表皮①「皮脂膜」

美容

 本日のテーマは「表皮①皮脂膜」というお話です。

 いつまでも若々しくありたいという願望は、大多数の人が無意識に感じる心でしょう。その願いを叶えるために、実践方法として「日焼け・保湿対策」・「健康習慣」・「美容医療」などを学んでいきます。ですがその学習方法は、本当に効率が良いのでしょうか…?

 どの分野を学ぶ際にも言えることですが、まずはマクロな視野で原理を学んでいくことが近道です。そしてミクロとなる、解決法を習得していく。これで学びの地図をまず得て、道を模索していくという学びの最短ルートになるのですね。ということで、美容のマクロとなる土壌知識のお話をしていきましょう。

表皮の仕組み

 そして、第1回目の土壌知識では「表皮」の仕組みをご解説させてください。

 顔の組織は「表皮・真皮・皮下脂肪・SMAS筋膜・表情筋」という、5層となって存在しています。その中でも表皮は、1番手前の空気に触れている部分です。

①表皮は5層

 表皮といっても1枚の膜があるだけでなく、なんとまた5層に分かれています。とどのつまり顔の組織が5層に分類され、その1つの表皮内でも5層に分類されるということです。

 その層を列挙していくと「皮脂膜・角質層・顆粒層・有棘層・基底層」となるのですが、本章ではその中でも1番初めに名を挙げた「皮脂膜」を取り上げさせてください。

②0,2mm程の薄い膜

 また皮脂膜の話に移る前に、もう少しだけ表皮全体の話を続けます。

 なんと表皮は、厚さわずか「0,2mm程のとても薄い膜」なのですね。また別記事でご紹介する予定の「角質層」に至っては0,02mmで、ラップ1枚分の薄さというから驚きです。

皮脂膜

 ではそろそろ本題の、表皮1層目「皮脂膜」について触れていきます。

 皮脂膜とは、皮脂と汗が混ざり合ってできたもの。

 正確には皮膚ではなく皮脂や汗なのですが、とても重要なファクターなので、本記事では表皮5層の1つに分類させて頂きます。もしかすると別サイトや別書籍では、表皮4層でご紹介されているケースもあると思います。この違いはただ単純に、皮脂膜がランクインしているか否かだとご承知ください。

①水分蒸発の防止

 皮脂膜の役割は、水分蒸発の防止という働きを担っています。

 次回記事でご紹介する、表皮2層目「角質層」に水分は蓄えられますが、その水分が外に蒸発して逃げないように、皮脂や汗が蓋の役目を果たしているのですね。

②若い頃の皮脂分泌

 若い頃は皮脂分泌量が多く、逆に年追うごとに減少していく。だからこそ若い人は皮脂という蓋のおかげで、乾燥を防いで艶があるのです。人によっては皮脂の多量分泌により、思春期ニキビを誘発してしまうこともありますよね。なので何事も程々にというのが、世の通説なのですね。

皮脂腺と汗腺

 では皮脂膜を構成する皮脂と汗は、どのようにして生まれるのでしょうか…?

 その解答は「皮脂腺」や「汗腺」から作られます。

①真皮からスポイトのような形状

 どちらも表皮のさらに奥に位置する「真皮」に本体が存在し、そこからスポイトのような形状で表皮の1番外側に皮脂や汗を分泌します。そして皮脂膜という、水分蒸発の防止となる蓋が生成されるのですね。

 ここで汗腺にターゲットを絞り、深掘りしてみましょう。汗腺の中でまた2つの種類に分類されます。それが「エクリン腺」と「アポクリン腺」です。

②エクリン腺「気化熱」

 まずエクリン腺は、全身のほとんどの肌に分布している汗腺です。

 目的としては気化熱により、体が熱くなりすぎないように調整すること。気化熱とは、液体が気体になって蒸発する際に周囲の熱を吸収することを指します。

 例えばお風呂上がりに、体をしっかりとタオルで拭かないと風邪をひく。1度は、誰かに指摘されたことがあるのではないでしょうか…?その理屈は気化熱によるもので、水分が蒸発した際に体の熱を奪ってしまうからですね。

 他にも真夏に植物の葉っぱに水をかける「葉水」という営みが存在します。目的としては水をかけておくことで、表面の水が蒸発する際に葉っぱの熱を奪ってくれる。このようにして真夏の暑さから、葉っぱを保護しているという仕組みです。

③アポクリン腺「フェロモンの働き」

 次にアポクリン腺ですが、こちらは限られた体の部位にしか分布されておりません。

 そして特徴としては、毛根に開口部がある汗腺です。エクリン腺が独立して開口しているのに対し、アポクリン腺は毛根に付随した状態で開口しています。そして毛根に付随した限られた部位は「脇の下・乳房・陰部」などです。

 アポクリン腺から分泌される汗は白く濁っており、脂質やタンパク質など匂いの基となる成分を多く含みます。これはフェロモンの役割を果たしているとも言われ、異性のアポクリン腺から分泌される汗に好印象を抱くのなら、遺伝的にマッチする相手ということになりますね。

 動物ではその傾向がさらに顕著で、人間のように特定の部位ではなく、全身に存在することも多いのだそう…。そして仲間同士の確認や、異性を引き付けるのに重要なファクターとして機能しているのです。

最後に

 本日は「表皮①皮脂膜」というお話、いかがでしたか?

 ここまでのお話を見聞きしても、自分の美容・アンチエイジング活動に何も活きていないような錯覚を起こします。ですが土壌の知識から学ぶことで、後に実践方法がなぜ有効かというメカニズムと結びつき、記憶に残りやすくなるでしょう。

 この残りやすいというポイントがキーで、多くの人はその瞬間に分かったつもりになっていても、いざ必要な場面で引き出せないくらいの記憶状態です。これを打破するには、精緻化して土壌部分から学んでいくことが重要となるのですね。

 また役に立つか否かという視点ではなく、この世の全ての物事に興味・関心を抱く。そんな好奇心を育むことは、この世の最高の財産と言っても過言ではありません。是非とも結果・承認主義のマインドに傾きすぎないよう、好奇心やこの瞬間のプロセスも楽しんでください。

 本日はご精読ありがとうございました。

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