20世紀・現代アートに学ぶ

哲学

 本日のテーマは「20世紀・現代アートに学ぶ」というお話です。

 19世紀後期から20世紀前期にかけて、美術界に激震が走りました。その絶対的境地に、画家たちが必死に対応しようと努めて生まれたもの…。それこそが、20世紀に代表される絵画「現代アート」です。

 そしてこの現代アートは、AIが仕事を奪うと囁かれている対象の私たちが、今1番に学ぶべきものでしょう。なぜなら現代アートには、ここから勝ち馬に乗る教訓が存分に練り込まれているからです。

 是非とも現代アートや本記事を通じて、未来の不確かな時代でも生き抜く力を、多くの人が身に着けるトリガーになれば幸いです。では詳しく紐解いていきましょう。

VUCAワールド

 まずは全記事の復習も絡めながら「VUCA(ブーカ)ワールド」についてのお話です。

 VUCAとは、4つの英単語の造語であり「Volatility(変動)」・「Uncertainty(不確実)」・「Complexity(複雑)」・「Ambiguity(曖昧)」を組み合わせた言葉です。意味としては「変動が速く、未来が不確実で、今より複雑・曖昧な世界になる」ということですね。まさに見通しのきかない世界がやってくるということ…。

①IT革命

 ではなぜVUCAワールドに、片足を突っ込んだのでしょうか…?

 それは「IT革命」という、大きな変化が起こったからでしょう。ITという発明品により読書家の知識階層以外でも、多くの人が沢山の情報に触れることが出来るようになってしまった。それ以前では活字が苦手な人や思考停止している人は、マスメディアの情報を鵜呑みにして、時代の常識を絶対的なお話だと狭い世界で生きていました。

 しかし、ITにより読解力がなくても大多数がこれに気づいてしまった…。そこから力がある個人は、ブログ・You Tube・SNSで情報発信も出来る時代となりました。まさに「価値観・生き方・ビジネス」が多様化しているのですね。そして自分の頭で考えない人は、逆に息苦しい世の中へと変化していったという流れです。

②思考力が必須

 そんなVUCAワールドを生き抜くためには、思考力が必須です。

 自分の頭で考えて、主観を主体的に構築していく。そんな人が、輝ける時代がやってきた。過去であれば大多数の思想(常識)から外れた人間は、異端児として扱われ、逆に生きにくさを感じていました。それがITという発明品がもたらしたVUCAの世界により、生きにくさが逆転したのです。

現代アート

 そして思考力を身につけるのに、現代アートは最大の学びの場でしょう。

 なぜなら絵画・美術の世界で19世紀後期から20世紀前期にかけて、現代の価値観・生き方・ビジネスと同じような事象が起こっているから…。具体的な事象は違いますが、抽象的な危機としては同じことです。だからこそ現代アートという具体から抽象を抜き取り、その抽象をVUCAワールドという具体に落とし込むことが必要なのですね。

 では絵画の世界に与えた激震を、覗いていきましょう。

①カメラ「遠近法ゴールの崩壊」

 それは19世紀後期に生まれた1つの発明品に起因します。

 その発明品とは1826年に誕生した「カメラ」です。それまでの絵画のゴールは、遠近法により視覚通りの描写をキャンバスに投影させることでした。しかしカメラが、そのゴールを崩壊させてしまったのです。

 なぜならカメラが生み出す写真は、熟練した技術も書き写す時間も必要ありません。絵画以上に、現実世界を速くありのままに映し出します。これでは今まで画家たちが目指していた、視覚通りの描写を書き写すというゴールはまさに崩壊でしょう。

 写実的な歴史画で名を残した19世紀フランス画家「ポール・ドラローシュ」は、カメラや写真を目の当たりにして唖然としたと言います。そして「今日を限りに絵画は死んだ」という言葉を残すくらいです。

 とどのつまり「一体、自分たちの存在意義とは何だ…?」という問題にまで発展してしまったのですね。

②思考で価値創造

 そこから画家たちは思考しました。「自分たちは、一体何のために絵を描くのか…?」・「絵画の存在意義とは何なのか…?」、その自問自答の結果、遂に現代アートが生まれたのです。

 現代アートは、それぞれが自分の頭で考えだした自分だけの価値を、キャンバスに描き出すというゴールを目指した絵画です。今までは皆が、視覚通りというゴールを目指していました。ですが20世紀・現代アートが人によって多様性に満ち、思考しなければその良さを理解できないのは、この一連のお話があったからなのですね。

絵画と現代社会の関連性

 さぁ、いよいよ現代アートから抜き取った抽象的学びを、現代社会の価値観・生き方・ビジネスに活かしていく時間です。現代の多様化したダイバーシティの世の中、自分の頭で考えなければ職を失うような世の中になったのは、カメラのような人類が生み出した発明品がきっかけです。

①カメラとIT

 その発明品とは「IT」です。

 まさにカメラとITは、同じように人々のそれまでのゴールを崩壊させてしまったもの…。具体的には、カメラが視覚通りという絵画のゴールを崩壊させたように、ITは時代の正しい生き方というゴールを崩壊させてしまった。

 ITは情報伝播や人間の代替作業という役割により、絶対的な正しさがないことを人々に気づかせ、思考停止した人々の仕事を奪っていきます。これは画家たちが視覚通りの描写でカメラに勝てず、居場所を失ったのと同義です。

 だからこそ時代の思想・常識を鵜呑みにして迎合するのではなく、自分の頭で考えて自分だけの価値観・生き方・ビジネス法を構築していく。そんなパイオニアになる力が、誰しもに求められている。そして描いた思想の具現化は近い未来、全てAIが行ってくれる。そうなれば多様性に満ちた、差別のない世界がすぐ近くまで迫っている。私自身は考える性なので、この変化をとても快く感じています。

②数学→美術

 そして今、私たちが学ぶべきは「美術」という学問です。

 美術は、自分の感情(価値)を作品にアウトプットする学問です。まさに「美術と思考は表裏一体なもの」で、その感情・価値に答えはありません。人それぞれで異なるものなのですね。

 それに対して数学は、絶対的な答えが存在し価値は真理です。まだ見つかっていない法則はあれど、答えがあることに変わりはない。

 そして過去の時代の価値観・生き方・ビジネスは、時代のレールに沿った生き方が求められていました。これは目の前の数式を解き、絶対的な答えを導き出すことに類似します。それに対して現代は自分で価値観・生き方・ビジネスを考え出し、自分自身が時代の担い手になる必要性があるもの。これはまさに自分の感情を思考して理解し、それをキャンバスにアウトプットしていく美術と類似するのですね。

 そして現代アートではその傾向が如実であり、まさに私たちはVUCAワールドを生き抜く為に、現代アートを学ぶ必要性があるのです。

最後に

 本日は「20世紀・現代アートに学ぶ」というお話、いかがでしたか?

 「美術館や絵画には興味がないよ」という方も、もしかするとおられるかもしれませんね。しかし、思考力を磨く最強のツールと言っても過言ではありません。1度考える力を手にすれば、人生は自由だと改めて感じ取ることもできます。是非とも自由のために、1度美術にも好奇心の根を広げてみてくださいね。

 本日はご精読ありがとうございました。

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