若者にとって公的年金は「得?損?」

資産形成

 本日のテーマは「若者にとって公的年金は得?損?」というお話です。

 日本は少子高齢化であり、時が経過するにつれて、受給年齢や受給額がマイナスの事象へと傾いています。では若者にとって公的年金とは、実際には得なのでしょうか、損なのでしょうか…?そんな日本の常識から見ると非道徳的なテーマですが、本章では吟味して取り扱っていきたいと思います。本記事が、あなたの人生設計の一助になれたら幸いです。

2つの運営方式

 ではまず得か損かを吟味する前に、それらを深堀りするための基礎知識を学んでいきましょう。その基礎知識とは「年金の運営方式の種類」についてのお話です。

 ここでご紹介する2つの方式は「積立方式」「賦課(ふか)方式」に分かれます。

①積立方式

 積立方式とは、将来の年金受給のため現役時代のうちに、財源を積み立てておく方式です。

 こちらの方式では、自分のお金を現在から未来へとスライドさせていますよね。つまりは自分の頑張り次第で、将来の年金受給額が多くなるか否かが決まるということです。少し貯蓄と似た性質を帯びているとも言えますね。

②賦課方式

 次に賦課方式は、若者が支払った年金保険料を、現在の老後世代の財源として仕送りされる方式のこと。

 具体的には若者の年金保険料だけでは足りないので、そこに税金が投入され、老後世代に還元されています。なぜなら若者の方が圧倒的にマイノリティですから、数という物理的次章によって、老後世代を年金保険料だけで支えていくことは難しいのです。

 賦課という語彙の意味を辞書でひくと「税金などを割り当てて、負担させること」と出てきます。つまりは年金保険料も税金も、国が国民に割り当てて負担させているものですよね。だからこそ、賦課方式という名称がついられているのですね。そして公的年金では現在、この賦課方式を採用しています。

不利だが得

 ここまでの説明を聞くと、公的年金なんて支払わずに自分で備えたほうが良いような気もします。ですがここからが本題ですので、目を刮目してご閲覧ください。

 結論として、若者にとって公的年金制度は「不利だが得」です。まず前提として、若者が不利であるというファクトは揺るがないものです。上記の説明を見聞きしたのなら、誰もが「不利だ、損だ」と感じるでしょう。

①胴上げ・騎馬戦・肩車

 これを示す比喩として「胴上げ・騎馬戦・肩車」という例えが用いられます。この比喩は、高齢者1人を何人の若者で支えるかを3つの例えで表したものなのです。

 1962年は、65歳以上の1人の老後世代に対して、約10人の若者で支えていたと言います。こうなれば折半する1人あたりの額は少なくなるので、その当時の若者にとって負担は少ないですよね。だからこそ、胴上げは楽に出来るのです。

 ですが2012年になると、老後世代1人に対して約2人で支えるという現状だそう…。こうなれば62年と12年の若者の負担差は歴然で、運動会の種目・騎馬戦が2~3人で1人を持ち上げることと類似します。

 さらには未来予測も進んでおり、2050年になると約1人で1人の高齢者を支えるのだとか…。こうなれば未来の若者の苦悩度は、現在の比にはならないでしょう。そして、この状態を肩車に例えられる。胴上げでは1人あたりの負荷が少なかったものの、騎馬戦では少しずつ負荷が重くなり、肩車にもなるといつしか負荷が膨張してしまった訳ですね。

②大半には得

 ですが大半の若者にとって、未加入よりも加入の方が得というファクトも変わりません。過去の若者と比較したら損でも、年金未加入の人と比較したら得なのです。

 もちろんこれからも、年金受給額の低下や受給年齢条件悪化もあるでしょう。しかし年金制度自体は、日本国が崩壊しない限りは破綻することがありません。そうなれば人生100年時代といわれる昨今ですから、入っていないことの方が壊滅的な不幸を招く恐れがあるのですね。

 日本国の倒産とは、戦争で負けたり、革命が起こったりなど、日本という国の連続性が断たれた事態に陥ったときだけ…。そのような不幸の確率は、一体何%あるのでしょうか…?きっと限りなく、少ないはずです。

③損する人

 とは言っても、損する人がいることも自明です。

 なぜなら年金制度自体が、保険という性質を帯びているからですね。この性質内の制度である以上、得する人もいれば損する人もいるのです。具体的には「早死にした人・生涯通じて低所得で税制上の控除が得られない人・老後に生活保護に頼る人」などです。

④貯蓄・保険の落とし穴

 そして国を信用できないから、年金を払わずに貯蓄や保険に注力しようと思っている方へ…。その選択は、大きな落とし穴に気づいていない状態です。

 その落とし穴とは、国が滅びれば、銀行や保険会社も倒産するということ。

 貯蓄は銀行にするものであり、保険は保険会社にするものです。そして銀行・保険会社ともに、国債を多く所有しています。つまりは日本国が崩壊すれば国債は紙切れになり、それらを所有する銀行・保険会社も一緒に倒産してしまうのです。だからこそ国債を彼らは買い続け、自転車操業がこの国では成り立っているのですね。

 そうとも知らずに年金を捨てて貯蓄・保険に励むのは、沈みゆくタイタニックから穴の空いた小舟に逃げるようなもの…。沈む未来は同じでも、どちらが早く沈むかは自明ですよね。

最後に

 本日は「若者にとって公的年金は得?損?」というお話、いかがでしたか?

 明らかに公的年金は過去の人と比較すると不利であり、だからこそ歯がゆい気持ちになるでしょう。そしてもう納めたくないと感じるもの。ですがその選択は、視野が狭い状態です。過去の人と比較して不利でも、年金を加入していない人よりは得をしている。

 すべての物事に言えることですが、目の前の感情だけに突き動かされず、一旦広い視野を持ち考えましょう。そのために本を読みましょう。あなたの未来がより良くなる一助に、この記事がなったのなら嬉しく思います。

 本日はご精読ありがとうございました。

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