表皮②「角質層」

美容

 本日のテーマは「表皮②角質層」というお話です。

 全記事のお話から、顔の組織「表皮」の概要についてお話させて頂いています。前回は1層目「皮脂膜」という、皮脂と汗の総称についてのお話でした。この皮脂膜は、表皮の層にカウントしない方も多いでしょう。あくまで私が覚えやすくするために、層にカウントしているに過ぎません。

 ですが本日ご紹介する「角質層」こそ、表皮の正式な1層目です。では角質層とはどのような特徴を帯びていて、どんな役割があるのでしょう…?概要に触れていきましょう。

角質層

 角質層とは、再外層に位置する0,02mm程の層のこと。

①保湿性と吸水性

 角質層の働きは何と言っても「保湿性と吸水性」が挙げられるでしょう。

 水分を蓄える性質を持っていることから、正常な状態であれば約20~30%の水分を貯蔵できます。そのことから私達の悩みである乾燥肌を防ぎ、艶のある瑞々しい肌を実現させてくれるのですね。

 このメカニズムについては「セラミド」という物質が関与していますが、その概要については次項でお話させて頂きます。もう少々お待ちください。

②ラップ1枚分

 そしてこの薄さは、ラップ1枚分に良く例えられます。

 「0,02mm」という薄さは表皮全体の「0,2mm」の、約10分の1の厚さしかありません。この厚さこそ、私達の身近なもので例えるとサランラップ1枚分の厚さなのです。そんな脆弱に見える層が、私達の瑞々しさを保っていると考えると感慨深いものがありますね。

③摩擦に弱い

 この厚さの薄さから、摩擦にはとても弱いという欠点が存在します。

 洗顔するときに「顔をゴシゴシと洗わないように」というアドバイスは、昨今では常識となりつつありますね。その根拠はラップ1枚分の薄さなので、簡単に剥ぎ取られてしまうという理屈です。なんと1度剥ぎ取られた角質層は、24時間は回復しないと言われているのです。

セラミドと角質細胞

 では角質層の構成要素となる「セラミドと角質細胞」について触れていきましょう。

①天然の保湿オイル

 セラミドとは、角質細胞の間にある天然の保湿オイルのこと。

 漢字名では「角質細胞間脂質」と表記され、角質細胞の間にセラミドが詰まっています。このセラミドが水分を蓄えて、瑞々しい肌を実現しているのですね。

 化粧水で潤いを与えているのはこの角質層のセラミドであり、これ以上先には水分は侵入することが出来ません。そして全記事でご紹介した皮脂膜という「水分蒸発防止」の役割を果たす蓋によって、保湿が実現されているというカラクリですね。

②バリア機能

 また角質細胞とセラミドの構造は「レンガとセメント」に比喩されます。

 レンガが角質細胞でセメントがセラミドとなり、この構造を「ラメラ構造」と呼びます。正しく配列されていることにより保湿性・吸水性を果たすことはもちろん、もう1つの大きな役割を担っている。それが「バリア機能」の役割です。

 バリア機能とは、異物(アレルギー原因物質・細菌・ウイルス)の侵入を防ぐことです。ラメラ構造が崩れるとバリア機能が崩れる原理としては、積み上げられた角質細胞(レンガ)を支えるのはセラミド(セメント)だからです。それが崩れてしまえば隙間が生まれ、異物が侵入しやすくなるでしょう。

 とどのつまりセラミドとは、艶のある肌という直接的役割だけでなく、角質細胞が肌を保護する土台をつくるという間接的役割もあるのですね。

③ケラチノサイトの最終産物

 そして角質細胞は、ケラチノサイトの最終産物です。

 ケラチノサイトというのは、表皮の大部分を構成している細胞です。

 少し先のネタバレとなりますが、角質層の下には「顆粒層・有棘層・基底層」という層が連なります。これらに存在する細胞の総称をケラチノサイト(角化細胞)というのです。

 そして1番最下層にある基底層の基底細胞は分裂して、上層へ行くほどに、少しずつ姿を変えながら「有棘細胞→顆粒細胞→角質細胞」へと変化していく。そのゴール地点が角質細胞なので、まさにケラチノサイトの最終産物という訳なのですね。

 この表皮の細胞分裂の営みを「ターンオーバー(角化)」というのですね。基底層で新たなケラチノサイトが生まれ剥がれ落ちるまで、20代でおよそ約4週間(28日)、30〜40代で約6週間(45日)の周期だと言われています。

④ガスパーゼ14によりアポトーシス

 ただ角質細胞のみ、ケラチノサイトではなくコルネオサイトと呼ぶこともあるのです。その理由は角質細胞だけが、生物学的に死んだ細胞だから…。

 顆粒層の直上で「ガスパーゼ14」という酵素により、顆粒細胞(ケラチノサイト)はアポトーシス(細胞死)を迎えます。そのためアポトーシスを終えたあとの角質細胞は、ケラチノサイトと別のものと考えられ、コルネオサイトと呼称されるのですね。

最後に

 本日は「表皮②角質層」というお話、いかがでしたか?

 角質細胞1つとっても、これだけ奥深い…。まさに好奇心が強い人には、たまらない刺激ではないでしょうか…?

 もちろんこれら知見を知らずとも、具体的アクションだけ学んで実践すれば効能は得られるかもしれません。ですが土壌の知識が分かっているからこそ「しっかりやらなければ」という意識が肥大化します。また誤りの知識にも、翻弄されずらくなるでしょう。

 本人は、健康・美容に良いと勘違いして悪いことをする。このような悲劇も解消でき、本当の意味で知識は最大の武器となるのですね。是非とも、楽しくワクワクしながら学びを深めていきましょう。

 本日はご精読ありがとうございました。

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