新NISA②「2つの投資枠」

資産形成

 本日のテーマは「新NISA②・2つの投資枠」というお話です。

 2024年に新たに指導する「新NISA」の概要を、全記事から複数回に分けてご紹介しています。そして全記事では、全体の特徴を大まかに理解して頂けたかと思います。何事もテーマを学ぶときの順として「マクロ→ミクロ」は絶対であり、新NISAも例外ではありません。ということで、本記事から新NISA・ミクロの情報を深掘っていこうと考えています。

 この新NISAには、なんと「2つの投資枠」が設けられているのですね。全記事にご紹介した「年間360万円」という非課税額は、この2つの投資枠を合算したモノであり、それぞれの投資枠でも非課税額が個々に設定されている。ではどのような枠組みで、非課税額はいくらなのか…?また何のために2つの枠を設定したのかまで、深掘りし覗いていきましょう。

つみたて投資枠

 新NISA2つの投資枠・1つ目は「つみたて投資枠」です。

①年間投資額「120万円」

 つみたて投資枠の、年間投資額は「120万円」となっています。

 合計の年間投資額が「360万円」ですから、つみたて投資枠の金額は全体3分の1の設定額と言えるでしょう。

 ではなぜ、つみたて投資枠という名称がつけられたのでしょう…?

②つみたてNISA対象ファンドから購入

 その理由は「つみたてNISA対象ファンドから購入」するという、前提付きだからです。

 旧NISAの1つ「つみたてNISA」は投資信託(資産運用)の教材的な側面が強く、金融庁が対象ファンドを厳選してくれていました。日本にある6000本以上の投資信託から、長期投資に向いた商品として約220本まで絞り込んでくれていたのですね。そしてその特性がつみたて投資枠引き継がれている。

 こうなれば手数料が高く、ギャンブル性が強いアクティブファンドを、自分の頭で考えずして弾くことができますね。

③NISA元来目的・長期投資達成

 ですのでNISA・元来の目的である「長期投資達成」を誰しもが遂行できるのです。

 これがつみたて投資枠の存在理由であり、3分の1の額は制度の趣旨から誤りなく正しい方向に長期投資させようとした、そんな政府からの創意工夫でもあります。

成長投資枠

 新NISA2つの投資枠・2つ目は「成長投資枠」です。

①年間投資額「240万円」・合計投資額「1200万円」

 成長投資枠では、年間投資額が「240万円」、合計投資額も「1200万円」です。

 合計の年間投資額が「360万円」なので、大部分の「240万円」を占めていますね。さらに合計の生涯投資枠が「1800万円」のうち「1200万円」なので、こちらも3分の2を占めていると言えるでしょう。

②自由度が高い

 そして成長投資枠は、何といっても「自由度が高い」性質を持ち合わせています。

 つみたて投資枠のように、対象ファンド内という制限がある訳でもありません。「成長投資枠用のリストがあり、そこから投資をしてね」というモノではないので、投資信託ではない「個別株・米国株」でも投資がOKなのです。

 ただ完璧な自由世界という訳ではなく「債権ETF・レバレッジ商品」など、1部対象外も存在します。ですが、ほぼほぼ自由です。

 そして自由ということは、つみたて投資枠の対象ファンドから資産運用することだって可能な訳ですね。年間360万円分、全てをつみたて投資枠で活用する形状になっても問題がない。なぜなら理由として、自由ですから…。

③ゴルフのコース

 この性質は、ゴルフのコースに比喩できるかもしれません。

 つみたて投資枠は、アマチュア向けの簡単なコースです。誰でもゴルフの伊呂波を学べ、初心者に対して慣れの時間が義務づけられています。

 それに対して成長投資枠は、プロ向けのコースと言えるでしょう。義務以外のコースプレイは、プロ向けコースに挑むのもあり、アマチュア向けのコースに留まり基礎を学ぶのもありです。ゴルファーごとに、自由が与えられた状態ですね。

 プロ向けのコースに挑んで撃沈する可能性もありますが、大きな壁を超えた達成感を得られる可能性もある。それと同じで成長投資枠では、株式に挑んで損失を発生する可能性もありますが、知識・運が重なれば大きな金銭となって返ってくるかもしれません。つまりはあなたの価値観次第で、3分の2はどちらに赴いても良いよと自由が与えられているということですね。

④金融営業の無視

 では最後に自由だからこそ聞こえてくる、悪魔の囁きをご紹介します。

 それは金融営業(銀行・証券会社)の方々からの囁きです。

 彼らは「つみたて投資枠120万円はインデックス・ファンド」で堅実に投資して、「成長投資枠240万円はアクティブ・ファンド」で利益を追求しようと接客してきます。ですがこの提案に絶対に乗ってはいけません。無視しましょう。

⑤日本型ビッグバン&低金利政策

 その根拠を説明するため、少し話を脱線して金融の歴史を覗いていきます。

 1996年に橋本内閣が提唱した金融制度改革に「日本型ビッグバン」があります。この制度内容の1つに「手数料・金利の自由化」が認められたのですが、だからこそアクティブ・ファンドという、高額な手数料を手にするビジネスが始められるようになったのですね。

 また不景気による日本銀行の「低金利政策」も、銀行が私たちから搾取しようとする追い風となりました。それ以前の銀行は金利で儲けて利益を出していたので、一般市民から搾取するビジネスに注力していませんでした。ですが不景気により、日本銀行が低金利を実施して景気の均衡を保とうとします。そして被害を受けるのは銀行であり、経営難に追い込まれたのですね。

 そこにきて銀行側の希望・日本型ビッグバンが導入されたのですから、私たちから利益を搾り取ろうとするのは必然でしょう。ここで自己防衛のために重要なことは、過去の権威・安心感に思考停止で従わないこと。もう組織自体の性質が変わっているのに、見方を変えないのは恐ろしいことだと胸に刻みましょう。

⑥つみたて対象ファンドから購入

 ということで結論「つみたて対象ファンドから購入」の1本だと思います。

 結局は「つみたて投資枠」・「成長投資枠」の枠組みは関係なしに、全てをつみたてNISA対象ファンドから選択するのです。

 それもそのはずで、ゴルフの初心者がプロのコースに挑んでも撃沈するだけですよね。NISAの目的はあくまで投資の伊呂波を学んでもらうこと。アマチュアがプロコースに挑むために設けられたものでなく、長期投資を遂行するために設けられたもの。この真実を忘れてはいけません。

 実際にファンドマネージャー(プロの投資家)の15年間の成績と、インデックス投資を比較すると、90%の確率でインデックス投資の勝利です。プロでもそうなのですから、少し本で学んだだけのアマチュアが、いきなり上手くいくような世界ではないのです。おとなしくインデックス・ファンドで長期投資しましょう。

最後に

 本日は「新NISA②・2つの投資枠」というお話、いかがでしたか?

 ここまで2つの投資枠を説明してきましたが、やはり枠組みは気にせずインデックス投資に全振りが最高の案だと私は思います。ただこの記事だけでなく、他の記事も見聞きして、自分の頭で考えて結論を出す作業は端折らないで頂きたい。

 一見、時間を損しているように見えますが、投資とは別の能力「思考力」が鍛えられ、あなたの全てのジャンルに対する人生の難易度が爆上がりするはずだから…。

 本日はご精読ありがとうございました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました