「神戸大学・同志社大学の共同研究」②脳内ホルモンの視点

脳科学

 本日のテーマは「神戸大学・同志社大学の共同研究・②脳内ホルモンの視点」というお話です。

 全記事のお話で、上記2つの大学が共同で「幸福感」に影響を与えるものを、統計で調べた研究をご紹介しました。その事象に対して本記事では、私たちの脳内ホルモンの視点から吟味していきたいと思います。

 そして考えれば考える程に以前の記事でご紹介した、幸せになるために分泌させる脳内ホルモン優先順位「セロトニン→オキシトシン→ドーパミン」の話と結びつくのです。さぁ前置きはこの辺にして、本題に移っていきましょう。

幸せホルモン・3選

 まず脳内ホルモンの中で、幸福に導く「幸せホルモン」は3つあります。

 それは序章でも少し触れた「セロトニン・オキシトシン・ドーパミン」です。セロトニンは癒やしの幸福、オキシトシンは愛情の幸福、ドーパミンは快楽の幸福だとご認識ください。詳しく内容を知りたい方は「幸福には優先順位がある」という記事をご閲覧頂けると嬉しく感じます。

 では上記大学の幸福ランキングと、照らし合わせていきましょう。

①健康はセロトニン

 まず幸福の影響度No1の「健康」ですが、セロトニンと結びついています。

 健康とは心身の土壌が安定している、安らぎの状態です。つまりはセロトニンという、癒やしの脳内物質と関連しているのですね。なぜならセロトニンには鎮痛効果があり、頭痛・腰痛・膝関節の痛みなどを抑制する効能があります。

 またその他の脳内物質調整の役割もあり、まさにホルモンの手綱のようなもの。具体的にはアドレナリンを調整して興奮・怒りを整えたり、ノルアドレナリンを調整してストレスを溜め込まずに集中力向上に必要な分泌量のみ誘わせます。

 そしてうつ病は、前頭葉でセロトニン分泌が枯渇してしまった病だという説が、現段階で有力です。うつ病とまでは言わなくても、情緒不安定で感情の起伏が激しいのなら、セロトニン不足に原因があるでしょう。そして精神の不調は慢性ストレスを溜め込み、身体のあらゆる健康を阻害していく。

 まさに上記大学の研究結果となる幸福影響No1の健康と、第1優先とする幸せホルモン・セロトニンには相関があることが分かりますよね。

②人間関係はオキシトシン

 次に幸福の影響度2位となる「人間関係」ですが、オキシトシンと結びつています。

 私たちは群れを作って進化してきたからこそ、協力し合うことによって多勢に無勢という力で食物連鎖の頂点に君臨しました。だからこそ遺伝子レベルで、他者との関わりを渇望しているのですね。

 そして相手のために親切をしたり感謝の心を持つことで、オキシトシンが分泌されて温かくホッコリした気持ちになる。オキシトシンは血圧・心拍数を下げ、細胞修復の促進も果たします。ハーバード大学が80年間724人を対象とした追跡調査でも、人間関係が幸福度に1番の影響を与えると述べている。このことから、オキシトシンのパワーを垣間見ることができますよね。

③承認でドーパミンに転化

 しかし人間関係には、1つ注意点が存在します。

 それは承認を渇望した人間関係は、ドーパミンという快楽ホルモンに転化してしまうということ…。なぜなら「自分を認めて…」というマインドは利己的であり、他人への慈愛の気持ちを感じていない状態です。それは言わば、快楽を求めていることに他なりません。

 まさに人間関係による幸福の本質とは、他者関心の主観を描き、主観的貢献感から人と繋がろうとすること。だからこそ、オキシトシン分泌を果たせられるのですね。誰もが繋がり欲に導かれ人間関係を構築しようとしますが、蓋を開けてみれば、その営みによって疲弊してしまう。もしくは、他人への不平不満という嵐の心が渦巻いてしまうことでしょう。

 これは相手に問題があるのではなく、マインドが利己的に走り、承認から人間関係を構築していることに他なりません。なぜなら承認してくれず逆に承認を渇望する相手に対して、苛立ちを感じているのですから…。

④所得・学歴はドーパミン

 次に幸福の影響度3位「自己決定」と言いたいところですが、一旦飛ばします。

 まず影響度4・5位となる「所得と学歴」について考えていきましょう。これらは承認と結びついたファクターですから、自ずと快楽の幸福ドーパミンとの直結を示しています。

 「いやいや、生きるためにはお金が必要だよ」という人もいるでしょう。確かにそうなのですが、日本には生活保護というセーフティーネットが存在する。とどのつまり、所得・学歴がなくても生きていけるのですね。そして上記の反論を述べる人は「社会的死に陥らないためには、お金が必要だよ」と、実は心の奥底で思っている…。そして社会的死とは、承認欲求が満たせられなくなった世界で生きることです。

 世の中を探せば、きっと低所得者やニートであってもセロトニン分泌を果たし、健康を維持している人もいるでしょう。さぁ、ここで1つ考えてみてください。承認の鎖に繋がれて不平不満を言っている高所得者・高学歴者と、承認に執着せず今ある幸せにフォーカスしている低所得者・低学歴者の、どちらが幸せなのでしょうか…?私の主観では、後者ではないかと思います。

自己決定について吟味する

 さぁ次に、先程飛ばしたファクターとなる「自己決定」について吟味していきます。

①どの幸せホルモン…?

 自己決定は一見、どの幸せホルモンによる幸福なのか分かりにくいでしょう。だからこそ多くの人が、自己決定を蔑ろにしてしまうのだと思います。ですが蔑ろにしたことで苦しみを感じている人が多いのなら、そこには幸せホルモンの視点からも原因があるはず…。それを本項では、私なりに突き止めていきたいと思うのです。

②忙しい世界

 そして私が思うに、セロトニンとドーパミンを渇望しているのだなと感じます。

 まず現代社会は人類の歴史でも類を見ない程の、忙しくあたふたした世界です。人間の遺伝子的には「1週間30時間前後」の労働が適切であり、「40時間以上労働」でネガティブ思考が、「50時間以上労働」で認知機能が低下すると言われています。これは承認というドーパミン渇望のターンが長すぎて、セロトニン分泌のターンを捨ててしまっている状態ではないでしょうか…?

 そしてこの忙しい生き方は自己決定で選んだものではなく、時代がそう私たちに提唱したもの…。だからこそ無意識に時代の忙しさに反感の気持ちを持ち、自己決定としてセロトニンを求めているのではと感じます。

③ストーリーテラーになる

 またセロトニンを求めて現代社会に反旗を翻せば、承認が得られなくなりますよね…?

 つまり、ドーパミン分泌が得られなくなる。しかし、セロトニンという幸福の土壌がしっかりしていれば、実は承認の鎖から開放されて満足できるのですね。なぜなら認知機能も正常の状態にあるので、自制心が働くから…。

 その状態で自分の頭で考えて主観というモノの見方の物語を、ストーリテラーになって描いていく。そして、それに沿って生きる。まさに自己決定とは自分だけのストーリーにより、ドーパミン分泌を果たす方法ではないでしょうか…?

最後に

 本日は「神戸大学・同志社大学の共同研究・②脳内ホルモンの視点」というお話、いかがでしたか?

 私なりに生き方を模索すると、やはり「健康・セロトニン」第1で、生きるべきではないかと思います。その状態になれば自らがストーリーテラーとなり、自分軸の物語でドーパミンも分泌できるのですから…。

 ただ1番の問題となるのがオキシトシンによる繋がりですが、これらは人間でなくても分泌します。動植物でも分泌する品なので、ペットを飼ったり、植物栽培を行うというのも手ですよね。

 また自分軸で生きると、類は友を呼ぶという言葉通り、同じように自分軸で生きている人が集まってくる。なぜなら「ヒト・コト・モノは循環する」ものであり、自分の価値観に沿った対象が回っているのですから…。その人達と共同体の認識を持ち、主観的貢献感で生きれば、幸福という目的は簡単に達成できるのではないでしょうか…?

 本日はご精読ありがとうございました。

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