本日のテーマは「表皮③顆粒層」というお話です。
遂に表皮の3層目に突入しました。ここまでくると角質層のような身近なものと違い、あまり聞き慣れない単語ですよね。だからこそ知っているだけで、他人と差別化することも可能です。
また美容理論を深ぼったときに、出てくる単語でもある。とどのつまり情報量の多さによる、理解迷子も抑制できるのです。是非とも頭にインプットして、その後のアウトプットに活かしてくださいね。
では顆粒層のお話に移っていきましょう。
顆粒層の特徴
顆粒層とは、平たい形(扁平)をした顆粒細胞が2~5層に連なった層のこと。
①紫外線の反射
具体的な顆粒層の役割としては、紫外線の反射が挙げられます。
角質層もバリア機能により、異物の侵入を防いでいます。その中にはもちろん紫外線のブロックも含まれているわけですが、その関所を通過してしまった紫外線たちも出現する。そんな紫外線に第2の関所として、顆粒層が紫外線を反射させて深部への浸透を防止しているのですね。
②アポトーシス中のケラチノサイト
またケラチノサイトが基底層から細胞分裂で上昇し、顆粒層に到達するとある営みが行われます。
それが「アポトーシス」です。
アポトーシスとは、遺伝的にプログラムされた秩序正しい細胞死のこと。ですので細胞は死んでいくのですが、危機的状況ではなく自然な生理現象とご理解ください。
③代謝活発な深層と細胞死の表層の変わり目
角質層にある角質細胞は、アポトーシスを迎えたあとの死んだ細胞でした。その事からケラチノサイトと区別して、コルネオサイトと呼称されることもあるのでしたね。
ですがこの顆粒層ではガスパーゼ14という酵素が、今この瞬間にケラチノサイトを細胞死させている現在進行系です。とどのつまり「代謝活発な深層」と「細胞死の表層」の変わり目であり、2つの細胞が同居しているのですね。
顆粒層の名称由来
では次に顆粒層という名が、なぜつけられたのでしょう…?
そんな名称の由来を、覗いていこうではありませんか。
結論から言えば、顆粒層のケラチノサイトに顆粒が沈着しているからです。ここでは大きさや形状も様々な顆粒を、多量に含んでいるといいます。では顆粒とは一体何なのでしょうか…?
①顆粒とは
ずばり顆粒とは、一般の粉末よりも粒径が大きい粒のことです。
つまり粉と認識するものより、大きい物質が顆粒です。顆粒の「顆も粒」も「つぶ」と読みますので「つぶの粉であり、ただの粉より大きいですよ」と考えると、覚えやすいかもしれませんね。
②ケラトヒアリン顆粒
そして顆粒層に含まれる顆粒は「ケラトヒアリン顆粒」と呼称されます。
顆粒層を顕微鏡で観察すると、多数のフィラメント(ケラチノサイト)の束が交錯しており、その間隙にケラトヒアリン物質(顆粒)が沈着しているのだとか…。
フィラメントとは、長い線状のタンパク質の総称のこと。それに対してケラトヒアリン物質は、ガラス質状の物質です。つまりはフィラメントで構成されたケラチノサイトの間に、ケラトヒアリン物質が沈着し顆粒を形成する。だからこそ「ケラトヒアリン顆粒」と呼ばれ、この層のケラチノサイトを「顆粒層」と呼称するのですね。
冒頭でお話した紫外線反射の役割も、ケラトヒアリンという物質がガラス質状であり、それらで出来た顆粒が紫外線をブロックするからと言われています。
最後に
本日は「表皮③顆粒層」というお話、いかがでしたか?
「角質細胞のアポトーシスは、顆粒細胞から始まっていたのか…」・「ケラトヒアリンというガラス質状の顆粒が、紫外線を反射させていたのか…」と、多くの気づきがあった章だったかと思います。
たった1部分を垣間見ても、そこには広大な世界が広がっている。是非ともあなたも、目の前の結論だけに満足せずに「なんで?どうやって?」と、疑問を持って深掘りしてみてくださいね。するとあなたの客観力は高まり、人生の難易度も低くなっていくはずだから…。
本日はご精読ありがとうございました。
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