本日のテーマは「ダ・ヴィンチの作品数が少ないワケ…」というお話です。
誰もが1度は名前を聞いたことがあるだろう、代表的な画家の1人に「レオナルド・ダ・ヴィンチ」という男がいます。時代に名を残すくらいですから、数多の作品をこの世に刻んだと想像するのが一般的ですよね。しかし、彼が残した作品数は他の画家と比較しても、とても少ないことで有名なのです。ではなぜ少ないのか…?
本章ではこの真相を解き明かすことで、あなたにとって生活に役立てるメリット、時代を生き抜くヒントをご紹介していきます。では実際に、紐解いていきたいと思います。
ルネサンス期の画家
まず、彼についてのプロフィールをザッとご紹介させてください。
ダ・ヴィンチは、15世紀~16世紀に活躍したイタリア・フレンツェ出身のルネサンス期を代表とする画家です。
①古典古代の文化復興
ルネサンス期とは、14世紀・イタリアで始まった「古典古代の文化を復興させよう」という、文化運動が起こった時代区分のことです。
古典古代とは、ヨーロッパ史(西洋史)において「古代ギリシア・古代ローマ」の時代を指す名称で、現在のヨーロッパ文化の礎とも言われています。
またルネサンスは、フランス語で「再生・復活」という意味です。つまりは古代ギリシア・古代ローマの文化を復興させようとした時代を、ルネサンス期と言い、14世紀~16世紀の約3世紀に渡って文化運動が続いたことにより、今のヨーロッパがあると考えても良いでしょう。
②ルネサンス三大巨匠
そしてダ・ヴィンチは、ルネサンス三大巨匠の1人に数えられる人物です。他の2人の「ミケランジェロ」・「ラファエロ」と並び、ダ・ヴィンチは名を残しました。
ですが彼はミケランジェロやラファエロと違い、美術の中心地・ローマで活躍することが出来なかったそう…。更には18世紀まで、他2人と比較すると名声は横並びではなく、むしろ無名同然であったとも言われるくらいです。
しかし、19世紀になってダ・ヴィンチの作品が研究により評価されはじめ、20世紀になると遂にはその個性から神話化され始めたと言います。では彼はなぜ、当時はそこまでの評価を得ることが出来なかったのでしょうか…?
③10数点の作品
当時評価されなかったのも、また19世紀に評価されはじめたのも、本日のタイトルの内容に起因すると私は考えます。とどのつまり「作品数が少なかった」から…。彼の作品の残存数は約40点程と言われ、さらに彼のモノだと確定しているものは約10点程なのだそう…。
ビジネス界隈では「仮説をつくりトライ・アンド・エラーで行動数を増やそう」・「優先順位を決めよう」・「やらないことリストを作ろう」と言われます。この言葉は真理だと思うのですが、ダ・ヴィンチの作品数が少ないという事象を見ると、彼はこの原則を無視していたのではないでしょうか…?なぜでしょう…?
好奇心に生きた人物
その真相は、ダ・ヴィンチが「好奇心に生きた人物」だからです。
彼はあらゆるこの世の事象に興味・関心を持つ性であり、また反対にコインの裏側の傾向となる飽きっぽさも持ち合わせていた人物です。
①ジェネラリスト
つまり「ジェネラリスト」だったということ。
ジェネラリストは、幅広い知識・技術・経験などを備えた人のことを指します。つまりは、一つの物事に特化したスペシャリストの対義語ですね。芸術であれスポーツであれ、この世に名を残す人はスペシャリストが多い傾向にあります。しかし、ダ・ヴィンチは違った。
②信念は冒険
ここから読み解けることは、彼の信念は「冒険」だったということ。
職人になる人の信念を垣間見ると、1つの物事が大好きであり「信念=その対象」でしょう。だからこそ「好きこそものの上手なれ」ということわざ通り、スペシャリストになるのですね。
しかし彼は絵を描くことが信念ではなく、この世の全ての事象や未知なる事象に触れることが好きで、絵画はアウトプット手段でしかなかった。だからこそ冒険が信念の、ジェネラリストだったのです。
③彼の冒険
それが証拠に、彼は様々な物事見聞きの冒険をしています。
例えば、現代人体解剖の創始者「アンドレアス・ヴィサリウス」が、人類史上初めて正確な人体解剖スケッチを行う前から、人体解剖をしてスケッチをしていました。他にも20世紀「ライト兄弟」が有人動力飛行を達成する、4世紀前の16世紀には昆虫や鳥の飛翔原理の分析もしていたと言います。更には「ニコラウス・コペルニクスやガリレオ・ガリレイ」が、地動説を示唆する前の時代に、もう天動説ではなく地動説が真理だと述べていたのです。
これらに時間や労力をかけていたのですから、作品数が少なくなることは自明でしょう。そして作品数の少なさから、その時代には脚光を浴びれなかった。また1つの作品に対して、様々な事象で得た知見が注がれている。だからこそ後に研究され評価されるという事象が、一本の線に繋がるのですね。
アイデアを生み出せる人材
そして本章の冒頭で「生活に役立てるメリット、時代を生き抜くヒント」が、ダヴィンチの作品数が少ないという事象から学べる、そんなお話をさせて頂きました。では、そのメリットとは、何なのでしょう…?
①万華鏡の比喩
それは「アイデアを生み出せる人材」になること。
アイデアの仕組みは、万華鏡と同じです。万華鏡は、色ガラスの小片がいくつも組み込まれており、その数が多ければ多いほど、新たなバリエーションの情景を映し出します。
それとアイデアも全く同じもの…。アイデアは既存の要素の新しい組み合わせですから「0から1」を生み出したのではなく、誰も見つけていない「1+1」を見つけたに他なりません。例えば「動画+サブスクリプション」という、2つの要素を初めて組み合わせたからこそ「動画配信サービス」が出来たのも、その1例でしょう。
②違った名の残し方
そして好奇心に従って多くの事象に飛びついたからこそ、新たな画期的な発明品をこの世に送り出せるもの。もちろんマイナス面としては、時代のゴール・成功法則が明確な事柄を達成するには非合理的です。ただ結果に執着せず、あらゆる目の前のことに好奇心をもった。そんな人が斬新な品々を生み出したり、時代を変革したりなど、この世に名を残すのでしょう。
③VUCAワールド
そして現在は「VUCA(ブーカ)ワールド」と言われる、先が読めない時代に突入しました。その原因は「インターネット・スマホ・SNS」の普及により、多様性で未知数な世界に誘われたからでしょう。
そんな不明瞭な時代を生き抜くために、まさに今学ぶことが、ダ・ヴィンチの結果に興味を持たず好奇心のまま生きるマインドではないかと私は思うのです。是非ともあなたも人から評価されないもの、今の目的達成に何の因果も持たないものに対して、好奇心の根を伸ばしてみてはいかがでしょう…?
最後に
本日は「ダ・ヴィンチの作品数が少ないワケ…」というお話、いかがでしたか?
仮説をつくり、トライ・アンド・エラーで行動しよう。または優先順位を決めて、やらないことを決めよう。これらも、とても物事を成し遂げるために重要なことです。しかしこの言葉だけに囚われすぎると、あなたは好奇心を失ってしまう。斬新なアイデアを生み出せなくなってしまい、主観が変化しにくくなってしまう。
全ての物事にはプラス面とマイナス面があることを重んじて、自分の頭で考えて、人生の行動の塩梅を決めていきましょう。
本日はご精読ありがとうございました。
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