歯科後進国・JAPAN

美容

 本日のテーマは「歯科後進国・JAPAN」というお話です。

 日本人は世界的に見て、歯への意識が希薄だと言われています。その無関心の程度は、欧米の人々が不思議・嘲笑の眼差しを向けるほど…。彼らから見れば、先進国であり裕福な日本人が、なぜ歯に怠惰なのか理解できないのですね。

 本章ではそんな歯科後進国であるJAPANの実態を、深堀りして覗いていこうではありませんか。そしてこの記事に出会ってくれた人々には、是非ともかけがえのない歯というパートナー達を大切に扱って頂きたいです。

デンタルIQの低さ

 まず「デンタルIQ」という言葉を、皆さんはご存知ですか…?

①歯の健康への意識度合い

 デンタルIQとは、歯の健康への意識度合いのこと。

 知能・理性を示すIQを、歯に比喩した歯科スラングとも言えますね。もっと簡単に端的に述べれば「歯について、どのくらい大切に考えているか」の指標です。ですが悲しきかな、日本人はこのデンタルIQが突出して低いのですね。

②単語と意味の認知

 その低さの極み度合いは、デンタルIQという単語と、その意味の認知を検証しても明らかです。

 日本人の方に「デンタルIQという単語は知っていますか…?」と質問したところ、単語を認知している方はアンケート者の16%でした。さらに「デンタルIQという単語の意味を知っていますか…?」と深掘りの質問をしたところ、意味認知はアンケート者のたったの4%だったのです。

 このような「単語認知16%、意味認知4%」という現状では、デンタルIQが高くなる訳がありませんよね。まず知ることが第一歩目となります。

③予防歯科受診率

 デンタルIQの低さが、顕著に反映される事象は他にもあります。

 それは「予防歯科受診率」です。

 予防歯科とは、歯の健康を維持するために、定期的にメンテナンスで通院すること。その逆で治療歯科は、実際に虫歯になったり、歯周病になった後に通院することです。

 この前者の予防歯科に受診している割合は、欧米では「70%」を超えています。それに対して、我が日本ではわずか「5%」なのです。

④80歳の残存本数

 そして予防を怠ったツケとして、日本人の80歳時の歯・残存本数はわずか「8本」です。それに対して、予防歯科先進国・スウェーデンでは、80歳時の歯・残存本数が「平均20本」と驚異的な数字を叩き出しています。

 「塵も積もれば山となる」ということわざ通り、日頃1回1回の予防歯科受診の重要さを、痛感する事象ではないでしょうか。たった1回、それは行っても行かなくても大した差異ではありません。ですが80歳まで受診という塵を重ねれば、歯・20本という山になるのですね。

保険制度が問題

 では我々日本人が怠惰であることが、歯科後進国の原因なのでしょうか…?

 いいえ、違います。悪いのは私たちだけでなく、日本の保険制度にも原因があったのです。この制度のシステムが、デンタルIQが下がってしまう環境を作り出してしまった。

 ではここから、日本の歯科に対しての保険制度を覗いていきましょう。

①予防的処置が保険無適用

 まず日本の保険制度は、予防的処置が保険無適用でした。

 自費で通わなければ予防ができないとなれば、健康とお金の天秤に敗北してしまう人は続出することでしょう。だからこそ「痛くなったら歯医者へいこう」という発想になり、受診時にはもう既に遅しというファクトが待っています。

 ですが悲しきかな、1度削ったり抜いたりした歯は元には戻らない。また歯肉・歯槽骨が溶けてしまい、深くなった歯周ポケットも基本は元には戻らないのですね。

②矯正歯科の保険無適用

 また日本では、矯正歯科に対しても保険が無適用です。

 自費の矯正治療となれば、歯科医院にもよりますが80万円~150万円と高額な金額が必要です。だからこそ健康・審美への意識度合いが高い人は別として、日本人は世界のコモンセンスから見て、驚愕するほどに歯並びが悪いのでしょう。

 もちろん美醜の問題だけなのであれば、大したことはありません。ですが歯並びの悪さは、歯の磨きにくさに直結します。すると磨き残しの「プラーク(歯垢)・歯石」により「虫歯・歯周病」への罹患率を飛躍させてしまうのですね。

 この問題に対しては、お金よりも健康というマインドを持ちましょう。多少の贅沢は我慢しても矯正治療に踏み込んだ方が、後に幸せの確率は向上すると私の主観では感じるからです。一度、あなたも矯正治療について、自分の頭で吟味してみてください。

③保険適用という例外条件

 ただここから朗報もお伝えします。

 日本の保険制度には、予防歯科が保険適用になる例外条件が存在するのです。それは「歯に悪影響を及ぼす可能性がある」と診断された場合に限り、予防歯科にも保険適用が設けられるのだとか…。

 しかし上記条件は抽象的な定義であり、具体的に「このような状態から保険適用になるよね」というものではありませんよね。つまりは歯科医師の見解に委ねられるもので、デンタルクリニックにより保険適用有無が変動している模様です。だからこそ予防歯科に注力をしているクリニック選びが、私たちの課題なのではないでしょうか。

④診察報酬改定

 また2020年4月に「診察報酬改定」で行われたそうです。

 内容としては、定期的な歯のメンテナンスが保険適用になったというもの。

 歯のメンテンナンスの内容としては、歯周ポケット洗浄や歯石除去などの予防歯科的治療です。上記の保険適用の例外条件のように、歯磨きの指導をしてくれるものではありませんが、日本の保険制度も世界の価値観に近づきつつあるのです。

 こうなれば予防歯科へ気軽に受診できる環境となり、日本国としても国民のデンタルIQを底上げできるのではないでしょうか。

最後に

 本日は「歯科後進国・JAPAN」というお話、いかがでしたか?

 日本における歯への価値観は、うねりをあげて変革へと向かっています。それ以前の思想で育った人々は、中々パラダイムシフトが難しいかもしれませんね。ですが合理的に健康な道へと変革しているのです。

 新しい価値観へのシフトチェンジが、全て毎回正しいわけではない。それに対して自分で吟味した方が良いのも事実…。ですがこの予防歯科変革の時代の潮流には、是非ともお乗りください。なぜなら損することがほぼ皆無だから…。

 本日はご精読ありがとうございました。

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