本日のテーマは「真皮の概要」というお話です。
前記事までのお話で、表皮の階層を5回に渡って解説させて頂きました。そして表皮の奥には「真皮」が控えています。この真皮は表皮と比較して、どのような差異があるのでしょう…?
本記事から、遂に真皮の概要のお話に移っていきます。是非とも学びを深めて、普段の美容習慣に応用できるレベルまで落とし込んでいきましょう。
真皮の特徴
まず「真皮の特徴」について、3つのポイントを学んでいきましょう。
①厚さ平均2mm程
真皮の特徴1つ目は「厚さ平均2mm程」であること。
ここで1度、皆さんに質問です。あなたは、表皮の厚さの幅を覚えていますか…?
そう、表皮の厚さは「平均0,2mm程」でしたよね。これら両者の厚さを比較すると、真皮は表皮の厚さの10倍に匹敵するスケールなのです。そして表皮内の1部・角質層の「平均0,02mm程」と比較すれば、約100倍に匹敵する皮膚ということで摩訶不思議ですね。
②ハリ・弾力の役割
真皮の特徴2つ目は「ハリ・弾力の役割」です。
肌にハリ・弾力を保ちたいという願いは、美醜を気にする全ての人が渇望する心でしょう。そしてその役割は、この真皮が担っているのですね。
なぜなら前項で説明した通り、真皮は表皮の厚さの10倍に匹敵する皮膚です。物理的に厚さが、ハリ・弾力の源になっていることは感覚値で理解しやすいですよね。詳しい理論については「真皮の階層」の項でお話させて頂きます。もう少々、お待ちくださいませ。
③密なネットワーク構築
真皮の特徴3つ目は「密なネットワーク構築」です。
真皮は「毛細血管・分泌腺(汗腺・皮脂腺)・神経」などが集まり、密なネットワークを構築しています。その豊富な毛細血管により、血管のない表皮に酸素・栄養を供給している。だからこそ表皮自体に血管が通っていなくとも、基底層をスタートとしてターンオーバーを促せるのです。
他にも豊富な神経は、表皮から送り込まれた微細な刺激をもキャッチする役割を果たします。そして私達は、触覚の認識ができるのですね。また分泌腺があるからこそ皮脂膜を表皮の外側につくり、過剰な水分蒸発を防いで肌に潤いを与えてくれます。また体温調節で汗が流せるのも、この汗腺が関与しているからです。まさに真皮は、皮膚の中枢機関といっても過言ではないでしょう。
ちなみに余談ですが、赤ちゃん・高齢者は表皮の厚さが薄くデリケートです。そのことから血管壁が脆く、ちょっとした刺激で真皮の毛細血管が傷つきやすくなってしまう…。だからこそ、内出血を起こしやいのですね。
真皮の階層
では次に「真皮の階層」のお話です。
前回までのお話で取り上げた表皮では、4層構造(皮脂膜をいれると5層)で連なっていましたね。ですが真皮は、それよりずっと控えめな階層構造です。具体的な階層の話に移りますと、解剖学的に3層構造と言われています。ですが一般的に2層構造で区別されることが多く、上層2つを1つの層として数えているのだとか…。
ではこの2層を、それぞれ紐解いていきましょう。
①乳頭層(乳頭下層)
真皮の階層・1層目は「乳頭層」です。
乳頭層とは、真皮と表皮の接続部分であり、凹凸のある層となります。
乳頭層の名称由来は、凹凸の突出(真皮乳頭)を身体の乳頭に例えたものでしょう。ではなぜ凹凸の形状が生まれたのでしょう…?
その理由は、表皮へと栄養・酸素を供給したり、神経をキャッチするためです。まさに乳頭から赤ちゃんにお乳をあげるのと、そっくりな事象ですね。
②電球とソケットの比喩
他にもこのメカニズムは、電球とソケットにも比喩できます。表皮(基底層)が電球であり、真皮(乳頭層)がソケットです。そして光の源泉を供給するように、栄養・酸素を供給しているのです。
ちなみに乳頭層は、表皮全体の約5分の1の厚さであり、乳頭層と乳頭下層の境界はとても不明瞭なのだとか…。だからこそ、2層構造でカウントされるのが一般的なのです。
③網状層
真皮の階層・2層目は「網状層」です。
網状層とは、真皮の大部分を占める層となります。
網目のように絡み合った「コラーゲン線維(膠原線維)」が規則的に配列されており、それを「エラスチン線維(弾性線維)」が繋ぎ止めているという具合です。
乳頭層にもコラーゲン線維は存在するのですが、疎らにフェルト状であり規則的にも配列されていません。それが網状層では太く強いコラーゲン線維の束へと次第に移行し、密な網目をつくるのですね。
④紐とフックの比喩
この関係性は、紐とフックに比喩できます。コラーゲン線維が紐であり、エラスチン線維がフックです。とどのつまり規則的に配列された紐(コラーゲン線維)を、フック(エラスチン線維)が繋ぎ止めているという具合でしょう。この2つの線維の組み合わせにより、皮膚の強度・伸縮性・弾力性を支えています。
しかし20代前半から、徐々にエラスチン線維は減少していってしまう…。するとコラーゲン線維を、しっかりと繋ぎ止めておくことができません。そして結果として紐がたるむように肌もたるみ、ハリや弾力がなくなってしまうのですね。
⑤ヒアルロン酸と線維芽細胞
そして網状のネットワークの間隙に「ヒアルロン酸」や「線維芽細胞」が存在します。ヒアルロン酸は、コラーゲン線維の間に水分を抱えながら覆うゼリー状の基質のこと。役割としては肌に瑞々しさを与えています。また線維芽細胞は、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸を生成するための細胞です。まさに線維の芽となる、細胞製造機と考えると覚えやすいでしょう。
最後に
本日は「真皮の概要」というお話、いかがでしたか?
端的に役割をまとめると、乳頭層は毛細血管から酸素や栄養を供給する。網状層はコラーゲンとエラスチンにより、肌のハリ・弾力を構成するという具合です。
このようにただマクロに真皮と捉えるよりも、分割してそれぞれの役割を知ることは重要なことです。なぜなら普段無意識に働いてくれている身体に対して、仕組みを知ることで感謝の念をつくれるから…。是非とも恵まれている部分にフォーカスするため、まずはその客観的事象を知ってください。知は、幸福にマストなアイテムなのですから…。
本日はご精読ありがとうございました。
コメント