本日のテーマは「快楽のトリセツ」というお話です。
現代では努力せずとも、受動的な快楽が満たせられる世界です。この事象は過去の人々が中々満たせられない快楽を、当たり前にするために努力してくれた賜物です。天下の徳川家康も羨むような世の中ですが、過去の願いが叶って私たちは満足できたのでしょうか…?
いいえ、逆に昔以上に不満足な状況に陥っているのではないでしょうか…?なぜなら快楽の源泉・ドーパミンは、同じ刺激では同程度の分泌しかできず、そこから不快感に繋がってしまうから…。まさに依存症というルートは、ここがスタート地点なのですね。
そんな快楽との正しい向き合い方について、本章ではトリセツをご用意しました。マクロのルールとして3つ、それは「感謝・制限・成長」という要素が重要です。ではトリセツの中身を、1つずつ覗いていきましょう。
感謝
トリセツのルール1つ目は「感謝」です。
この世に無数とある快楽「お金・娯楽・食べ物」など、それらを手にしたときにセットで感謝してみてください。
①恩恵への感謝
何かしらの快楽が得られたということは、そこには他人の手が介在され、私たちに提供されています。とどのつまり、本来であれば当たり前に享受できるものではないのですね。
そこでバックボーンを想像して、介在してくれた他人への感謝も込めてみる。するとオキシトシンという愛・繋がりの脳内ホルモンが分泌され、快楽の幸せだけでなく温かみの幸せとの二兎を得ることができるのですね。
②幸福の維持
そして温かみの幸せは、快楽の幸せと比較して逓減しにくいという特徴を持ちます。そうなればあなたの主観的満足感の維持を果たすことができ、快楽への歯止めが効くのです。依存症に陥る人は、感謝の心なしという要素で泥沼にハマっている訳ですね。
③自分1人で稼げれますか…?
ただ、ここで反論も飛び交うことでしょう。「お金は、自分が努力して働いたから手にした快楽だ」と、主張する人は多いと思います。確かに一理あるとは思うのですが、ここで1つ質問です。あなたは、個人で独立して同じお金をすぐに稼ぐことができますか…?
言われたことをただこなすだけで、お金が当たり前に入ってくる。この事象は当たり前ではない…。そんな環境に会社にお客様に、まず感謝しましょう。
もちろんブラック企業やグレー起業がいることもファクトですし、それに迎合するのは馬鹿げたことです。Win-Winが築けない危ない会社だと感じたのなら、すぐに転職活動や、副業からの自立を目指すべきでしょう。
要するには視野を広げ、そこから感謝の気持ちを持つことが重要なのですね。
制限
トリセツのルール2つ目は「制限」です。
快楽の性質として、基本的には同程度の刺激ではドーパミン分泌量が低下します。つまり快楽は、感じにくくなってしまうもの…。これを克服するためには快楽の刺激の種類を変えるか、同じ種類の快楽であっても強度を上げるしかありません。
ですが実は同じ快楽の種類で同程度の刺激であっても、ドーパミン分泌量を低下させない裏技があるのです。
①同等刺激はインターバル
その裏技とは、同等刺激はインターバルを設けること。快楽を感じて日が浅いうちに同じ快楽を得ても、もう高揚感は得られません。しかし少し期間を空けることにより、同種同程度の刺激であっても同じ快楽が得られるのです。
②カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学の研究
実際にカナダにあるブリティッシュ・コロンビア大学が行った研究では、この事実を如実にあらわしています。この研究では2つのグループに分け、チョコレートに対する快楽度合いを調べました。
1週間目はどちらのグループも毎日チョコを食べてもらい、2週間目にチョコ禁止のグループと引き続きチョコを食べるグループと分けたのです。すると両グループに3週間目チョコを再び食べてもらうと、2週間目に断食したグループはドーパミン分泌が1週間目と同じだったそうです。しかし3週間連続でチョコを食したグループは、ドーパミン逓減により快楽も低下していたのです。
だからこそ快楽の維持のために、制限することも重要なファクターなのですね。
③依存症防止
またインターバールによる制限は、依存症防止にも繋がります。
快楽を感じた直後は「もっともっと…」と、頭に欲望が溢れてきます。それをすぐに満たせば、この「もっともっと」は肥大化していく。しかし1度目の渇望で自制心が作動させられれば、少しの時間と小さな欲望の我慢で、自分と渇望の脱フュージョンが果たせます。
そして人は習慣の生き物なので、快楽を手にしたら我慢する。「禍福は糾える縄の如し」ということわざ通り、快楽という幸福を手にしたら、我慢という禍を受けなければいけない。だからこそ、いつでも快楽の気持ちを引き出せるようになるのですね。
成長
トリセツのルール3つ目は「成長」です。
快楽はもともと、受動的に得られるものではありません。これは現代社会ならではの珍現象と言っても過言ではない。そこで原点に戻って、能動的に努力して、その先に快楽を手にしようではありませんか。すなわち成長を目指すこと…。
①自己研鑽
そのために毎日の自己研鑽を、日々の習慣に落としこんでください。最初はとても苦痛かもしれませんが、それによって最後に得られる成長という類の快楽は、他のどの快楽と比較しても格別な味がするものでしょう。
自己研鑽が当たり前になれば、苦しみ・悩みの総数が減っていき、人とのコミュニケーションも上手くいきやすくなり、あなたに自己効力感という「やればできるんだ…」という自信を授けてくれます。これこそ真っ当な快楽・ドーパミンの奥義です。
②成長と仕事のフュージョン
また成長と仕事をフュージョンさせられれば、あなたの幸福感は爆上がり状態…。なぜなら仕事時間はサラリーマンの方なら「1週間40時間」ほどを費やすものです。そこを成長とフュージョンさせられれば、常にあなたは快楽を求める幸せな人生になる。
キリスト教思想家・内村鑑三さんの見解では「自己実現と社会貢献の一致」が、真の幸福だと述べています。まさに「ライスワーク」から「ライフワーク」となった瞬間ですね。
③小さな成長の意識
ただここで1つ留意点です。
それは小さな成長の意識を忘れないこと。いきなり大きな目標を掲げて、成長を目指すことも悪いことではないのです。しかしそれが足枷となって息苦しくなってしまうのなら、成長マインドも呪縛でしかありませんよね。
そのために大きな目標の分割作業をして、その後は最初の分割ポイントとなる小さな成長だけを見る。すぐに大きな結果を求めないこと、急がないこと。この小さな成長の意識で日々継続すれば、あなたは知らぬ間に凄いところに到達していることでしょう。
最後に
本日は「快楽のトリセツ」というお話、いかがでしたか?
快楽とはまさに諸刃の剣であり、薬にも毒にもなる代物です。使用方法を間違えれば、企業に健康・時間を搾取されたり、完璧主義となりワーカーホリックへと転身してしまうかもしれません。逆に正しく使用すれば、たまの嗜好品を楽しんだり、日々の成長を楽しめる。1人でも多くの人が、快楽の使用方法をインストールしてくださると嬉しいです。
本日はご精読ありがとうございました。
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