さく」なります。

 仮説思考とは、課題や問題を解決するためにまず仮の答え(仮説)を出して、それが正しいか否かを判断するための情報だけを集めようとします。だからこそ仮説にそぐわない情報には目を向けないので、不必要情報の度合いも自ずと少なくなっていき、重要情報が多くの度合いを占めていくのですね。

 とどのつまりエントロピーは小さくなり、時間・エネルギーともに省エネで効率よく作業を進められる。上記で、頭の良い人や伝統的大企業の人が理屈先行で人の提案に批判やあら捜しをすると述べましたが、どんなに頭の中で思考を回転させていても、行動しなければ見えてこない情報もあるでしょう。彼らは頭が良いが故に、行動の先の情報に出会う事が出来ない。そしてイメージの世界だけで、博識となっていくのですね。

デート・広告の具体例

 では最後に具体例を用いて、エントロピーの大小を見ていきましょう。

①デートのお店選び

 1つ目の具体例は「デートをするお店選び」です。

 もしも網羅思考で、デートする際のお店のジャンルを迷っていたらどうなるでしょうか…?きっと「イタリアンもいいけど、フレンチもいいな、いや和食も良いかな」と、選択肢がどんどん増えていくでしょう。そうなればお店の情報洪水により、意思決定が遅延してしまうこと間違いありません。この状態は、エントロピーが大きくなっていると言えますね。

 それに対して、仮説思考を用いれば「イタリアンかフレンチの2択で情報を集めよう」と焦点が定まります。そして「彼女はイタリアンが好きなのか、先週はフレンチに行ったようだ」などの、1歩掘り当てた重要な情報が入ってきやすくなるのですね。とどのつまりエントロピーが小さくなり、お店選びの意思決定は早くなるのです。

②広告の発信方法

 ではもう1つ具体例を覗いていきます。2つ目の具体例は「広告の発信方法」で、自社商品の広告を発信する媒体を迷っていたとします。

 まず網羅思考ですが「看板、TVコマーシャル、雑誌、ブログ、YOU TUBE」と、多くの発信方法に目がいくことでしょう。それに対して仮説思考であれば「自社商品のターゲット層は、若者でブログよりYOUTUBEを見るな、TVコマーシャルよりYOUTUBEのアドセンス広告だな」と、深堀りした重要な情報に目がいきます。そして俊敏にアクションが起こせるのです。

 つまりどちらの例にしても、仮説で特定の物事にフォーカスしたほうが、その先の情報に速く出会える。だからこそ作業に取り組む際は、仮説思考でエントロピーを小さくしなければいけないのですね。

最後に

 本日は「仮説でエントロピーを小さくしよう」というお話、いかがでしたか?

 網羅思考は自己研鑽である分野の勉強をしていくときには、合理的になるケースも多々あるでしょう。しかしすぐに問題解決を強いられるケースでは、仮説思考が出来なければ日が暮れること間違いありません。これが勉強が出来ても、仕事が出来ない人がいる理屈です。

 「頭が良い=仕事が出来る」という先入観を取り払い、彼らの思いつきの意見で一喜一憂しないよう注意を払いましょう。行動が伴えば、小賢い状態から本当の賢い状態になれるのですから…。

 本日はご精読ありがとうございました。

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