本日のテーマは「ドーパミンの罠」というお話です。
エンタメ・SNS・ジャンクフードなど、ドーパミン分泌が仕掛けられた品々が現代社会では跋扈しています。もちろんドーパミンによる快楽が得られるので、悪いことではないとも思います。しかし知識や自制心なしに快楽のまま行動すれば、ドーパミンの罠に転げ落ちることでしょう。そして自分の時間・労力、ましてや健康すらも企業側の血肉になるために捧げてしまうことになるのですね。
是非ともまずは知識を得て、ドーパミンやそれを促す商品との上手な付き合い方を模索していく。そんな自己防衛のスキルを、本記事で持ち帰って頂けると嬉しいです。
幸福の目減り
まず罠の源泉にあるのが、ドーパミンの快楽は「幸福の目減り」を起こすことです。
①同じ刺激は分泌低下
つまり同じ刺激では、次に分泌するドーパミン量が低下してしまうということですね。皆さんも甘いお菓子やスマホなど、最初の快楽はとてつもないモノだったのに、何度も繰り返しているうちに色褪せてしまうという経験は見に覚えがありませんか…?
②依存症に陥る
そして幸福の目減りにより、過去の快楽をもう1度渇望して、何度も何度もその品への没入を果たします。とどのつまり、利用頻度を上げていくということ…。まさに依存症に陥った状態であり、これがドーパミンの罠の真骨頂です。だからこそ企業側は、どれだけドーパミン分泌を促せるか否かで、商品制作を遂行していくのですね。
③健康すらも失う
まだ快楽に耽り、時間・労力を捧げるだけならマシなのかもしれません。本当に怖いのはここからのお話…。
甘いお菓子やジャンクフードは、糖尿病をはじめとする多くの生活習慣病のトリガーです。またスマホ・SNSは承認欲求のスイッチをONにして、遺伝子(通常)以上に人から認められたいマインドに促します。このような状態で主観的幸福度が上がるでしょうか…?
結果、精神疾患を招くことになるかもしれませんよね。更にはスマホ認知症という言葉もあり、若年でありながら記憶力・集中力の低下や注意力の散漫、言語障害も発生させてしまうそう…。これこそドーパミンの罠に対して、私が警鐘を鳴らす理由です。
④オキシトシン・セロトニン
これがオキシトシンによる「愛情の幸福」や、セロトニンによる「癒やしの幸福」であれば、目減りすることはないのです。同程度の刺激であっても、何度でも同じ分泌量が促され、その類の幸福を常時感じられるはずです。
自然と触れ合いすぎたら幸福が目減りした、サウナに行きすぎたら幸福が目減りした、ペットの犬と戯れすぎたら幸福が目減りした、そのような話を聞いたことがありますか…?
毎回同じ刺激であるにも関わらず、いつまでも幸福は継続していく。そんな幸福を得る習慣を、是非ともあなたの日常生活の中に割合として増やしていきましょう。この幸福のブレンド割合により、あなたの人生の性質が禍福のどちらに傾くかが決まるのですから…。
収入と幸福度の研究
ではここで「収入と幸福度の研究」を2つご紹介していきます。
お金とはまさにドーパミン分泌の最たるもの…。つまりお金を手にすればする程に、快楽の幸福が得られるのですね。
そして今回ご紹介する実験では、収入が上がっていくに連れて、幸福度にどのような影響を及ぼすかを統計で調査したものです。結論から述べますと、この研究によりドーパミンの罠が自明であることが解明されました。さぁ、本題の研究内容を見ていきましょう。
①プリンストン大学の研究
まず1つ目の研究は「プリンストン大学の研究」です。
プリンストン大学は、アメリカ・ニュージャージー州にある私立大学です。この研究の執行人はアンガス・ディートン教授であり、ノーベル経済学賞を授与した経済学者です。
そして研究結果なのですが「400万円~600万円」と収入が上がるにつれ、幸福度も比例して上がることが分かりました。ここまでの結果だけを吟味するのなら「収入=幸福」だと、断定出来てしまいますよね。しかし、面白いのはここからです。
「600万円~800万円」の収入に到達したものは、幸福度の上昇は緩やかになっていったのです。つまり収入の右肩上がりと幸福の右肩上がりが比例せず、少しずつ乖離を生み出していることが分かります。さらには「800万円以上」の収入をどれだけ増やしても、そこから幸福度は右平行線となり、もう収入は幸福に何の影響も示さないことが解明されたのです。
とどのつまり最初はドーパミンが正しく分泌していましたが、600万円を超えると分泌低下で幸福が目減りし、さらには800万円以上でお金というトリガーでは、もうドーパミン分泌が果たせないことが分かりますよね。
このようにどれだけお金を稼いでも苦しみを抱いている人がいるのは、このファクトを知らずに資本主義の思想を鵜呑みにしているから…。つまりはお金の信奉者となっているからでしょう。
②日本人対象の研究
では2つ目の研究として「日本人対象の研究」を見ていきます。
日本人2万人を対象にしたモノで、800万円まではプリンストン大学の結果とさほど変化はありませんでした。しかし日本人対象というだけで、その後少し変わった曲線を示したのです。なんと「800万円~1100万円」を超えても、適度に幸福度が上昇を続けていたのです。ただ「1100万円以上」となれば、欧米人と同じく幸福度は横一線となりました。
ではなぜ日本人のみお金というトリガーで、ドーパミン分泌の目減りが遅延したのでしょうか…?
③セロトニン・トランスポーター遺伝子
この理由としては私の推測となりますが、癒やしの幸福「セロトニン」の分泌量が少ないことに原因があるのではと考えています。とどのつまり日本人は、不安が強い遺伝子であるということ…。
「セロトニントランスポーター遺伝子」というものがあり、セロトニン分泌が少ない「S型」と分泌が多い「L型」の二種類があります。その組み合わせによって人は「SS型」・「SL型」・「LL型」と、遺伝で生まれた瞬間からセロトニン分泌の度合いが決まっているのですね。LL型の遺伝子の人は楽観的な人が多く、SS型の遺伝子の人は不安を感じやすいという特徴があります。SL型は、その中間であるとご理解ください。
そして日本人の遺伝子は、不安を感じやすいSS型が65%を占めると言われている。SL型に関しても32%で、楽観的なLL型はなんとたったの3,2%だったのです。これがアメリカ人であればSS型19%、SL型49%、LL型32%となりますから、日本人の不安の強さは本人の問題だけではなく、遺伝子によって生まれ持った変えられないカルマなのですね。
だからこそ共通価値観となるコモンセンスで、資本主義によるお金の信奉をみんながしている。そしてお金の価値観に思考停止で染まり、不安を軽減する材料としてお金を採用する。その遺伝子の差異が、日本人対象の研究では800万円~1100万円でも幸福度の上昇を続けたのではないでしょうか…?
最後に
本日は「ドーパミンの罠」というお話、いかがでしたか?
このようにドーパミンの罠にハマれば、どんどん過去の快楽を求めて底なし沼に落ちていってしまいます。そして時間・労力・健康を、他人に搾取される生涯となってしまうのですね。
このドーパミンの罠から脱却するためにも、是非ともセロトニンやオキシトシンの幸福で不安解消を目指していってください。そしてドーパミンは嗜好品として嗜むくらいの価値観を持てば、あなたは平穏な幸福が手に入ることでしょう。
本日はご精読ありがとうございました。
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